Millimeter Wave Applications

ミリ波は従来のマイクロ波帯の10倍以上の周波数を用いるため、マイクロ波よりもはるかに広い帯域幅を提供できます。この広帯域により、高速大容量通信や高分解能なレーダー、センサーなどが実現可能になります。一方、マイクロ波に比べると障害物に遮られやすく遠方に届きにくいという欠点がありますが、その反面、秘匿性が高く、かつ不要な混信が生じにくいという利点もあります。
ミリ波の代表的な応用例の一つである第5世代移動通信システム（5G）では、到達距離を確保するために、電波を鋭いビーム状に集中させて特定の方向に強く放射する、高利得なアンテナ（フェーズド・アレイ・アンテナ）を使用します。これにより、不要な方向へのエネルギー放射が抑えられるとともに、広帯域であるため、マイクロ波と同じ伝送量を送信する場合、伝送に要するエネルギーは10分の1になります。こうした効果により、5Gミリ波無線通信では単位データ当たりのCO₂排出量が約85％少なくなるとの報告もあります。