フジクラ技報一覧
No.139 2026年7月
(online)ISSN 2436-8938
(printed)ISSN 0912-2761
発行者株式会社フジクラ
東京都江東区木場1−5−1
論文記事
5 kWシングルモードファイバレーザによるCFRPの高速切断
| 光応用技術R&Dセンター | : | 田 久 保 勇 也 |
| 鈴 木 究 | ||
| 阪 本 真 一 | ||
| 山 形 友 二 | ||
| 寺 田 佳 弘 |
当社は,長さ7 mのレーザデリバリケーブルを備えた5 kW連続波(CW)シングルモードファイバレーザを開発した. 高出力と長尺のレーザデリバリケーブルを両立させるために,全固体型フォトニックバンドギャップファイバ(PBGF)を採用し,誘導ラマン散乱(SRS)を効果的に抑制することに成功した.ビーム品質指標であるM²値は出力に関わらず1.6で安定しており,最大出力時には38%という高い電力変換効率(WPE)が得られた.また,200時間を超える長時間の運転においても安定した出力を得られ,本機体の高い信頼性が実証された.レーザを高速ワブリングヘッドと組み合わせて加工実験を行い,厚さ19mmの炭素繊維強化プラスチック(CFRP)板の高速切断に成功した.
24 GHzワイヤレス電力伝送向けフェーズドアレイアンテナ
| 電子応用技術R&Dセンター | : | カウシャル シャレンドラ |
| 須 藤 勇 気 | ||
| 坂 井 尚 貴 | ||
| 佐 藤 亮 輔 | ||
| 伊 東 健 治 | ||
| 官 寧 |
無線電力伝送(WPT)では,長距離かつ大容量の伝送システムが求められている.その中で24 GHz帯WPTはアレイアンテナの鋭い指向性による空間的な人体暴露回避,公衆無線への非干渉,小型軽量に優れている.今回,フジクラで開発中の5Gミリ波通信モジュールであるフェーズドアレイアンテナモジュール(PAAM)と金沢工業大学のGaAs MMICベースのレクテナを用いた24 GHz帯WPTについて検討した.その結果,送電距離150 mmで2.8 WのDC電力を生成でき,Wクラスの電力伝送が見込めることを確認した.
スパースアレイレーダによる近傍界3Dイメージング
| 新事業創生・研究開発部門 | : | 川 口 拓 也 |
| Fujikura Technology Europe Switzerland | : | Christian Höller |
| Gabriel Schnoering |
ミリ波レーダによる高分解能3Dイメージングの需要が高まっている.高分解能イメージングを実現するためには大開口アレイを用いる必要があり,近傍界におけるイメージングを伴うため遠方界近似を前提としたイメージング処理を利用できない.そのため,高分解能3Dイメージングを実現するためには,近傍界を考慮した信号モデルに基づいたイメージング処理が必要となる.そこで当社は,FMCWミリ波レーダの近傍界における信号モデルに基づいたイメージング処理を定式化し,2Dスパースアレイミリ波レーダハードウェアに実装することでミリ波レーダ3Dイメージングシステムを構築し,システムの近傍界に存在する人間の姿勢推定を実施した.
細径多心空気圧送用光ファイバケーブル
| 光ケーブル事業部 | : | 向 井 興 泉 |
| 淺 村 尚 人 | ||
| 植 草 拓 哉 | ||
| 鯰 江 彰 | ||
| 古 川 亨 |
ネットワークトラフィックの増大にともない,データセンター間を光ファイバケーブルで経済的かつ効率的に接続する必要性が高まっており,施工時間の短縮が可能な空気圧送布設工法が注目されている.今回,空気圧送用細径高密度型光ファイバケーブル(Air Blown WTCTM;以下,AB-WTCTMと記す)について,機械特性・環境特性を維持しつつ寸法設計の最適化を行い,864心のケーブルでは既存設計と比較して外径で約20%,重量で約30%の細径軽量化を実現した.864心および1728心AB-WTCは,それぞれ内径13 mmおよび20 mmのマイクロダクトに対して1000mを超える距離をわずか20分以内で布設可能とする優れた圧送性能を有することを確認した.
立体配線メンブレン
| 産機・車載部品事業部 | : | 鳥 井 純 一 |
| 電子部品事業部 | : | 西 脇 賢 治 |
| FECL | : | 小 清 水 和 敏 |
現行の立体配線形成技術は単層回路が主流で多層回路の形成が困難であること,外装部品への適用が困難であることなど,設計の制約が多いことから適用用途が限られている.当社は,平面状の多層印刷回路を壊すことなく立体成形し,凹凸や曲面を持つプラスチック部品に電子回路を形成する技術を開発した.本報では,立体構造を実現させるための材料開発による課題解決,および本技術を用いた立体配線メンブレンの製品適用検討結果について紹介する.
ベーパーチャンバを用いたサーバ用チップ冷却ユニット
| 熱ソリューション部開発2グループ | : | 萩 野 春 俊 |
| ファン タンロン | ||
| 熱ソリューション部開発1グループ | : | 川 原 洋 司 |
| 熱ソリューション部技術グループ | : | 齋 藤 祐 士 |
| 熱ソリューション部 | : | 富 塚 稔 瑞 |
生成AI技術の利用拡大に伴い,AIサーバに搭載されるCPU/GPUの高性能化ならびに高集積化が急速に進展している. 高性能化に伴いそれらの消費電力は増大し,同時に発熱量が著しく増加している.半導体部品は高温環境に対して脆弱であるため,動作保証温度を超過しないよう冷却設計を施すことが不可欠となっており,半導体チップさらにはシステム全体のサーマルマネージメントが,喫緊の重要課題として位置付けられている.そこで当社でベーパーチャンバを用いたサーバ用CPU/GPUチップ冷却ユニットを開発したのでそれを報告する.
当社サーバ用チップ冷却技術の変遷と動向
| 熱ソリューション部技術グループ | : | 齋 藤 祐 士 |
| 電子部品事業部 | : | 大 江 敦 史 |
| 熱ソリューション部 | : | 富 塚 稔 瑞 |
| 熱ソリューション部技術グループ | : | シン ランディーブ |
| 熱ソリューション部開発1グループ | : | 松 田 将 宗 |
スマートフォンなどの増加による情報処理量の増大に伴い,2010年代後半より,クラウド化でより効率的なハイパースケールデータセンターの拡大が進んでいる.サーバは,CPUの性能向上とともに発熱量が増え,より高性能の冷却装置が用いられてきた.さらに,最近の生成AI技術の拡大に伴い,AIサーバに搭載されるCPU/GPUの高性能化が顕著に進展している.これに伴いそれらの発熱量が著しく増加し,これらのチップ冷却が,注目されている.ここでは,当社の従来および現在のサーバチップ冷却技術・製品と今後のサーバチップと冷却技術のロードマップに対する当社の取り組みを報告する.
