平面配線部品
FPC
FPCは、従来の主な市場であるモバイル・電子機器分野での深化と、車載市場で高まる新たなニーズへの対応を主軸とした製品・技術開発を進めています。
モバイル・電子機器
電子情報機器の進化にともない、よりいっそうの高密度化・高精細化への対応に向けた開発を進めています。また、5Gなどの伝送データ量増大にともない、高周波・高速伝送への対応に向けた開発にも取り組んでいます。
<高精細化技術>
セミアディティブ法による高精細回路形成技術について、現在、L/S=10/10 µmの量産実用化に向けた開発を進めています(写真1参照)。
<高周波・高速伝送FPC>
5Gに対応した低誘電率・低誘電正接材料を用いた機器内配線用FPCと、ミリ波帯(28 GHz)向けのアンテナ基板の開発を進めています(写真2参照)。
車載
自動車の電装化進展にともない、車載用途へのFPCの適用が拡大中であり、新たな機能・性能のニーズに対応するための開発を進めています。
<高放熱FPC>
自動車のLED照明のなかでも出力が高いヘッドランプ用途では、LEDが発生する熱を効率よく逃がす必要があります。放熱特性に優れた材料と製品構造により、高い放熱性を有するFPCを開発しました(写真3参照)。
<異種金属間接合技術>
大電流アプリケーションなどへの適用を目的とする、アルミ補強板を電流路として用いたFPCの開発が求められています。その際に必要となる銅とアルミの溶接に、フジクラ製ファイバレーザを用いた独自の溶接工法を適用し、金属間化合物の生成を抑えた接合を実現しました(写真4、図1参照)。
立体配線部品
フジクラは、電子回路と樹脂筐体が一体となった立体配線部品を開発しました。この技術は、平面状の印刷回路を壊すことなく立体成形することを可能とし、凹凸や曲面を持つプラスチック部品に電子回路を形成することができます。
この技術を用いることにより、成形角度90°、最大10 mmの凹凸を持つABSやポリカーボネートなどの成形部品に、多層回路を形成することができます。
回路の立体化と樹脂の成形加工を同時に行うこの技術は、フレキシブルな基板を手作業で立体化していた従来の組み立て作業を大幅に改善します。さらに、製品デザイン性の向上や部品点数の削減も期待できるため、家電や車載製品への応用が見込まれています。
極細同軸
極細同軸ケーブルアセンブリ
近年、極細同軸ケーブルはモバイル機器やウェアラブル機器、ドローンなど、さまざまな用途で用いられ、非常に限られたスペース内で、高屈曲・捻回特性を有した接続や、さらに細径で、ノイズに強く、高速な信号を伝送するニーズがあります。
そこで、ケーブル内部構造の改良などにより、これらのニーズにこたえる、機器内配線用極細同軸ケーブルおよびアセンブリの開発を進めています。
下の写真は、高屈曲極細同軸ケーブルの例です。中心導体の材質と構成を変更することで、従来のケーブルと比べて10倍以上の屈曲性能を実現しました。このケーブルは、必要な屈曲性能に合わせて設計・製造することができます。
高密度光ファイバケーブル
- ①既存の布設工法のままで、既設管路への布設心数の増加
- ②SWR®を用いたリボンの一括融着接続による接続時間の短縮
- ③屋外から構内にいたる、一気通貫での布設による接続点の減少
超細径高密度型WTC®
空気圧送型WTC®(AB-WTC™)
電子コネクタ
フジクラは、60年以上もの間、独創的なコネクタの開発、製造、品質管理、販売を行ってまいりました。
近年のスマートフォンをはじめとする携帯端末では、小型軽量化への需要がますます高まっており、コネクタに対しても「超低背」「超小型」「高い嵌合操作性」が求められています。
フジクラは、こうした市場のニーズにこたえるため、小型軽量化と多機能化を両立したコネクタの開発に取り組んでいます。
今後のさらに高まるであろう要求にこたえるため、以下の技術を磨き、世界トップレベルの超小型コネクタの開発を進めていきます。
設計技術
- 接触信頼性を確保するために長年培ってきた構造解析技術
- 薄肉でも樹脂を充填させることができる流動解析技術(FTTH)
生産技術
- プレス金型製作技術、プレス加工技術
- 樹脂成形金型製作技術、薄肉樹脂成形技術
- 高速自動検査、組立、梱包技術
- 超小型端子への省金めっき技術
基板間コネクタ(FB3Aシリーズ)
ワイヤハーネス
「クルマの神経と血管」と例えられるワイヤハーネスは、車内の電子ユニットを正常に作動させるための電気経路となる配線の束で、電源や信号を車の隅々までつないでいます。
年々増加し続ける車載装備のエレクトロニクス化により、ワイヤハーネスも複雑化しています。
フジクラは、最新の技術と長年培った知恵と経験をいかし、配線材や車内配線システム、ヒューズボックス、コネクタ、端子にいたるまで、ワイヤハーネスの開発・製造をトータルに手がけています。
熱輸送デバイス
パワー半導体冷却用モジュール
大発熱量のパワー半導体の放熱対策用に、大容量のヒートパイプおよびベーパーチャンバーの開発を行っています。平板型のヒートパイプであるべーパーチャンバーは、全面がヒートパイプの性能を持つため高い放熱性能を発揮します。また、内部構造を改善することで、最大熱輸送能力の向上と低熱抵抗化を実現する開発を進めています。
大型コンピュータ用コールドプレート
スーパーコンピュータやメインフレームなどの大型コンピュータの放熱対策用として、マイクロチャンネルフィン構造(フィン厚:0.15~0.4 mm)を採用したコールドプレートと呼ばれる液冷ユニットを開発しました。このコールドプレートは空冷方式と比べて省スペースでありながら、数倍以上の冷却性能を発揮します。
