フジクラ技報

フジクラ技報一覧

No.122 2012年7月

No.122 2012年7月

論文記事

デジタル放送受信用折り畳み型フィルムアンテナ

光電子技術研究所 官     寧
細 野 亮 平
田 山 博 育
電子部品開発センター 古 屋 洋 高

携帯電話やノートPC等で地上デジタル放送の受信に用いられるアンテナには,小型,軽量でありながら広帯域な周波数帯における良好な動作が求められる.フィルムアンテナは軽量で体積が小さくかつフレキシブルであるため,小型電子機器に搭載されるアンテナの有力な候補の一つである.われわれは,地上デジタル放送の周波数帯において動作する平面フィルムアンテナをベースとした折り畳み型アンテナを開発した.平面アンテナ自体はサイズが78×56mm2で小型でありながら,470MHzから890MHzまでの地上デジタル放送の周波数帯で動作する.われわれはそのアンテナをさらに折り畳んでも動作するように最適化した.その結果,アンテナの寸法が78×20×4mm3となり,さらに小さくなっても地上デジタル放送の周波数帯をカバーできるようになった.

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高出力連続波ファイバレーザ

光電子技術研究所 島   研 介
北 林 和 大
島 田 典 昭
谷 川 庄 二
田 中 弘 範
大 道 浩 児
オプトエナジー株式会社 藤 本   毅

ファイバレーザには,イッテルビウム添加ダブルクラッドファイバやフォトダークニング抑圧ファイバなどの特殊ファイバ技術,高出力励起用半導体レーザ技術,ファイバ・ブラッグ・グレーティングや励起コンバイナといった光ファイバ部品技術などの当社グループの光技術が十二分に利用されている.これらの技術をいかし連続波ファイバレーザの高出力化を進め,300W空冷単一モードファイバレーザおよび2kW水冷マルチモードファイバレーザを実現した.

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光カメラリンクケーブル

新規事業推進センター 新 井 義 則
光電子技術研究所 木 村 直 樹
光ファイバ・ケーブルシステム事業部 岡 田 直 樹
メタルケーブル事業部 舍 川 亮 一

カメラリンクは米国のAutomated Imaging Association(AIA)が策定したデジタルカメラとフレームグラバとをつなぐインタフェース規格であり,工業用カメラに多く用いられている.画像データの伝送はパラレル方式が採用されており,各データチャネル間の伝達遅延差によって伝送距離が制限される問題があった.そこで,われわれは独自の超小型光実装構造(マイクロコネクション)を採用することによりカメラリンクケーブルをアクティブ光ケーブル(AOC)化し,従来メタルケーブルの限界とされていた10 m以上の伝送を可能にした.

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軽量化アルミニウム合金ワイヤハーネス

環境・エネルギー研究所 篠 田 辰 規
市 川 雅 照
自動車電装事業部 瀬 下 裕 也
和 田 政 宗
望 月  淳

近年の自動車軽量化の要求によりワイヤハーネスの軽量化が必要となっている.軽量化ワイヤハーネスとしてAl電線がひとつの候補となるが,強度不足,接続不良,異種金属接触腐食に対して課題がある.これらの課題を解決するため,ワイヤハーネスに適した高強度高導電Al合金電線および端子接続技術を開発した.開発したAl合金電線とCA線を組合わせて作製したワイヤハーネスは,従来のCuワイヤハーネスと比較して20%の軽量化を達成した.

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メンブレン用防水コネクタ

自動車電装開発部 竹 村 安 男
大 崎 卓 也
近 藤 正 裕
石 谷 裕 治
電装品技術部 幸 田   勉

近年の自動車電装品の増加にともない,部品の小型化,軽量化,低コスト化が求められており,その対策の一つとしてメンブレン配線板,FPC,FFCなどフレキシブル配線板の自動車への搭載検討を進めている.先般,われわれはメンブレン配線板の表面印刷回路,裏面印刷回路のどちらにも接続可能なXビード構造をもつ,小型で信頼性の高いメンブレン用端子およびメンブレン用非防水コネクタを開発した.今回,ホットメルト樹脂接着剤とゴムパッキンのハイブリッド構造で防水を実現し,メンブレン配線板と自動車電装品を直接接続できるメンブレン用防水コネクタを開発・量産したので,これについて報告する.

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FPCの高密度化技術

電子部品開発センター 岩 村 昌 浩
関   善 仁
小 林 一 治

移動体通信端末機に代表されるように,近年,電子機器の小型化,高機能化が急速に進行している.これにともないフレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuit, FPC)も,従来の内部配線としての役割から,部品実装を含んだ製品機能の一端をになうものへと変化し,さらに高密度化が要求されてきた.本報ではFPCの高密度化技術について報告する.

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セミアディティブ法を適用した全層ポリイミドIVH一括積層配線板

電子デバイス研究所 小野寺 久 美
板 橋   敦
南 條 宏 和
奥 出   聡
中 尾   知

次世代多層配線板に要求される高密度化,薄型化,高速/高周波伝送化に対応すべく,当社ではセミアディティブ法による回路形成を適用した全層ポリイミドIVH一括積層配線板(Semi-Additive Process applied All Polyimide IVH Co-laminated:SAP-APIC)を開発した.SAP-APICはセミアディティブ法を採用することで,従来のサブトラクティブ法によるものよりも配線を微細化し,多層板の全層にわたり最小配線幅/スペースで30 μm/30 μmの配線ルールに対応が可能である.本プロセスを適用した6層配線板を作製して各種信頼性試験を行い,多層配線板に求められる信頼性を満足することを確認した.

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電子コンパスの超高速校正システム

電子デバイス研究所 小 澤 直 行
相 沢 卓 也

磁気センサを利用した電子コンパスは携帯機器に搭載された状態では,携帯機器内部の部品が発する漏洩磁場により正確な方位を算出できないため,この漏洩磁場の影響を取り除く必要がある.また,漏洩磁場は携帯機器外部からの強磁場印加や,経時変化,温度による変化があるため,携帯機器をユーザが使用している状態で漏洩磁場を演算により除去することが望まれてきた.当社ではより簡便でかつ高精度な方位表示を可能とすることを狙った逐次的に漏洩磁場の影響を除去する動的校正システムを開発し,その効果について実験で検証した.

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PVC製品中フタル酸エステル類の分析技術

環境・分析センター 鈴 木 大 輔
栗 原 利 康
尾 鍋 和 憲

顧客からの調査要求の増加に伴い,製品中のフタル酸エステル類の分析技術の重要性が高まっている.フタル酸エステル類の抽出法としては様々な手法が提案されているが,回収率と抽出条件の関係を十分検討した例は少ない.そこで4種の抽出法における抽出時間,抽出溶媒,サンプル形状といった要素について検討を行い,最適な条件を見出すことができた.それによって顧客要求に応じた最適な分析手法の選択が可能となった.

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