フジクラ技報一覧

No.135 2022年6月
(online)ISSN 2436-8938
(printed)ISSN 0912-2761
発行者株式会社フジクラ
東京都江東区木場1−5−1
論文記事
200 μm被覆4コアファイバとその実装ケーブル
光応用技術R&Dセンター | : | 佐々木 雄 佑 |
福 本 良 平 |
細径ファイバ技術と空間多重の組み合わせは,高密度化が要求されるデータセンタ通信における伝送容量をアップさせる手段として有用である.今回被覆径を200 μmに細径化した4コアマルチコアファイバ(200-4CF)を作製した.200-4CFの光学特性はこれまで報告された250 μm被覆の4CFと同等の特性であり,ITU-T G.657.A1に準拠していることを確認した.この200-4CFをSWR/WTC化したが,200-4CFのケーブル化の報告例は初めてとなる.この作製したケーブルをIECに基づいた機械試験と環境試験を行い,特性に問題ないことを確認した.最後に200-4CFのサイドビューによるコア番号が一致した全自動融着を確認した.
被覆径160 μm光ファイバを用いた1728心ケーブル
光ケーブルシステム事業部 | : | 佐 藤 大 典 |
辻 本 悠 介 | ||
山 下 典 明 | ||
村 田 暁 | ||
大 里 健 | ||
光ファイバ事業部 | : | 山 城 健 司 |
松 尾 昌一郎聡 |
ブロードバンドサービスやデータセンタ市場の爆発的な成長に伴い,光ファイバケーブルの細径高密度化が求められており,その達成のためには,光ファイバの被覆径の細径化は有望なソリューションである.今回,80 μmのクラッド径を有する被覆径160 µmの光ファイバ(細径クラッド光ファイバ)を用いて1728心ケーブルを製作した.このケーブルは200 µm被覆ファイバを使用した場合と比べて26 %の細径化と42 %の軽量化を可能とする.広い温度範囲で良好な損失温度特性を示し,光ファイバケーブルに求められる特性を満たしていることを確認した.
5G光インフラネットワークに適した24心多心防水型光コネクタ付きケーブル
光ケーブルシステム事業部 | : | 武 田 大 樹 |
小 澤 直 行 | ||
中 島 俊 彰 | ||
進 藤 幹 正 |
近年,5Gはじめとしたネットワークサービスの普及にともない,より簡単な光接続工事が求められる.従来は,光ファイバを融着接続,あるいは,現場組立型光コネクタを成端箱やクロージャ中で配線収納することで光接続をしてきたため1),技能と経験が必要であった.そこで,当社は小型で接続作業性に優れる屋外用多心防水型光コネクタを開発した.開発品は,独自に設計した光コネクタ構造により,小型でありつつも,堅牢な機械特性と防水性に優れる.開発品の光学特性,機械特性,防水特性の評価を行い良好であることを確認した.
28GHz帯フェーズドアレイアンテナモジュールのOver-The-Air試験
電子応用技術R&Dセンター | : | 藤乘 優治郎 |
長谷川 雄大 | ||
高橋 智和 |
近年の第5世代移動通信システム (5G) 対応部品のデバイス需要から, 当社はミリ波インフラ用途向けに, 業界最高水準の性能を誇る最先端の28GHz帯フェーズドアレイアンテナモジュール (Phased Array Antenna Module:PAAM)「FutureAccess™」を開発した. PAAMはアレイアンテナ, ビームフォーマIC (BFIC), 周波数変換IC (FCIC) およびバンドパスフィルタ (BPF) を集積したモジュールである. PAAMの各機能を総合的に動作させた際のモジュール送信/受信特性を把握するため, Over-The-Air (OTA) 試験によりPAAMの出力パワー特性, ビームフォーミングによる送信/受信パターンを確認した.
第5世代移動通信システム用28 GHz帯高線形周波数変換IC
電子応用技術R&Dセンター | : | 吉 山 正 之 |
奥 山 裕 磨 | ||
山 口 陽 |
フェーズドアレイアンテナモジュールは,ビームフォーミング機能と周波数変換機能を分割することで,スケーラブルで構成自由度が高く面積効率の高いモジュールを実現可能である.本稿では,64を超えるアンテナ素子を備えた二重偏波5Gフェーズドアレイを可能にするアーキテクチャと高線形性を備えた周波数変換ICを紹介する.
ミリ波通信モジュールのOver-the-Air試験技術
電子応用技術R&Dセンター | : | 余 俊 |
和 田 英 之 | ||
小 林 聖 |
本稿では,ミリ波通信モジュールの特性評価に用いられるOver-The-Air(OTA)試験技術について述べている.まず,ミリ波通信モジュールの特性評価において,OTA試験が必要不可欠となっている理由について示す.OTA試験系の基本構成と,この試験で得られる重要な2つの性能指標である,等価等方放射電力(EIRP)と,等価等方感度(EIS)について解説している.次に,60 GHzミリ波帯における試験系,EIRPおよびEISの実測結果を示す.本試験で得られる結果は,実フィールドでの無線通信回線の品質に直結する重要なパラメータである.
ICチップ多段積層型部品内蔵基板
メディカル事業推進センター | : | 上 田 啓 貴 |
佐 藤 隼 介 | ||
宗 像 浩 次 | ||
佐 藤 正 和 | ||
中 尾 吉 男 | ||
糸 井 和 久 | ||
小 内 聡 | ||
稲 葉 正 俊 |
電子モジュールの小型化は,ウエアラブルデバイスやインプランタブルデバイスのような医療機器に必要とされている.部品内蔵基板は,小型・高密度化を実現できる最も有望な半導体パッケージ技術の一つである.われわれは,多層フレキシブルプリント基板内にICチップを内蔵するWABE技術を開発してきた.このWABE技術では,複数のICを一括積層プロセスにより,基板に内蔵することが可能であり,厚さ方向にICチップを重ねて内蔵することで,基板面積を大幅に減少できる.本論文では,6個のICチップを内蔵した3段ICチップスタックWABEパッケージの試作および評価結果について述べる.