株式会社フジクラ

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ESG

SDGs達成に向けたCSV戦略

CSV戦略の推進

フジクラグループのClean Tech

フジクラグループは、これまで社会インフラの整備という社会課題に応え、日本だけでなく世界中の国や地域の発展に寄与してきました。また、SDGs の達成を介して世界の課題解決を考えることは、フジクラグループの持続的成長につながる大きな機会だと捉え、本業を通じて社会価値を向上し経済価値も得るCSV(共通価値の創造)を進めています。今回はその中で近年注目されているClean Techに関する取り組みを紹介します。

※Clean Techとは、大幅なエネルギー効率の改善、資源の持続可能な使用、または環境保護活動を通じて、環境への悪影響を軽減するプロセス、製品、またはサービスのこと。

5G社会を下支えするフジクラグループの光ファイバケーブル

5GやIoTなど多様な情報通信サービスの普及に伴い、光ファイバケーブルの需要が世界的に拡大しています。フジクラでは、既存設備を有効利用し経済的に光ファイバ網を構築する技術として、世界トップレベルの細径・高密度な光ファイバケーブル「Spider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable®」(SWR®/WTC®)を製品化しています。
2020年度は、細径光ファイバを用いた超多心光ケーブルや、欧州建設資材規制(CPR)に適合した高い難燃性を有する屋内配線用光ケーブルを開発し、世界的に拡大するデータセンタ需要に応えました。さらに、国内の通信環境に適合し、従来の1.5倍の高密度化を実現した国内最大心数の3,000心光ファイバケーブルを実用化しました。今後もSWR®/WTC®の技術をもとに革新的な光ファイバケーブルを開発し、世界各国の通信ネットワークの発展に貢献していきます。

製造時および輸送に伴う環境負荷低減を実現

SWR®/WTC®は、ケーブル外径の小径化・軽量化、製造プロセスの削減、小径ドラム適用を通じて環境負荷低減にも貢献しいます。

お客様の総保有コスト(TCO*)の削減に寄与

SWR®/WTC®を中心とした光配線ソリューション事業は、お客様のTCO削減にも寄与しています。これまでの通信工事は、ファイバ容量の増加に対応するためのダクトやハンドホールなどが必要であり、土木工事のコストの割合が高くなっていました。しかし、SWR®/WTC®は細径・軽量のため、既存の設備を活用することができ、追加の土木工事が不要となるので、お客様の工事費用を大きく削減することができます。
*Total Cost of Ownership

周辺機器との相乗効果

SWR®/WTC® 中心とした光配線ソリューションでは、ケーブルだけではなく周辺製品との相乗効果により顧客要望への対応や環境負荷削減に寄与しています。

光配線ソリューション事業へ経営資源を集中

欧米を中心としたSWR®/WTC®を中心とした光配線ソリューション事業は、経営資源を集中すべき分野と判断し、当該事業はフジクラの核心領域としています。引き続き多くの顧客より良好な感触を得られているため、さらなる差別化製品の創出によりビジネス拡大を図っていきます。

海外製造拠点の工場移設拡張と生産ラインの新設

英国グループ会社のAFL Telecommunications Europe Ltd.にて、光ケーブル工場の移設拡張と生産ラインを新設し、その稼働を開始しました。新設したラインでは、空気圧送型*細径高密度光ファイバリボンケーブルAir Blown Wrapping Tube Cable ™(AB-WTC ™)の生産を行い、英国および欧州のFTTxおよび5Gネットワークの構築と発展に貢献していきます。フジクラグループは、現地生産の開始により、欧州のお客様向けにより充実した顧客サービスを提供できるようになるほか、サプライチェーンの強化を通じてお客様への安定供給能力の一層の向上を実現します。また、今回の現地生産の開始は、地元経済の活性化や新規雇用創出にも寄与しています。
* 空気圧送型とは、光ケーブルの布設方法の1つで、管路内へ圧縮空気を送り込み、光ケーブルを圧送する工法であり、欧米を中心に広く導入されています。





CSVの推進

 フジクラグループでは、自社の利益成長とともに社会課題を解決し、SDGs達成に貢献するための戦略として、CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)を進めています。CSVとは企業が本業を通じて、社会価値を向上(社会課題解決)し、経済価値(利益)も得る活動のことと定義されています。フジクラグループはこれまでも社会課題解決のための事業活動を続けてきましたが、2017年を「フジクラグループCSV元年」とし、CSVを本格的に考えるスタートの年としています。

地方自治体の社会課題解決へ向けた取り組み

・長野県大町市との連携協定締結
 フジクラは、長野県大町市と2018年10月に連携協定を締結し、ICT やIoT を活用した市民サービスの向上に資する新たなサービスの立ち上げを目指し、技術と行政の課題を実証実験で確認しながら社会実装を実現する取り組みを開始しました。オープンイノベーションを通じて、コト売りビジネスによる新たな事業創造に取り組んでいます。

協定締結式

協定締結式

大町市

大町市

・除雪車管理業務の改善に向けたIoT 実証実験を実施
実証実験の1つとして、2019年1月からGPS※1端末を用いた「除雪作業費の適正な評価の課題を解決する取り組みをIoTBASE株式会社と共同で行いました。
 大町市は、2月の平均積雪深が50cm を超える積雪地帯にあり、冬季の除雪作業に大きな負担がかかっていました。今回は、除雪車の位置情報をリアルタイムに把握することで稼働時間の自動計算に取り組んだほか、作業エリアの把握による稼働動線の適正化や住民問い合わせへの迅速な対応といった用途に活用することを目的に実証実験を行いました。
 実証実験の結果、除雪に関わる業務のシステム化が安価な方法で実現でき、役所や委託業者の積算業務の改善が図れ、住民サービスの向上も期待できることが確認されました。
 フジクラとIoTBASEは本実証実験の結果を踏まえ、除雪事業等に活用できる自治体向け位置情報ソリューションの製品化を目指しています。

長野県大町市における事業創造の流れ

電動車向け軽量アルミハーネスによる低炭素社会への貢献

 フジクラは、電動車関連製品の開発・製造を行うことで、社会の低炭素化に貢献するため、電動車向けアルミハーネスの量産を開始しました。
 電動車においても、ガソリン車と同様に燃費(電費)向上の観点からハーネスの軽量化および回路抵抗低減に対する市場要求は非常に高く、また電動化に伴うデバイス数増大等により、車内のハーネス配策スペースはさらなる減少傾向にあることから、ハーネスの曲げやすさ向上への期待も高まっています。
 本ハーネスはこれらニーズに応えるもので、ケーブルの導体を従来の銅からアルミに変更し軽量化を図ったうえで、アルミ化によって生じる「ケーブル外径アップによる柔軟性の低下」「アルミ表面の酸化膜による接続抵抗増大」という2つの問題を、新規に開発した高柔軟熱可塑性エラストマー絶縁体および銅端子とアルミ導体間の超音波接合技術により解決し、従来の軟銅線と比較して曲げやすさの向上と、接続抵抗の低減を図っています。

自動車向け軽量アルミハーネス

医療分野における天然資源(液体ヘリウム)を使わないコンパクトな次世代MRI装置の普及に貢献

 フジクラは、低温磁場中の臨界電流密度が従来比約1.5倍(フジクラ従来比)である400A/mm2を超える世界最高性能のレアアース系高温超電導線材の量産技術開発に成功し、販売を開始しました。超電導技術は医療分野のMRI( Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断)装置、半導体分野のシリコン結晶炉引上げ装置などで使用されています。
 フジクラは2016~ 18年度に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の開発事業を受け、MRI 装置への適用を目指したレアアース系高温超電導線材の開発を行ってきました。
高温超電導MRI 装置は小型装置では既に画像取得に成功しており、今回、磁場中臨界電流密度400A/mm2に到達することで天然資源(液体ヘリウム)を使わないコンパクトな次世代MRI 装置
が実現可能なレベルに到達しました。
 フジクラは、今後もさらなる需要拡大に応えることでレアアース系高温超電導線材およびコイル製品の提供により高温超電導ビジネスの拡大を図ります。

レアアース系高温超電導線材

レアアース系高温超電導線材(線材幅4mm製品)

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