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R&D
フジクラ技報

No.133 2020年6月

論文記事

200µmファイバを用いた国内向け多心高密度光ケーブル

通信ネットワークの大容量化が進んでおり,光ファイバの需要が拡大している.国内では,施工コストの抑制と大容量化を達成するため,管路への心線収容率向上を目的とした細径・多心高密度光ケーブルが求められている.これまでの国内向け光ケーブルは1ケーブルにつき2000心が最大心数となっている.今回,200µmファイバを用いて,既存の2000心光ケーブルと同等の外径で,心線数が1.5倍の3000心光ケーブルを開発した.その内容について報告する.

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高強度外被を有する高密度架空光ケーブル

山間部などの架空領域において,キツツキや齧歯類などの生物によるケーブル外被の穿孔被害を回避するために,光ファイバ心線の保護層としてステンレステープをほどこしたスロット型光ケーブルが使用されている.しかし,従来の光ケーブルでは施工時に専用工具が必要であり,さらに光ファイバ心線を傷付ける恐れがあるため,施工作業に時間と技術を要していた.今回,従来の光ケーブルと同等の生物被害耐性を有しつつ,細径・軽量化を実現した施工性に優れる光ケーブルを開発した.

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Ultra Low Loss(ULL)MPOコネクタ

光アクセスネットワークおよび光インターコネクションの分野で多心光コネクタの要求が高まっている.当社では,ファイバコア偏心量の少ないMTフェルールを用い,多心光コネクタとして実績のある従来のMPOコネクタよりも低損失な接続と優れた着脱再現性を備えたUltra Low Loss(ULL)MPOコネクタを開発した.12心のシングルモードファイバを実装した12-ULL MPOコネクタで,50回の繰り返し着脱での最大挿入損失が0.15dB以下であることを確認し,安定した超低損失接続を実現した.また,24心のシングルモードファイバを実装した24-ULL MPOコネクタでも,50回の繰り返し着脱での最大挿入損失が0.20dB以下であることを確認した.

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新型コア調心融着接続機

光ファイバの接続を必要とする通信インフラ工事の市場は,通信トラヒックの増大に伴い拡大している.光ファイバの融着接続は高品質で信頼性の高い接続方式である.しかし,融着接続作業は多くの操作を含んでいるため,作業の習熟が必要となる.不慣れな作業者であっても簡単に光ファイバが接続できる融着接続機が市場から常に求められている.また,接続時間の短縮も,特に光ファイバの接続本数が多い敷設工事では要求される.今回これらの要望に応えるべく,新型のコア調心融着接続機を開発した.

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はんだリフロー耐性を有するシリコンフォトニクスへの低損失結合用光ファイバ

シリコンフォトニクスは小型・高機能かつ低コストな光導波路デバイスとして注目を集めている.実用化に向けた課題として,シリコン光導波路と標準光ファイバとのスポットサイズ不整合による接続損失の低下があげられる.我々は両者を低損失につなぐための,シングルモード型および偏波保持型の2種類のスポットサイズ変換光ファイバを開発してきた.今回,光ファイバ構造の最適化により標準光ファイバとの融着損失を0.1dBまで改善した.さらに,高温耐性を有する被覆を適用することではんだリフローに対応可能となった.

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高効率高出力半導体レーザ

材料加工分野で急速に普及が進むファイバレーザでは,その励起用光源である9xx nm帯に発振波長をもつ半導体レーザ(LD)の高出力かつ高効率での動作が求められる.電気抵抗を低減することによるエネルギー変換効率(PCE)の向上を目指して,LD縦構造の設計を最適化した.試作したLDのPCEは従来から大きく改善し,世界最高水準である73.6%を達成した.また最適化された縦構造において共振器長を拡張することで25Aにおいても66.6%を達成し,実用出力を向上させることができた.
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3kW出力シングルモードファイバレーザによるCFRP加工

3kWシングルモードファイバレーザとガルバノスキャナを組み合わせて,CFRP板の高速切断を実現した.スキャン速度13m/s,スキャン回数100回において,3.1mm厚の熱硬化性CFRPの切断に成功した.この時の実効加工速度は7.8m/minであった.スキャン間のインターバルは20ms未満であり,ほぼ連続的なスキャンで加工を行っている.切断後のサンプルの断面状態は良好であり,表面のHAZの大きさは平均で97µmであった.高速切断においてもHAZ幅は小さく保たれており,CFRP加工においてシングルモードファイバレーザが効果的に利用できることが示された.

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エアギャップとダミーパッチを利用した広帯域ミリ波アレーアンテナ

ミリ波スモールセルアンテナモジュールで使用可能な,60GHz帯域用広帯域ミリ波アレイアンテナを設計したので,ここで報告する.本アンテナにおいて,開口結合パッチアンテナが反転パッチを使用しており,グランド面とパッチの間にエアギャップが導入されている.また,高利得を確保するために,サブアレーには複数のパッチを使用しているが,広い帯域で安定した利得を得るために,端部に配置された複数のパッチには直接給電していないダミーパッチを用いる.アンテナの性能はエアギャップ,パッチの構成,および上部基板の厚さの各パラメータに依存するが,本論文において,エアギャップが調整され,アンテナの性能が比較されている.最適化したアンテナは55GHz〜65GHzの帯域で良好な動作を示す.単一アレーアンテナは,同周波数帯で|S11|<−10dB,ピーク利得が10dBiを超える非常にフラットな応答が得られている.また,16個のサブアレーを組み合わせて広範囲なビームフォーミングが得られ,±50度の範囲で変動が3dB以下のビームスキャンを実現している.

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アルミ電線端子圧着部の腐食挙動と性能への影響

自動車の軽量化需要に対し,われわれはワイヤハーネスの軽量化に注目し,電線の導体をアルミニウム化することに取り組んでいる.アルミニウムは腐食環境下において異種金属との間でガルバニック腐食を生じやすいため,アルミ電線を車両に搭載するためには端子圧着部で起こるガルバニック腐食を防止する必要がある.本報告では,最適な防食方式を具現化するための基盤となる,アルミ電線の腐食挙動解明に関するわれわれの取り組みについて報告する.

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技術トピックス & 新製品紹介


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