株式会社フジクラ

ESG

ガバナンス

知的財産

知的財産の尊重と保護

 フジクラは、第三者の知的財産権を十分に尊重しながら事業を展開しています。この方針に基づき、研究・開発部門と知的財産部門が一体となって、第三者の産業財産権と当社製品・技術との関係を常に評価しています。具体的には、研究・開発部門の開発テーマに関する国内外の第三者の特許情報を定期的に社内で配信し、また、知的財産部門に調査専門の人員を配置し、事業・開発部門の調査を支援しています。製品の技術的範囲の属非判断には、在籍する複数の弁理士が関わる他、必要に応じて外部の専門家にも判断を依頼しています。
 一方で、フジクラが保有する特許権、意匠権および商標権等の無断使用があった場合には、法律に基づいて、然るべき措置をとっています。

知的財産活動の基本方針

知的財産戦略と事業戦略の整合

 フジクラは、研究開発で得た成果を積極的に知的財産権の取得により保護し、事業の優位性を確保するとともに、第三者の知的財産権を十分に尊重しながら事業展開することを基本方針としていますが、単年度の活動ビジョンとしては、2021年度も、引き続き「事業戦略と統合した知的財産活動」と掲げ、次のような課題に重点的に取り組んで参りました。

事業戦略と統合した知的財産活動

ハウスマーク商標の権利化活動

 フジクラでは、グローバルでの当社ハウスマーク商標の保護を目的に各国での商標の権利化を計画的に進め、2020年までに計画通りに当社のブランドとなるハウスマーク商標の出願を完了しました。2021年中には、アフガニスタン、グァテマラ、ケニア、サモア独立国、ジブチ、バヌアツ、マダガスカル、および中国での登録が追加となりました。
 なお、近年、他社からは、当社ブランドによる信用にフリーライドするような意図で当社ハウスマークを意識したような商標出願も見られるところ、当社の事業とコンフリクトを生じる、あるいは当社の商取引上の信用を害するような登録に対しては、法制度を利用して登録の取消等を求める等の厳格な対応を行っています。

営業秘密管理

 フジクラは、企業秘密の管理に関する規程にもとづき、その管理を適切に行っています。特に、発明を特許出願しないで企業秘密として秘匿する場合には、社内規程にもとづき、その重要度に応じた秘匿管理を行っています。その中でも事業に影響するような重要度の高い情報は、不正競争防止法の救済が得られるように営業秘密として管理しています。また、フジクラで秘匿管理された技術について他社が独自に開発し特許を取得した場合でも、当社が引き続き実施できるように先使用権を得るための対応を行っています。2021年度も、引き続きフジクラグループ内での営業秘密に関する相談への対応や情報発信を行い、また、特にオンライン勉強会等での社員教育の機会に営業秘密に関する教育内容をより充実させて、グループ社員の意識向上に努めました。

知的財産戦略としての権利化活動

 フジクラでは、事業に貢献する知的財産活動を推進していくために、活動の体制強化と特許の質の維持・向上が極めて重要であると考えています。
 これを実現する為に、事業部門、研究・開発部門および知的財産部門のメンバーからなる会議を主要事業毎に定期開催して、知的財産戦略の進捗を確認し、今後の活動計画を定めています。また、各研究・開発部門に知的財産部門を兼務する人員を配置して両部門の連携を高めることにより、知的財産活動の体制を強化しています。
 事業に貢献する知的財産活動とするためには、事業戦略に沿った権利行使に耐え得る質の高い特許等の知的財産権づくりはその基本であると考え、強化を図っています。2021年度は、重点的に強化する特定の技術分野を定め、事業戦略に沿った知財戦略の策定と実行を事業部門と知的財産部門で進めています。また、知的財産戦略の立案に役立つガイドラインを作成しました。

特許保有件数・出願件数

国内特許保有件数

  ここ数年の国内特許保有件数は3000件弱で推移していましたが、ポートフォリオの見直しに伴い2021年度は2840件に減少しました。

海外特許保有件数

 事業のグローバル化に伴い、ここ数年の海外特許の保有件数は2000件弱で推移しており、2021年度は1874件でした。アメリカ、欧州、中国での特許が8割を占めています。

国内特許出願件数

 国内特許出願の公開件数は年々減少傾向にあり、2021年度は258件でした。国内の特許出願を減少させる一方で、海外の特許出願を増加させています。

グローバル出願率

 グローバル出願率(国内出願を基礎出願として海外に特許出願する比率)は40%前後を推移していましたが、2020年度は50%を超えました。

重点開発テーマに関する知財活動

 光配線ソリューション事業に関しては、当社の開発による戦略商品であるところの間欠固定テープおよびそれを含む光ケーブル、あるいは光ファイバ、光コネクタおよび融着機の技術について、継続的に特許出願あるいは積極的な秘匿化を実施し、事業の優位性を確保してきました。今後も当社製品の差別化に貢献する技術的側面を考慮し、戦略的考察に基づいた知財マネジメントを進めて行きます。
 新規事業創生のための研究開発テーマとして進めている、次世代大容量高速無線通信に利用されるミリ波帯通信デバイスの開発については、研究・開発部門と知財部門とが、事業の優位性を確保するための知財戦略の策定およびその進捗確認のためのコミュニケーションを行うプロセスの構築を行い、差別化技術の適時保護と事業自由度の確保を確実にする活動を進めているところです。同じく重点開発テーマとされる医療機器用極小CMOSイメージセンサを用いた撮像モジュールの開発についても、同様の体制づくりに向けて動いています。両テーマ共に、将来の事業に向けての質の高い特許ポートフォリオの構築を進めております。

PAGE TOP