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ESG

フジクラグループのCSR

第三者意見 / ご意見を受けて

第三者意見

本木 啓生 株式会社イースクエア 代表取締役社長

本木 啓生
株式会社イースクエア
代表取締役社長

2年前、厳しい事業環境に直面したフジクラグループは、事業再生計画「100日プラン」を掲げ企業改革への取り組みを開始しました。その計画に目処を付けたことで、経営は持続的成長となる次フェーズに移行する段階へと入ったことが確認でき、嬉しく思っています。

CEOメッセージでは、「100日プラン」の目玉の一つ、ガバナンス改革の断行においては、2021年4月には取締役・執行役員を半減させつつ、機動力と実行力を重視した権限の集約化のため、CEOとCOOのツートップ体制を設けたことが語られています。2022年4月からは、次なる成長フェーズに向け、CEOの直下にCFOとCTOを設置しました。それは、高い技術力を戦略に活かしていくことと、戦略を支える財務基盤の確立が重要との認識によるものだと説明しています。

同時に実施してきた既存事業の聖域なき「選択と集中」についても断行し、事業再生が着実なものになっている印象を受けます。サステナビリティの取り組みにおいては、脱炭素とデジタルを重視し、GXとDXの活動を開始したことが語られており、事業戦略との関連性も読み取ることができます。

一方、誌面を読み進めると、CEO、CTO、CFOが語るメッセージと、その他のページとが分断されており、統合された検討がなされていない印象を随所で受けます。例を挙げて説明したいと思います。

分断その一は価値創造モデルについてです。残念ながら昨年からほとんど進化しておらず、逆に各説明ページの記載がなくなり、情報へのアクセスが難しくなっている点があることも否めません。統合報告書で伝えるべき重要なメッセージの一つは、経営戦略とサステナビリティの推進とを一体のものとして中長期的な企業価値を生み出していくプロセスや考え方を示すことだと私は考えますが、残念ながら十分な説明には至っていません。

例えば、価値創造の源泉として、昨年度は顧客価値創造サイクルを説明していました。社会ニーズを背景に、顧客価値を生み出すプロセスが分かりやすく説明されていましたが、今年は掲載がなくなっています。また、競争優位性として3つの強みを示していますが、昨年度と同じ内容で進展が見えません。技術力については、CTOメッセージを読むことで技術の優位性を感じることが出来るのですが、価値創造モデルの説明には反映されていません。さらに、価値創造モデルからImpactとして方向性を示している「サステナビリティ新目標」と「2030年ビジョン」と「環境長期ビジョン2050」ですが、お互いがどのように関連し相乗効果を図ろうとしているのか、読み取ることができません。

分断その二は、財務資本の指標に関してです。重要な指標を抽出して経年で示しているは良いのですが、CFOメッセージとの連動性がありません。CFOは、企業価値をモニタリングするのに欠かせないKPIとして投下資本収益性と財務安定性を挙げられていますが、いずれの指標も確認することができません。読者としては、企業価値向上の進捗を数字の面から確認したいと考えますので、どうしても宙に浮いた印象を受けてしまいます。一方、非財務資本の開示に関しては、企業価値との関係性について言及がないため、どのように読み取ればよいのかが分かりません。

分断その三は、人的資本に関するものです。トップメッセージでは「人材なくして成長なし」という考えを示し、人的資本の重要性が熱く語られているのですが、経営計画の人材育成のページを見ると、人材育成活動は経営の重要な柱の一つと書かれてはいるものの人材育成プログラムの一覧が載っているだけで終わっています。

サステナビリティ課題に関しては人権について触れたいと思います。人権デュー・ディリジェンスの法制化あるいは強制労働に基づく製品・サービスの輸入禁止の制度化などが世界各地で進んでおり、人権に関する取り組みはソフトローからハードローへと厳しさが増し、今や必達事項の一つとなりつつあります。人権リスクは、事業リスクにも直結する問題となってきていますので、各社とも取り組みを推進するとともに、開示情報を拡充しているのですが、フジクラグループでは、統合報告書における掲載量が昨年の1/4と縮小され、時代に逆向しているように思います。人権侵害を受ける可能性のあるライツホルダーの目線による人権リスクの優先順位付けを行い、特定した顕著な人権課題を事業プロセスにどのように組み込んでいるのか、あるいは組み込もうとしているのかについて、今後の開示が望まれます。

事業戦略とサステナビリティを一体のものとして位置付けた価値創造のあり方について、経営レベルでの徹底した議論の結果を統合報告書に盛り込むことで、より説得力のあるストーリーとなり、他社とは一線を画すより力強い価値創造モデルに昇華できるのではないかと期待しています。そして、V字回復を達成したフジクラグループでは、2023年5月に発表予定の新たな中期経営計画を策定中との言及があります。サステナビリティの要素を十分取り込んだ中期経営計画を策定し、企業価値の向上と社会価値の向上を同軸で実現していく企業経営に期待したいと考えています。

ご意見を受けて

齊田 昭
執行役員(コーポレートスタッフ部門)

今回も第三者意見をいただきありがとうございます。
フジクラグループは 2019年度の大幅な決算悪化を受け、2020年度を最終年度とした中期経営計画を断念、「ガバナンス強化」と「聖域なき選択と集中」を要諦とした事業構造改革「100日プラン」を策定し、その実行にあたってきました。この「100日プラン」は伊藤社長CEOが主査を務める経営資源効率化委員会で議論を重ね、これまで計112のアクションアイテムを設定、2021年末にはそのうち約9割のアイテムは既に実施済みもしくは方向付けが完了しています。

一方で、 国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)の成果文書では、産業革命以前と比べて世界の気温上昇を1.5度に抑える努力を追求する旨が明記され、野心的な気候変動対策が求められるようになりました。そのような状況のなか、フジクラグループはフジクラグループ環境長期ビジョン2050を2016年に制定し、環境負荷の最少化に向けた4つのチャレンジに取り組んでいます。特に、カーボンニュートラルの実現に向けては、自社のCO2排出削減や再生可能エネルギーの導入推進だけではなく、サプライチェーン全体での脱炭素を目指しています。現在、SBTi認定取得に向けた準備を進めており、今後も気候変動対策に注力していきます。

さて、本木啓生様より専門家としてのお立場から第三者意見をいただき、主に「価値創造モデルのさらなる深堀」「マテリアリティの優先順位の経営視点での検討」「人権デュー・ディリジェンスの推進」についてご提言をいただきました。ご提言一つひとつをしっかりと受け止め 、サステナビリティ戦略会議の検討課題とさせていただきます。ご提言一つひとつをしっかりと受け止め 、サステナビリティ戦略会議の検討課題とさせていただきます。

フジクラグループは経営理念MVCV『フジクラグループは“つなぐ”テクノロジーを通じ顧客の価値創造と社会に貢献する』の実現を目指し、ESGを含む様々な社会課題の解決にむけた取り組みを続けていきます。

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