FUJIKURA ODYSSEY vol.04 テクノロジー小宇宙 電子機器の進化の鍵を握る“FPC(フレキシブルプリント回路)”開発物語 Phase.4 勝利の好循環、そしてNo.1へ ずばりターゲットは売上2000億円。そしてこの目標達成の暁には、世界シェアNo.1を視野に入れている。 R-R両面セミアディティブFPCフジクラは当初から世界マーケット&ビッグビジネスを意識しての取り組みをした。その象徴が1988年、タイPCTTの設立である。国内からの製造技術移転は速やかに行われ、良質な労働力による量産体制を確立。また、一貫して「ロールtoロール」というコンセプトにこだわり、全行程を自己完結型の一貫ラインでまかなうという独自の製造システムを完成。その後も、旺盛なFPC需要に支えられ、1996年に後工程を担当するプラチンブリ工場を増設し、さらに2001年には最新鋭の製造設備と技術を導入したアユタヤ工場が操業を開始した。今やPCTTは、FPC専門工場としては世界最大の生産能力を有することとなり、将来的な成長マーケットに対応する各種FPC製品の潤沢な供給を可能にする。こうして、大規模量産に至るまでの試作、評価、プリプロと新製品開発を担当する「東北フジクラ」「佐倉開発センター」、さらには2001年上海に設立した「FESL」、そして世界各地に配備されている「営業戦略部隊」と合わせて、フジクラのFPC事業フォーメーションは、今や完全に世界マーケットと対峙している。 一方、FPCの応用形の可能性を絶えず追求しながら、数々の技術チャレンジも行っている。例えば、ポリイミドFPCは、通常の硬質プリント配線板(RPC)と同様に半田付けによる部品実装が可能であり、かつ誘電率やアウトガスなどの電気的・機械的特性に優れていることから、半導体素子を直接搭載するCOF(Chip On Flex)実装を実用化。液晶などの表示体デバイス、HDDなどの記憶メディアデバイス、携帯電話などの通信デバイス、CSP(Chip Scale Package)といったパッケージデバイスへの適用を急速に拡大している。フジクラにおいても、この技術トレンドを徹底追求。例えば、ICをワイヤボンドで直接のせる「ワイヤボンドCOF」において数々の実績を積み上げ、特にPDP(Plasma Display Panel)等でその用途を拡大。また、半導体をフェースダウンで接合する「フリップチップ法COF」でも先駆的な取り組みを行っている。その他にもファインピッチFPC、多層板FPC、SMT(Surface Mount Technology)高密度実装、ウエハレベルCSP(高密度パッケージ)……等々、より半導体の領域に近い製品をラインナップ。さらにはFPCとMBSW(メンブレンスイッチ)の複合型製品など、フジクラの総合技術力を活かす製品開発も積極的に展開している。 OLED用FC実装モジュール PDPドライバ用WBモジュール ずばり将来ターゲットは売上2000億円。そしてこの目標達成の暁には、世界シェアNo.1を視野に入れている。 FPCは、その名の通り、フレキシブルで、今やどんな微細な場所にも組み込める製品となっている。型にはまった使われ方だけではなく、今後はさらに過酷な条件下での使用が求められ、さらには技術進化も極限に次ぐ極限を要求されるはず。したがってフジクラの技術者も思考を常にフレキシブルに!どんな無理難題も飄々と乗り越えられる、しなやかなチャレンジ姿勢を持ち続けていく。そして「メイドインフジクラのFPCを組み込んだからこそ、世界市場を席巻することができた」とお客様に感謝されるような……そんな実績を刻みながら、お客様との理想的なWin-Winの関係をめざしていく。電子産業における真のプロフェッショナル集団として……。 1 2 3 4