〔ISO26000 中核主題〕 人権、労働慣行
「人間社会における多様性」を意味するダイバーシティの基本的な概念は、企業という組織に置き換えますと、「社員個々人の違いを尊重し、その違いに価値を見付け出し、社員全員を組織内で平等に活躍させることで企業としての能力を最大限に発揮させること」と言われています。私たちは、ダイバーシティに関するこのような概念をベースとして「女性の活躍推進」、「障がい者雇用」、「定年退職者の再雇用」、「外国籍社員の雇用」などのテーマに積極的に取り組んでいます。
当社グループのダイバーシティに関する基本的な理念・方針としては、以下のものがあります。
- ダイバーシティの基本理念
- 「多様な人材がお互いの個性を積極的に認め合うことでそれぞれの強みを活かし、能力を最大限に発揮できるような組織風土を醸成する」
- ダイバーシティを尊重する経営方針
- 「一人ひとりが持てる能力を十分に発揮し、顧客ニーズに的確に応え、フジクラを優れた企業にすること、そのために、それぞれが互いを尊重し、激励し、協力し合う全体最適な風土を作りだす」
- 「フジクラグループCSR活動指針」の2指針
- 〔指針①〕
すべての社員が自主性と創造性を十分発揮できる、差別のない、明るい職場作りを目指します。
〔指針②〕
社員の機会均等及び仕事と私的生活との調和に努めます。
- グローバル人財の人事処遇制度の確立
- グローバル人財の採用・教育の推進
- 社員のグローバル化
- 障がい者雇用率達成(新基準2.0%以上)
- 女性社員比率のアップと一般職社員の活性化
など
グローバルに事業を展開している当社グループの「女性の活躍推進」に向けた取り組みは、国際的な動向である国連「ナイロビ将来戦略勧告(*1)」、国連「女性の経済的エンパワーメント原則(*2)」等のこれまでの取り組み経緯に加えて、わが国の「男女共同参画社会基本法(*3)」や「男女共同参画基本計画(*4)」、その後の「第3次男女共同参画基本計画(*5)」等の内閣決定内容を踏まえながら、さらには、最近のEUの動向等も考慮しつつ取り組みを推進しています。
- ・(*1)国連「ナイロビ将来戦略勧告」
- 1990年5月、国連経済社会理事会は、「世界女性会議を1995年に開催することを国連総会に勧告すると共に、婦人の地位向上に関するナイロビ将来戦略の見直しと評価への勧告及び結論(ナイロビ将来戦略勧告)」を採択しました。また、同勧告は、「政府、政党、労働組合、職業団体他の代表的団体は、2000年までに男女平等参画達成するために、指導的地位に就く婦人の割合を1995年までに少なくとも30%にまで増やすという目標を目指し、婦人の募集と訓練プログラムを定めるべき」との数値目標を設定しました。
- ・(*2)国連「女性のエンパワーメント原則(WEPs)」
- 「UN Women(ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関)」は、2010年7月に国連総会で設立が決議され、2011年1月に「ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関(UN Women)」として発足しました。UN Womenは、世界・地域・国レベルでの活動をリード・支援・統合する役割を果たしています。「WEPs7原則」は、2010年3月に国連と国連グローバル・コンパクト(GC)とUN Womenが共同で作成した女性の経済的エンパワーメントを推進する国際的な原則です。
- ・(*3)日本「男女共同参画社会基本法」
- 1999年6月、わが国で「男女共同参画社会基本法」が制定されました。同法は、少子高齢化の進展等、国の社会情勢の急速な変化に対応し、男女が互いに人権を尊重し、責任を分かち合い、その個性と能力を十分に発揮することができる社会の実現は緊要な国家の課題である。男女共同参画社会の実現は、21世紀のわが国の最重要課題と位置付け、社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会の形成促進施策の推進を図る狙いがあります。
- ・(*4)閣議で決定された「男女共同参画基本計画」
- 2000年12月、内閣において「男女共同参画基本計画」が決定されました。この計画には次の3つの方針が示されています。①男女共同参画会議の反省から実効的アクション・プランとしての数値目標やスケジュールを設定。②性別役割前提の社会制度や社会構造の変革を目指す。「仕事と生活の調和」、「子ども・子育て支援」、「子ども・若者育成支援」、「人権施策」など、政府が一体となって関連施策の連携を図る。③女子差別撤廃委員会の指摘事項を点検し、国際的な規範・基準の積極的な遵守等、国際的な協調を図る。
- ・(*5)閣議で決定された「第3次男女共同参画基本計画」
- 2010年12月、閣議決定した「第3次男女共同参画基本計画」は、「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度に」という目標の達成に向けて、取り組みの強化・加速が不可欠である。クオータ制(割当制)やインセンティブ付与、ゴール・アンド・タイムテーブル方式など多種多様な手段のうち、分野や実施主体の特性に応じて、実効性のある積極的改善措置を推進することが決まりました。
当社グループの女性の活躍推進に向けた取り組みは、国連を中心とした国際的な動向及びわが国の基本法・基本計画をベースに、当社グループのダイバーシティの基本理念やCSRの活動指針を基づく中長期ビジョンと目標を定めています。
-
1.女性社員比率アップ
-
2.キャリアカウンセル充実で女性離職率低減
-
3.事務系採用数で50%を目指す
-
4.採用活動の継続
女性の積極採用や登用など、今後も継続的に女性の活躍を支援するための取り組みに注力していきます。
- *ノーマライゼ―ション
- 障がい者や高齢者がほかの人々と等しく生きる社会・福祉環境の整備や実現を目指すこと。1950年代にミケルセン(デンマーク)らの知的障がい者の施設改善運動から生まれた理念。障がいを持っていても地域社会で普通の暮らしを実現を目指して社会環境の変革に寄与。国連の国際障がい者年(1981年)に伴い広く知られるようになった。現代の社会福祉の基本理念ともなっている。
- 障がい者雇用拡大
①障がい者雇用率2%の達成
②環境の整備
③特例子会社の検討
障がい者雇用率(法定雇用率2.0%)
2010年度末 |
2011年度末 |
2012年度末 |
2013年度末 |
2014年度末 |
1.73% |
1.85% |
1.90% |
1.86% |
1.9% |
当社は、2014年度も特例子会社の設置に向けた取り組みを進めました。
積極的に障がい者雇用に取り組んでいる当社には、車いす陸上のアスリートも入社しています。職場環境を整備する一方、パラリンピック出場を目指す車いすアスリート社員へのスポーツ支援も積極的に行っています。
定年退職(60歳)されたOBが永年培った「モノづくり技術」や「経営ノウハウ」は当社グループ内における貴重な財産であり、会社と個人双方の合意の下、雇用の必要性の高い人材を「マスターズコンサルタント」として再雇用しています。2013年4月の高齢者雇用安定法の改正を受け、原則として希望者全員を定年後最長5年間再雇用する制度へ改定しました。
グローバル経営の推進にあたり、国境を越えた人財マネジメントの重要性が高まるなか、当社においても55名の外国人社員が活躍しています。2013年度からはグローバル枠での外国人社員採用活動を開始し、2013年度は5名、2014年度は1名が入社し、2015年度は2名の入社を予定しています。