フジクラ技報一覧

No.119 2010年10月
論文記事
ブラッググレーティング導波路を用いたシリコンフォトニックデバイス
シンガポールマイクロエレクトロニクス研 究 所 | : | Hwee-Gee Teo Ming-Bin Yu Guo-Qiang Lo |
光 電 子 技 術 研 究 所 | : | 五 井 一 宏 佐久間 健 小 川 憲 介 官 寧 Yong-Tsong Tan |
シリコンフォトニクスは,小型・高集積・電気による特性制御など多くの特長から注目を集めている.ブラッググレーティングは多様な光フィルタを実現できる構造であるが,シリコン基板上に作製する場合,導波路の複屈折性が課題となる.そこでわれわれは新たに複屈折性を解消できる導波路構造を開発した.逆散乱法を用いた,複雑な光学特性を実現するブラッググレーティングパターンの設計手法と共に,新規断面構造を用いたシリコンフォトニックデバイスの開発について紹介する.
分散補償ファイバモジュール
光機器・コンポーネント事業部 | : | 愛 川 和 彦 吉 田 順 司 齊 藤 伸 工 藤 学 |
株式会社青森フジクラ金矢 | : | 鈴 木 一 成 |
光通信システムの広帯域化には伝送用光ファイバで生じる累積波長分散の補償が必要である.現在最も多く使用されている分散補償デバイスは分散スロープ分散補償ファイバ(Slope Compensating and Dispersion Compensating Fiber : SC-DCF)を用いたモジュールである.このSC-DCFモジュールに対しては,大きく二つの高性能化要求がある.ひとつは,モジュールの低損失化である.モジュールの低損失化により光増幅器に対しての利得の要求は緩和され,雑音指数などが改善されることによりシステム全体の特性が向上する.もうひとつの要求はモジュールの小型化である.波長多重伝送システムは多くのデバイスから構成されており,それぞれのデバイスを小型化することは大きな課題のひとつである.これらの要求に対してそれぞれのSC-DCFを開発しモジュールの各種特性,信頼性を検証した結果,製品への適用が可能であることを確認したので報告する.
特殊光ファイバ融着接続機
光機器・システム事業部 | : | 飛 田 謙 洋 小 沼 朋 浩 吉 田 謙 介 佐々木 一 美 |
光ファイバ技術の応用分野は情報通信だけでなく非通信分野にも展開され,伝送媒体である光ファイバの種類も多様化している.光ファイバ融着接続機においても,大口径光ファイバや定偏波光ファイバなど多種多様な光ファイバに柔軟に対応可能な機能が必要とされる.今回,市場の要求にこたえるべく,安定した融着接続性能を実現した新型特殊光ファイバ融着接続機を開発した.
デジタルマイクロミラーデバイスを用いた波長選択スイッチ
光機器・コンポーネント事業部 | : | 山 口 太 一 山 崎 成 史 |
光電子技術研究所 | : | 中 谷 晋 |
光ケーブルシステム開発センター | : | 石 川 隆 朗 |
Nistica Inc . | : | Jefferson L. Wagener Thomas A. Strasser |
新世代の通信インフラストラクチャは,光-電気変換を使わずに,光信号の構造や伝送速度の違いを許容しながら,柔軟な運用を行うことを可能としている.われわれは,このようなネットワークを実現するための重要なデバイスである波長選択スイッチを,デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を応用することで製品化した.本稿では,開発のコンセプトと,DMDによりもたらされる特長を解説する.
高速硬化銀ペースト
電子電装開発センター | : | 小清水 和 敏 鳥 井 純 一 小 野 朗 伸 今 井 隆 之 |
互応化学工業株式会社 | : | 太 田 茂 男 田 中 信 也 |
メンブレン配線板の生産性向上を狙い,高速硬化型の銀ペーストの開発を行っている.現用の銀ペーストは熱硬化系であり,硬化時間を短くすると得られる架橋度が小さく,折り曲げ性などの特性が悪化する.そこで,硬化時間が短く銀塗膜の硬化が可能である電子線硬化手法に着目し,電子線硬化銀ペーストの開発を行った.本報ではベース樹脂の選定と照射条件の検討を行い,メンブレンへの適応性について検討した結果を報告する.
自動車用高耐熱電線
環境・エネルギー研究所 | : | 深 井 猛 渡 邉 知 久 直 江 邦 浩 |
自動車電装事業部 | : | 望 月 淳 |
近年,環境保護への関心の高まりから,モータを併用したHybrid Electric Vehicle(HEV)の普及が急速に進んでいる.HEVではエンジンとモータの位置関係から,耐熱性に優れ,狭いスペースを有効利用するための取り回しの良い柔軟なケーブルが求められている.そこで高耐熱性と高柔軟性をあわせ持つ自動車用高耐熱電線を開発した.
窒化アルミニウムバルク単結晶成長
産業技術総合研究所 | : | 加 藤 智 久 長 井 一 郎 三 浦 知 則 奥 村 元 |
環境・エネルギー研究所 | : | 齋 藤 学 鎌 田 弘 之 高 嶋 秀 行 直 江 邦 浩 |
開 発 企 画 部 | : | 真 田 和 夫 |
窒化アルミニウム(AlN)単結晶は,パワーデバイスや深紫外発光素子として期待されているAlN系窒化物半導体の高品質化に必要な基板材料である.当社では,AlN単結晶の育成方法として昇華法(改良レリー法)を用いて実験を行った.その結果,SiC種結晶上に大型・高品質なAlNバルク単結晶を成長させることに成功した.また,AlN種結晶上にAlNバルク単結晶を高速成長させることに成功した.
薄型WLP-IC内蔵ポリイミド多層配線板
電子デバイス研究所 | : | 佐 野 宜 紀 岡 本 誠 裕 奥 出 聡 |
電子機器の小型化を実現するための高密度実装方式として,ICをポリイミド多層基板内部に埋設するIC内蔵ポリイミド多層基板を開発した.ポリイミドフィルムを用いた多層配線板の技術とICへの薄型ウエハレベルパッケージ(WLP)技術を融合させることで,総厚220μmの薄型基板を実現している.本稿では,薄型でフレキシブルであるという特長が基板特性に与える影響について報告する.
融着型現場組立MPOコネクタ
光ケーブルシステム開発センター | : | 高 橋 茂 雄 Ngo Quang Minh 瀧 澤 和 宏 緒 方 和 也 |
近年,光通信の発展にともない通信容量の拡大が求められており,光モジュールや光コンポーネント内部の高密度実装化が必要となってきた.これに対しこれまでにわれわれは,融着接続技術やメカニカルスプライス接続技術を応用し,光ファイバの余長不要での光コネクタ取付けを実現した様々なタイプの単心線用現場組立光コネクタを開発してきた.加えて,われわれは複数の光ファイバを一括で接続できる多心光コネクタであるMPOコネクタを開発してきた.今回われわれはこれら様々な光コネクタ開発で培った技術を応用し,光モジュールや光コンポーネント内部のさらなる高密度実装化を可能とする融着型現場組立MPOコネクタを開発した.