フジクラ技報一覧

No.117 2009年11月
論文記事
高効率単一偏波ファイバレーザ
光電子技術研究所 | : | 柏 木 正 浩 三 室 将 邦 市 井 健太郎 諸 橋 倫大郎 |
光応用製品事業推進室 | : | 井 添 克 昭 |
近年,ディスプレイや医療などの分野において,波長変換を用いた高出力可視光源が注目されている. この光源を実現するためには,高出力で高効率,狭スペクトル幅,高偏波消光比を持つ単一偏波光源が 必要となる.そこで当社では波長変換用の単一偏波ファイバレーザを検討した.試作品の特性を評価し, 波長変換に好適であることを確認した.
低曲げ損失光ファイバ FutureGuide® - BIS - B
光電子技術研究所 | : | 布 目 智 宏 遠 藤 祥 平 松 和 也 杉 本 泰 子 松 尾 昌一郎 |
光ファイバ・ケーブルシステム事業部 | : | 内 山 圭 祐 横 田 和 宏 |
当社では,トレンチ型の屈折率分布を用いた低曲げ損失光ファイバFutureGuide®-BIS-B を開発したFutureGuide®-BIS-B の曲げ損失はG.657.B に準拠し,曲げ半径7.5 mm における曲げ損失は,従来のステップ型のシングルモード光ファイバより約1 桁小さい.また,G.652.D に準拠した光学特性を有するため,通常のシングルモードファイバとの接続損失も小さく,アクセス系ネットワークにおいて幅広く利用されることが期待できる.
細径低摩擦インドア光ケーブル
光ケーブルシステム開発センター | : | 遠 藤 克 佳 佐 山 忠 嘉 大 野 昌 史 竹 田 大 樹 田 中 志 明 塩 原 悟 岡 田 直 樹 宮 本 末 廣 |
FTTH のさらなる普及,発展に向けて,光ファイバを集合住宅の各戸まで配線する方式が求められている.しかしながら,既設の集合住宅において,光ケーブル用の配管が無い場合には,配管を新たに設置する必要があるなど,コスト上の理由などから光ケーブルの追加布設が困難である場合が多い.そこで当社では,優れた低摩擦性と機械特性を有し,通線ロッドを用いない押し込み工法によって,メタル電話線などが布設されている既存配管の隙間に,容易に多条を布設することが可能な細径低摩擦インドア光ケーブルを開発した.
新型光ファイバ心線対照器の結合効率向上
光機器・システム事業部 | : | 新 見 慎 一 杉 山 茂 樹 前 沢 紀 行 川 西 紀 行 |
光ファイバネットワークを家庭にまで広げるFiber To The Home(FTTH)の工事・保守作業においては,光ファイバ心線対照器による心線対照作業が実施されることが多い.しかし近年,低曲げ損失の光ファイバ(R15心線)の導入が進み,光ファイバ心線対照器には高い結合効率が要求されるようになった.これらの市場要求にこたえるため,結合効率を向上させた光ファイバ心線対照器を開発した.
楕円関数の電力分野への応用の現状と展望 ~方法の転換:計算の代わりに思考する~
千 葉 大 学 | : | 木 下 遥 |
(株)ビスキャス | : | 渡 辺 和 夫 |
楕円関数はこれまで物理や工学の分野では広く応用されてきているが,一般に敬遠されがちな傾向にあることも否めない.そこで,本稿では,楕円関数の電力分野における応用例,とりわけ電力ケーブル関連問題への楕円関数を用いた等角写像の活用の現状と今後の展望について紹介する.現在のコンピュータによる数値計算の主流の中にあって,あえて「計算の代わりに思考する」というリーマンの根本原理に立ち戻って,楕円関数による解析の有用性とそのシンプルでエレガントな美しさを再認識したい.
携帯電話照光用ライトガイドフィルム
電子電装開発センター | : | 江 戸 崇 司 稲 田 具 貞 大 山 昌 紀 今 井 隆 之 |
光電子技術研究所 | : | 佐 藤 新 平 浅 野 健一郎 |
プリント回路事業部 | : | 西 脇 賢 治 |
携帯電話の操作部を均一に照光する部品として,ライトガイドフィルム( Light Guide Film,以下LGF と略す)の採用が増加している.当社は独自のLGF の開発に成功し,販売を開始した.この製品の実現のために,光透過率や柔軟性に優れたベースフィルムと,高い効率で光を拡散し耐久性に優れた光拡散インクを開発した.また,光学シミュレーション,輝度分布の評価技術も確立した.本報では,これらの要素技術の開発について報告するとともに,応用開発製品を紹介する.
高精細高密度プリント配線板
電子電装開発センター | : | 野 神 敦 樹 小 林 一 治 |
環境エネルギー研究所 | : | 篠 田 辰 規 |
近年,電子機器や搭載部品の軽量小型薄型化,IC の多ピン化にともないプリント配線板に対する高密度化要求が高まっている.そこで当社では微細配線形成技術,および高い平坦性を有するめっき充填された微小スルーホール形成技術を確立し,高精細高密度プリント配線板 ”μスルーホール両面FPC ”を開発した.今回このμスルーホール両面FPC の特徴と技術開発について報告する.
色素増感太陽電池モジュールの屋外暴露試験
太陽光発電研究室 | : | 臼 井 弘 紀 岡 田 顕 一 土 井 克 浩 松 井 浩 志 |
色素増感太陽電池は,従来の太陽電池に比べて低コストで環境にやさしい,次世代の太陽電池として期待されている.当社ではこれまでに水分の浸入を防ぐパッケージや,集電配線を腐食させない保護層などの技術を適用することによって,JIS 規格に定められる耐久性評価項目をクリアできるセルの開発に成功した.今回,この技術をベースに開発したサブモジュールを直列に接続して,80 × 80 cm サイズのモジュールパネルとして屋外暴露試験を行うことにより,その動作状況について調べた.
REACH 高懸念物質のスクリーニング分析
環境・分析センター | : | 鈴 木 大 輔 尾 鍋 和 憲 |
2007年6月にEUで施行されたREACH規則の管理物質である高懸念物質(SVHC)は,最終的に1500物質に上ると言われるが,2008年10月に最初のSVHCリスト15物質が公表された.これを受け,製品中SVHCの含有情報について,セットメーカ等の顧客からの要求が予想されることから,SVHC分析方法の確立が必要となった.しかしながら,RoHS指令などで行われてきた蛍光X線(XRF)によるスクリーニング法では,ハロゲン・金属元素を持たない有機化合物を分析することはできない.そこで前処理を必要としない簡便な分析法である,熱抽出-GC/MSによる二次スクリーニング法の開発を検討した.その結果,目的とした6 物質について,閾値1000ppm の1/10という良好な検出下限が得られ,本法とXRFによるスクリーニング法を組み合わせることで,SVHC15物質すべての分析体制が整った.
表面実装用極薄型WLP
電子デバイス研究所 | : | 石 塚 健 井 上 俊 明 鈴 木 孝 直 |
外部端子としてはんだバンプを設けた構造で総厚さ200μm Maxという業界最薄の表面実装用ウエハレベルパッケージ(WLP)を開発した.この極薄型WLPは,0402サイズの表面実装部品と同じ高さでICを実装することができ, 電子機器や部品のさらなる小型化・薄型化を可能にする.本稿では,極薄型WLPの作製方法とその実装信頼性の評価結果を報告する.