株式会社フジクラ

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ESG

フジクラグループの価値創造

長期的な気候変動対応

 フジクラグループは気候変動対応に関する長期ビジョンとして、2016年にフジクラグループ環境長期ビジョン2050を制定し、2050年の未来を見据え、環境負荷の最少化に向けた4つのチャレンジに取り組んでいます。

フジクラグループの気候変動対応方針・目標

 フジクラグループは、1992年に制定した「フジクラグループ地球環境憲章」に始まり、外部研究機関の予測などを参考に、経営戦略と一体となった環境活動方針を定めています。2016年にはIPCC(気候変動に関する政府間パネル) RCP2.6(2℃シナリオ)によるシナリオ分析を行い、フジクラグループ環境長期ビジョン2050を目標として制定しました。2050年の未来を見据え、環境負荷の最少化に向けた4つのチャレンジに取り組んでいます。
※ RCP2.6: IPCCの第5次評価報告書(2014年発表)は、今後100年間にどれくらい平均気温が上昇するか4つのシナリオを示しているが、4つのうちで最も気温上昇が低いもの。

気候変動に関する取り組みの経緯

気候変動に関する取り組みの経緯

フジクラグループ環境長期ビジョン2050の4つのチャレンジ

フジクラグループ環境長期ビジョン2050の4つのチャレンジ

TCFDへの賛同表明およびRE100への加盟、SBT認定を取得

 フジクラグループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が2017年に公表した提言に賛同しました。気候変動がもたらすリスクと機会を分析し、ステークホルダーの皆様に情報開示していくことで、持続可能な社会の実現に貢献します。
 また、事業活動に要する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が参加するイニシアチブであるRE100にも加盟しました。2050年に工場CO2総排出量ゼロを掲げ、その一環として2050年に電力の再生可能エネルギー化100%を目指し、中間目標として、2030年に45%、2040年に90%を設定し、達成へ向けたロードマップを作成、遂行しています。
 さらに、パリ協定(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準に抑え、また1.5℃に抑えることを目指すもの)が求める水準と整合した目標を設定し、SBT (Science Based Targets ) 認定を取得しました。認定を取得したフジクラグループの温室効果ガス排出削減目標は以下になります。

対象項目 目標
スコープ1 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出 2030年度33%削減(2020年度比)
スコープ2 他者から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出
スコープ3 スコープ1・2以外のサプライチェーンに関連する排出 2030年度15%削減(2020年度比)

気候変動ガバナンス・リスク管理(CSRマネジメントを含む)

 フジクラグループの気候変動ガバナンスは、サステナビリティ戦略会議の環境側面部会である地球環境委員会(委員長は環境担当役員)がグローバルに統括しています。地球環境委員会は、気候変動を含む環境経営に関する審議決定機関であり、各年度および中期目標の策定を行い、活動推進状況をモニタリングするとともに環境担当役員の承認を受け、サステナビリティ戦略会議に報告しています。重点テーマには専門部会を設け、施策立案や対策の横展開など、さまざまなサポートを行っています。

気候変動ガバナンス

気候変動関連リスクと機会の特定

 フジクラグループでは、低炭素経済に移行する過程で起こりうるリスクと機会の特定を進めています。気候変動がフジクラグループの事業成長にどのような影響を与えるのかを分析するために、国際研究機関(OECD、IPCC)等の長期予測や社会的な関心事、顧客からの気候変動対応要請などを踏まえています。特定したリスクは適宜見直しを行っていきます。

リスク

分類 気候変動リスク 今後の対応
2℃シナリオ
(移行リスク)
短期・中期
【政策・法律リスク】
・炭素税の導入など各国地域におけるCO2排出規制強化
- 炭素税による財務への影響を試算
・顧客や操業国からの温室効果ガスやカーボンフットプリントの削減要請義務
・環境長期ビジョン2050に基づく、再生可能エネルギー100%へのロードマップによって、徹底した省エネ、再エネ導入、クレジット等の活用を進める。
・事業活動における再生可能エネルギー利用の推進(本社・工場など)
・RE100加盟やTCFD 賛同による対応強化・ESG評価指標の定期的なモニタリングと対応
・SBTi(Science Based Targets initiative)の認定取得
【技術リスク】
・既存技術のディスラプト
・製品製造時のエネルギー使用量の最小化や再生可能エネルギー利用等の要求
【市場リスク】
・商品、サービスに対する需要の変化
・顧客や社会からの気候変動対策による一時的な設備投資コストの増大
・気候変動関連要因による原材料価格の上昇や調達先の分散
【評判リスク】
・顧客や投資家、各種評価機関からの気候変動に関する情報開示と対応要請
4℃シナリオ
(物理リスク)
中期・長期
【急性リスク】
・洪水や大型台風など自然災害による操業への影響
- 生産設備に被害を受けた場合、生産能力の低下や設備修復など、業績への影響
- サプライチェーンの分断などによる生産計画への影響
→フジクラグループは2011年にタイ洪水によりグループ会社が甚大な被害を受け、復興まで5年を要した
・対象拠点の防災対応
- 2011年のタイ洪水被害を教訓に、BCPの観点からも拠点の分散化や事業所周辺の防水壁の建設などを実施
・事業所の法面整備や海辺に近い工場における高潮、津波対応
*洪水や海面上昇で影響を受ける国内拠点
本社、フジクラハイオプト(東京都江東区木場)、沼津熔銅、西日本電線(大分県大分市春日浦)
※各行政のハザードマップを調査
【慢性リスク】
・気温上昇等による操業地域で働く社員の健康配慮
・降雨量増加による従業員の安全性の確保
・将来的な海面上昇における操業への影響

機会

各事業 社会動向 機会
エネルギー ・経済成長、都市化、人口増加により、途上国を中心にエネルギー需要、特に電力需要が増加。
・デジタル技術の活用による、電力供給の安定化、効率化、2℃シナリオでの省エネ進展
・企業、個人などのエネルギー供給・需要双方の多様化、2℃シナリオでの再エネ増大
・4℃シナリオ下における自然災害の増加懸念
・無電柱化推進法への対応(防災など)
【市場】
再生可能エネルギーの普及拡大
【製品/サービス】
グリーン関連製品拡大
【エネルギー源】
高効率電力システム関連製品
・デジタル技術活用の推進
【レジリエンス】
電線/ケーブル等社会インフラのレジリエンス強化
情報通信 ・デジタル化の進展により、データ流通・蓄積・解析量が指数関数的に増大
・ビッグデータ、IoT、5G、AIなどのデジタル技術を活用した新サービス事業が急速に拡大
・CASE/MaaSの進行
・ミリ波(無線通信)
・4℃シナリオ下での自然災害対応懸念
【製品/サービス】
高密度/細径構造の光ケーブル(SWR®/WTC®)を中心とするソリューションの展開
【市場】
グリーン関連製品拡大
・高効率ITシステム関連製品
・デジタル技術活用の推進
・社会インフラとしての通信線レジリエンス強化
エレクトロニクス ・産業用ロボットの増加
・医療用製品への参入
・車載用電子部品の増加
・ミリ波対応部品の増加
・CASE対応研究開発の推進
・デジタル技術活用の推進
・グリーン関連製品拡大
・産業用、自動車用コネクタの需要増
自動車電装 CASEの進行
・電子部品の増加に伴うWHの増加
・2℃シナリオでのEV化の進展
・WH軽量化の需要増加
・軽量化ワイヤハーネス
・CASE対応研究開発の推進
・自動車電装事業に情報通信やエネルギー事業などの知見を組み合わせ、EV 関連の新規事業創出
・ワイヤハーネス以外の自動車部品やEVへの対応強化
・グリーン関連製品拡大
不動産 デジタル技術活用の推進
・ZEBなど環境影響配慮のニーズ
・環境配慮を要求するテナントの獲得と維持

リスク管理

 特定したリスクに対する対応や今後の検討は、環境担当役員である常務取締役が委員長を務めるフジクラグループ地球環境委員会にて承認・決定しています。CSR 重点方策で定めた活動計画の実績報告とあわせて、フジクラグループ地球環境委員会で情報の共有と対応案の検討と承認を行い、サステナビリティ戦略会議へ報告しています。また、フジクラグループ各拠点の使用電力、水、廃棄物などの環境データを入力・評価・分析し、年2回フジクラグループ地球環境委員会にて実績確認、計画見直しなどを行っています。

財務への影響の把握

 2021年度は、気候変動に起因すると思われる現象による、直接的な事業への影響は認められませんでした。
 将来の被災リスクに備え以下の投資をこれまでに行ってきております。
 フジクラ佐倉事業所は、過去に豪雨による法面崩落事故を経験しました。近年、気候変動により回数が増している豪雨に備え、2016~2019年度にかけて法面整備を進めてきました。(費用:5.8億円)
 西日本電線の大分工場は、大分湾に面しており、台風時の高潮、津波による被災リスクを抱えています。これに対応し、2017年度、500名の従業員が避難可能な新事務棟を建設しました。(費用:4.6億円)

佐倉事業所の法面工事

佐倉事業所の法面工事

西日本電線の津波避難タワー

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