フジクラ技報一覧

No.124 2013年6月
論文記事
40Gb/s・100Gb/s伝送に向けたシリコン多値位相光変調器
シンガポール マイクロエレクトロニクス研究所 | : | Tsung-Yang Liow Xiaoguang Tu Guo-Qiang Lo Dim-Lee Kwong |
光電子技術研究所 | : | 五 井 一 宏 岡 徹 日 下 裕 幸 小 川 憲 介 |
シリコン光変調器は,商用で普及しているlithium niobate(LN)光変調器に比べて大幅な小型化・低コスト化が期待できることから注目を集めている.我々は,今後主流となる四値位相変調(QPSK)方式に対応したシリコン光変調器の開発を進めている.試作した変調素子長は3.5mmで,LN光変調素子に比べて約10分の1の小型化を実現した.本素子を用いて44.6Gb/s DQPSK方式で良好なBER特性を達成し,40Gb/s変調器に資することを実証した.さらに,最大64Gb/sのQPSK信号生成が可能であることから,偏波多重機能の集積による100Gb/s変調器への適用が期待される.
広帯域低モード分散を実現する2モード光ファイバ
光電子技術研究所 | : | 丸 山 遼 桑 木 伸 夫 松 尾 昌一郎 佐 藤 公 紀 |
次世代大容量伝送システムとして,複数のモードを伝搬するFew-Mode Fiber(FMF)を用いたモード分割多重(Mode Division Multiplexing ; MDM)伝送が近年注目されている.モード結合に起因する信号劣化を補償するためにMIMOを適用した場合,その信号処理量を軽減するためには,低モード分散を有するFMFを適用する必要がある.そこで当社では,広波長範囲において低モード分散を実現する2モード光ファイバ(TMF)の最適設計法を明らかにし,それを基に作製したTMFが所望の特性を満足することを確認した.
超細径高密度光ファイバケーブル
ケーブル・機器開発センター | : | 竹 田 大 樹 伊佐地 瑞 基 富 川 浩 二 大 里 健 山 中 正 義 岡 田 直 樹 |
経済的・効率的な光ファイバネットワークの構築のために,間欠接着型4心光ファイバテープ心線を実装した「超細径高密度光ファイバケーブル」の開発を行った.本ケーブルは隣り合う2心の単心光ファイバが長手方向に間欠的に接着された間欠接着型4心光ファイバテープ心線を用い,また,ケーブル内のデッドスペースを極限まで削減する事により,従来ケーブルと比較して外径を最大29%,重量を最大52%低減し,世界で最も高い光ファイバ実装密度を実現することに成功した.
FTTH用小型光ファイバ融着接続機
精密機器事業部 | : | 神 田 佳 治 石 原 雅 史 二ノ宮 康 之 小 沼 朋 浩 |
Fiber To The Home(以降 FTTH)工事における宅内引き落とし前までの光ファイバケーブルの接続は,融着接続が主流である.FTTH工事においては架空等の様々な作業環境があり,また作業現場間の移動も多いため,融着接続機の携行性が重要視される.また電源が得られない作業現場も多いため,バッテリによる融着接続及び加熱補強回数を重要視する顧客が増えてきている.そこで,装置の小型化・軽量化と共に,融着接続・加熱補強回数を向上させた小型融着接続機を開発した.
メガソーラー用ケーブル
エネルギー・情報通信事業部 | : | 益 田 丈 輔 渡 部 亮 舍 川 亮 一 |
ケーブル・機器開発センター | : | 富 田 一 成 |
ものづくり経営センター | : | 古 郡 永 喜 |
西日本電線 | : | 川 口 和 浩 |
シンシロケーブル | : | 河 野 敦 直 |
近年,日本各地に大規模太陽電池発電所(メガソーラー)の建設が急速に進められている.当社ではこのシステムに必要な太陽電池発電所設備用直流1500Vケーブルの開発および分岐付ケーブルを用いた省力配線化の検討を行った.本報ではこれらの開発・検討に加え,メガソーラーで使用されている配線機材を紹介する.
超細径漏洩同軸ケーブルZLCX-2.5D
エネルギー・情報通信事業部 | : | 丹 羽 敦 彦 |
ケーブル・機器開発センター | : | 鈴 木 文 生 |
ワイヤレス通信の拡大に伴い,会議室や機器内などの狭い空間に絞って通信ができ,しかも,簡単に設置できる細径で軽量なアンテナである漏洩同軸ケーブル(Leaky coaxial cable,以下LCXと略す)への要求が高まっている.当社では,外径4mm,質量20g/m,電気特性は2.4GHzにおいて結合損失57dB,伝送損失1.3dB/mのLCXを開発した.現存するLCXの中では最も細径,軽量であり,その優れた性能により狭域での2.4GHz帯無線LAN用アンテナに適用できる.
超ファインメンブレン配線板
機能モジュール開発部 | : | 鳥 井 純 一 小清水 和 敏 小 野 朗 伸 |
Fujikura America Inc. | : | 今 井 隆 之 |
機能モジュール技術部 | : | 羽 生 伸 治 |
Fujikura Electronics(Thailand)Ltd. | : | 大 山 昌 紀 |
設備技術部 | : | 飯 塚 裕 堀 野 成 次 |
株式会社青森フジクラ金矢 | : | 八 木 橋 亮 |
藤倉化成株式会社 | : | 笹 村 悟 |
スクリーン印刷の限界を超えた超ファイン回路の印刷を実現する手法として,グラビアオフセット印刷技術を開発し,L/S=30μm/30μmレベルの超ファインメンブレン配線板を実現した.静電容量型タッチパネルの周辺引き回し配線や,微細銀メッシュパターンによる透明電極形成などへの応用が期待される.本稿では,印刷技術とメンブレン配線板の特性について報告する.
ノンハロゲン・ノンリン難燃材料
環境・エネルギー研究所 | : | 岩 田 誠 之 福 島 悠 佳 渡 辺 知 久 |
近年,環境意識の高まりを受けて,環境や人体への安全性が高い難燃材料が注目されている.今回,我々はハロゲン化合物やリン化合物を使用せず,高難燃かつ環境安全性の高い難燃材料を開発した.この難燃材料は,JIS C3665垂直一条燃焼試験,JIS C3521垂直トレイ燃焼試験に対応できるレベルの難燃性と,電線被覆材として使用可能な特性を有す,これまでにない材料である.
φ20cm室温ボア世界最大級イットリウム系5T高温超電導マグネット
新規事業推進センター | : | 大 保 雅 載 藤 田 真 司 原 口 正 志 飯 島 康 裕 伊 藤 雅 彦 斉 藤 隆 |
イットリウム(Y)系超電導線材は20K以上の高温領域でも高い臨界電流−磁場特性を示し,高い機械強度を有していることから様々な超電導機器への応用が期待されている.我々は過去20年以上Y系超電導線材の開発を行ってきたが,並行して応用化のためのコイル開発も行ってきた.今回,当社はφ20cm室温ボアを有し,蓄積エネルギー426kJという世界最大級のY系高温超電導マグネットの開発に成功したので以下に概要を報告する.
デジタル出力超小型大気圧センサ
光電子技術研究所 | : | 冨 田 道 和 高 山 直 樹 和 田 英 之 平 船 さやか 末 益 龍 夫 |
電装品技術部 | : | 幸 田 勉 |
近年,バッテリ駆動方式の携帯電子機器が,移動体通信やヘルスケアなど多岐に渡る分野で次々と開発され,それらの携帯電子機器に対して各種センサを搭載することで付加価値を生み出そうとする動きが活発化している.その中で,大気圧計測を目的とした圧力センサも,注目されるデバイスの一つとなっている.携帯電子機器の分野においては,センサの小型化・低消費電流化が必須であるため,この度,それらを実現したデジタル出力超小型大気圧センサを開発した.本稿では,開発したセンサの特長について報告する.