バックナンバー Fujikura Technical Review
マテリアルズインフォマティクスを活用した材料技術開発
従来の実験科学や理論科学に加え,計算科学やデータ科学などの計算機科学を材料開発に積極的に活用するアプローチのことをマテリアルズインフォマティクス(MI)と呼ぶ.当社では,MIを基盤材料技術の1つと位置付け,多種多様な製品への適応を図ってきた結果,様々な成果に結びついている.本稿では,使用頻度が高いMI手法を紹介した後に,ケーブルのシース開発にデータ科学を活用することで,開発期間の大幅な短縮に成功した事例を紹介する.
フィールド実装した288心4コアマルチコアファイバケーブルリンクの損失特性
288心の4コアマルチコアファイバからなる高密度ケーブルと288対のファンインファンアウトデバイスを使ったリンクをフィールドに構築し,損失評価を実施した.マルチコアファイバ関連コンポーネントのフィールド敷設による過剰損失は観測されなかった.
160 µmファイバを用いたデータセンタ向け6912心ケーブル
クラウドサービスの拡大,5G商用化,車の自動運転サービス等の展開が見込まれており,通信ネットワークの大容量化が進んでいる.これにあわせ,より経済的かつ効率的に光ファイバ通信網を構築していくことが求められている.今回,80 µmのクラッド径を有する被覆径160 µmの光ファイバを用いて6912心ケーブルを開発した.本ケーブルは,125 µmのクラッド径を有する被覆径200 µmの光ファイバを用いた6912心ケーブルと比較し,大幅な細径化かつ軽量化を実現し,内径1.5インチ管路への充填率50 %を達成した.また本ケーブルは,GR-20-CORE Issue4に準拠して評価を行い,良好な機械特性および環境特性を有していることを確認した.
高ON/OFF比と利得調整機能を備えた5G向け小型SPDTスイッチアンプ
3GPPが規定した第5世代移動通信システム規格(5G NR)の周波数帯n257,n258,n261で動作する周波数変換IC(FCIC)に使用するために開発したSPDTスイッチアンプについて報告する.本SPDTスイッチアンプは,局部発振(LO)信号を送信用ミキサまたは受信用ミキサへ供給するもので,29.15 GHzから34.40 GHzで動作し,52 dB以上のON/OFF比,ならびに動作周波数帯において12 dBの小信号利得を実現した.要求されたLO信号強度を満足するような信号出力強度へ調整するために,利得を変化させる機能をもつ.ICプロセスは0.13 µm SiGe BiCMOSを使用し,コア部分のサイズは0.24 mm²である.
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