株式会社フジクラ

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R&D
フジクラ技報

No.123 2012年12月

 

論文記事

フジクラの「“つなぐ”テクノロジー」特集号に寄せて

 

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■情報通信製品分野

 

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最先端の光ファイバ技術 ~超長距離から住宅内まで~

10,000km以上伝送する海底用光ケーブルから,住居内配線用途での1m以下にいたる非常に広い範囲で光ファイバは使用されています.さまざまな用途に適した光ファイバの開発・実用化は重要性を増しています.小さい径に曲げた際の損失増加が従来のステップ型のシングルモードファイバに比べ1桁以上低いことを特長とする,低曲げ損失光ファイバを開発しました.低曲げ損失ファイバは,住宅内FTTHで使用されるだけでなく,施工時の光ファイバの急峻な曲げによる通信トラブル回避の目的で用途が拡大しています.当社は1本のファイバ中に複数のコアを持つマルチコアファイバの開発をリードしています.マルチコアファイバは伝送容量の飛躍的拡大が可能であり長距離向けファイバとして注目されています.

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さらなるFTTH網拡大のための最新光ケーブル技術

近年,通信情報量の増大に伴いFiber To The Home(FTTH)網が急ピッチに拡大しており.経済的なネットワーク構築技術が求められています.このための技術的なポイントとしては,1)既存設備の有効利用,2)ネットワーク構築コストの低減,3)開通困難もしくは不能な領域への光配線技術の確立があげられます.本稿では,これらを実現する最新の光ケーブル技術を紹介します.

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光ネットワークの基盤を支える光通信部品

ユビキタスネットワーク社会の実現に向け,光アクセスネットワーク整備の重要性がますます高まっています.映像配信やクラウドサービスなどのアプリケーションは日々多様化し,通信容量は年々拡大しています.このように,今や光アクセスネットワークは,国民生活に不可欠な通信インフラであり,高速・大容量化,高信頼性化,省電力化,低コスト化が求められています.これらの光アクセスネットワークの基盤を支えているのが,光ファイバや光通信部品です.

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光伝送機器・モジュールの新開発

当社はこれまでに光通信用,光アクセスシステム用およびデータ通信用の各種光トランシーバやメディアコンバータ,画像伝送装置,FTTH用PON装置,仮想専用線(VPN)装置等の光伝送機器の開発を進めてきました.その一例として最近開発した①光通信システム用40 Gbit/s RZ-DQPSK光トランスポンダ,②光インタコネクションの例としてのデータセンター用と産業機器用AOC,および③広域インターネット網を利用して仮想専用線を構築するVPN装置について紹介します.

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新市場に展開する光応用製品

当社の光応用製品は,通信用光ファイバ技術の産業機器や医療機器への応用から始まりました.現在では,特殊ファイバとその加工品だけでなく,新規な光学要素,半導体加工技術,電子技術など異分野の技術を複合して新市場に展開しています.

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光ファイバ融着接続機

光ファイバを利用した低損失で高速伝送に適した光通信網を構築するためには,光ファイバケーブル自身の低損失化や高速伝送に適した設計に加え,接続技術の高品質化も必要不可欠です.光コネクタやメカニカルスプライスによる簡易接続も数多く使われるようになってきましたが,基幹線路,とりわけ光海底ケーブルのような長距離かつ大容量基幹線路の接続には融着接続が今なお必須です.極低損失や極低反射という要求のみではなく,物理的溶融接続という長期信頼性が必要となるからです.さらに光ファイバアンプなどの増幅用特殊光ファイバの接続,医療や加工用途のハイパワーレーザ伝達用光ファイバの接続にも融着接続が使用されます.光ファイバの融着接続を行うためには,接続技術に加えて切断技術や補強技術も重要です.本稿では当社が持つそれぞれの技術の特長について述べます.

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ファイバレーザと先進的光技術

近年,ファイバレーザが注目されています.当社ではファイバレーザに必要なすべての光技術を集積しており,ファイバレーザの高性能化および製品化に向けて精力的に研究開発を進めてきました.本報告では,高出力パルスファイバレーザ,高出力連続波ファイバレーザおよび波長変換用ファイバレーザの試作成果や製品を紹介しながら,これらの製品分野ごとに光技術に関する当社独自の先進的な研究開発成果について述べます.

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光波センシング技術の進展

光波センシングの根幹をなす技術のひとつに,光ファイバセンシングがあげられます.光ファイバ自体をセンサとして活用するこのセンシング方法では,多種多様な分野でニーズに応じた計測をおこなうために,計測環境に適した特殊ファイバと計測目的にあわせた光計測技術が必要とされています.本稿では,特殊ファイバと光計測技術の開発実例を紹介しながら,光ファイバセンシング技術の進展を解説します.

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■電子部品製品分野

 

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先進フレキシブルプリント配線板技術

フレキシブルプリント配線板FPCは,多種多様な電子機器に使用されています.電子機器の小型化,薄型化,高機能化に伴ってFPCは進化し,中でも携帯電話を中心としたモバイル機器に搭載されるFPCは,最先端の技術が要求されています.本稿では,当社が取り組んでいる新技術・新製品の中から,セミアディティブFPC,高速伝送用FPC,部品実装技術について紹介します.

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次世代高密度配線技術

全層ポリイミドからなるIVH(Interstitial Via Hole)多層配線板と部品内蔵基板を紹介いたします.これらは絶縁層にポリイミドフィルムを採用することで,従来の多層板に比べて極めて薄い基板厚と高い信頼性を有していることが特長です.隣接する層間を接続するIVHには特殊な導電性ペーストを用いており,高密度配線と簡便な製造プロセスとを両立しています.また,部品内蔵技術を用いるとLSIや受動部品を基板内で3次元的に配置することが可能になります.IVHと部品内蔵技術は基板の大幅な小型化と部品間の最短配線を実現し,電子機器の小型高性能化を推進します.

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電子機器をつなぐインタフェース部品

当社では,電子機器の内外のインタフェース部品(ケーブルアッセンブリ,アンテナ,キャリッジ等)を製造・販売しております.これら部品に対し,軽薄短小化,高速伝送化,エコ,をキーワードとして高付加価値商品の開発に取り組んでいます.本稿では,最近のトピックスとして,①極細同軸アッセンブリ ②フィルムアンテナ ③高速伝送ケーブルの新商品開発を紹介します.

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進化するモバイル電子機器用コネクタ

近年,スマートフォンやタブレット端末,AV機器など,多種多様なモバイル電子機器が世界中で爆発的な伸びを見せています.そして,これらの電子機器は,機能だけでなく,スリムでスマートなデザインであることが重要な要素となっており,それらの内部に使用される電子部品も,それを実現するために,機能だけでなく,小型・薄型で軽量であることが必須条件となっています.当社は,長年にわたって,これらモバイル電子機器向けコネクタを製造・販売しておりますが,絶え間なく,急速に進歩する電子機器技術を先取りするコネクタの研究開発がますます重要になっております.本稿では,モバイル電子機器用の代表的なコネクタを取り上げて,これら製品の特長を説明するとともに,これまで当社が培ってきた技術の一端をご紹介します.

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プリンテッド・エレクトロニクス

フジクラはプリンテッド・エレクトロニクスの先駆けともいえるメンブレンスイッチを約30年にわたり,製造,販売してきました.様々な市場でお使いいただいているメンブレンスイッチの製品動向と,印刷技術,部品実装技術など進化しているプリンテッド・エレクトロニクス技術について紹介します.

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MEMS技術を応用した各種新型センサ

当社では通信,自動車,医療,民生など幅広い分野に向けて様々なセンサを製造・販売しています.本報告ではそれらセンサの中から,Micro Electro Mechanical Systems(MEMS)技術を応用した最新の各種センサについてご紹介します.MEMS技術とは,マイクロメートルサイズの機械要素部品,センサ,アクチュエータ,電子回路を一つのシリコン基板,あるいはガラス,有機材料などの基板上に集積化する技術を指します.現在,当社ではMEMS技術を用いて,超小型デジタル出力大気圧センサ,薄膜フラックスゲート式磁気センサ,イメージセンサ用Si貫通配線パッケージを開発しており,その特長や性能について報告します.

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電子機器冷却用サーマルテクノロジ

PC等,電子機器のCPUの冷却に薄型ヒートパイプモジュールが広く搭載されていますが,更なる熱性能の向上と小型化,薄型化に応えるために1mm厚さの超薄型ヒートパイプを開発しました.また,合わせて冷却モジュール用ファンの薄型化のために1mm厚さの超薄型ピエゾファンを開発しました.一方,風力発電や太陽光発電用の電力変換機パワー半導体では,大容量化に伴い水冷方式が必要となり,特殊なチャンネル構造の水冷モジュールを開発しました.また,データセンターやスーパーコンピューターの消費電力の増大に伴い,冷却設備の効率化,消費電力の削減が求められるようになり,効率的な冷却方式として水冷方式が見直されています.スーパーコンピューターに使用されるCPUの冷却用に,マイクロチャンネル構造を採用したコールドプレートを開発しました.これにより,高性能化(世界1の計算速度)とCPUの消費電力の低減化にも貢献することができました.

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■電装製品分野

 

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次世代自動車用ワイヤハーネス

自動車に搭載されるワイヤハーネスの重量は,新機能の追加により年々増加しており,近年はCO2削減のためのHybrid Electric Vehicle(HEV),Electric Vehicle(EV)などの高電圧ハーネスシステムや,燃費向上のための軽量化ハーネスシステムなど,特に環境に対するニーズが高くなっています.われわれは,これらのニーズに対応すべく,高電圧ハーネスシステムの開発や,軽量化ハーネスシステムを実現するための主要部品となる軽量化電線およびその接続技術の開発に取り組んでいます.導体に銅を使用した,車両1台分のワイヤハーネスの総重量は30kg前後ですが,軽量化電線を使用することで30%程度の軽量化が可能です.

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自動車用次世代電装品

自動車に搭載される電装品は新機能の追加により年々増加しており,近年は小型化・軽量化ニーズに加えて,特に安全に対するニーズが高くなっています.これらのニーズに対応すべく,従来からある,人と荷物を判別可能なシートベルトリマインダ用着座センサに加えて,当社のコア技術のひとつであるメンブレン技術を応用した次世代乗員検知センサの開発に取り組んでいます.われわれの次世代乗員検知センサは,世界トップレベルの長距離検知性能を有しており,エアバッグ展開時に危険領域の乗客の存在を動的に検知します.

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■メタルケーブル製品分野

 

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超高層ビル用超高速エレベータ技術を支えるノンハロ難燃エレベータケーブル

都市におけるビルの高層化・インテリジェント化が進むにつれて,エレベータは縦の交通手段としてますます重要性が増しています.超高層ビル用のエレベータケーブルに要求されているのは,多心化,軽量化,安全性などであり,当社ではこれまで伝送情報量の増加に伴い超多心エレベータケーブルの開発を進めてまいりましたが,更に今回,軽量,かつ火災時に煙の発生量が少ないエレベータケーブル用の被覆材料を開発しました.この被覆材料を用いたノンハロ難燃エレベータケーブルは,従来のエレベータケーブルと比べて重量比でおよそ20%の軽量化に成功しました.また,煙の発生量は従来の60%に低減しました.今回報告するフジクラのノンハロ難燃エレベータケーブルは,近年,超高層ビルに搭載される超高速エレベータ用途に採用されています.

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2.4GHz無線LAN用細径漏洩同軸ケーブルLCX-5D

従来の漏洩同軸ケーブル(Leaky coaxial cable, 以下LCXと記す)は,トンネル内や鉄道沿線などへの布設用に長距離で使用することを前提に設計されています.従って,低い伝送損失を得るために外径は15~60 mmと太く,その結果重いことから布設工事には特殊な技術が要求されていました.しかし,最近,事務所や会議室などの狭い範囲に絞って通信ができ,簡単に設置できる無線LAN用アンテナとしてのLCXの需要が高まっています.フジクラでは,LCXの近傍に安定した通信エリアを確保でき,かつ,設置が容易な外径7 mmで質量65 g/mと細径で軽量のLCX-5Dを開発しました.本製品の電磁波放射特性を含む電気特性,および,耐環境性や機械特性の評価を行い良好であることを確認しました.

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クリーンなエネルギーを運ぶ風力発電機向けタワーケーブル及び接続材料

近年,石油等の化石燃料にかわるエネルギーとして,再生可能エネルギーの一つである風力発電への注目が高まり,風力発電所の建設が国内外で進められています.当社では,風力発電用ケーブル・接続材料の開発を2000年頃から開始し,既に多くの風力発電所に納入しています.そこで,今回開発した風力発電機材について紹介します.

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使いやすい ユニバーサルデザインを目指した電気自動車急速充電器用リードケーブル付コネクタ

電気自動車は,温室効果ガス(CO2)削減に効果があり,地球温暖化防止に大きく寄与することから,今後益々利用範囲が拡大していくと考えられています.電気自動車の普及のためには充電するためのインフラ整備が必要不可欠ですが,充電操作が普及の障壁とならぬ様,特定の人だけが使用できるものではなく,老若男女,誰でも使い易い充電器用リードケーブル付コネクタを開発する必要がありました.当社は,①低操作力,②簡易操作に着目し,わずかな力でも操作ができるようレバー方式を採用,動作にテコの原理を使用しています.さらにグリップの角度やレバーの操作方法にもこだわり,開発をしました.また使用者の安全を確保するため,電気用品安全法に適合したケーブルを採用し,コネクタについても充電中に誤って脱落しないよう電気ロックが施される構造としています.

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環境を配慮した地球に優しい新しいケーブル用材料

メタルケーブルには使用環境に応じて様々な特性が要求されます.特に近年は,種々の分野で環境への配慮が強く求められており,RoHSやREACHなどの規制への対応はもちろん,ノンハロゲン化などの環境負荷低減に加え,省エネルギーやリサイクルを考慮した材料のニーズが高まっています.環境に配慮した最近のケーブル材料開発の取り組みについて紹介します.

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■新エネルギー・新材料製品分野

 

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次世代の電源を担うダイレクトメタノール型燃料電池の実用化開発

環境問題の高まりによりクリーンな電源の需要が増加しています.そこで当社では,1 kW出力のダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)を開発しました.このタイプの燃料電池では世界最高レベルの出力であります.燃料であるメタノールは取扱性の良さと高い貯蔵安定性,高いエネルギー貯蔵率を持ち,様々な用途に適用が可能です.さらに,当社のDMFCは燃料電池セルからの排熱を利用して温水を供給することが可能であり,これにより総合的なエネルギー変換効率として80%以上を実現しております.

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エネルギーハーベスティング技術への応用が期待される色素増感太陽電池

色素増感太陽電池(DSC)は光が斜めに入射しても発電効率が低下しにくい,入射光の強度が低下しても発電効率は低下せず,むしろ増加するというユニークな特徴をもっています.当社はこの特徴に注目し,近年大きな発展が始まっているエネルギーハーベスティング分野への応用を目指して開発を行っています.屋外では、例えば太陽光が直達しない北壁に設置すると,同じ定格出力の多結晶Si太陽電池の約1.4倍の発電量を見込めることが分かりました.また屋内光向けに開発したDSCは,アモルファスSi太陽電池の約2倍もの優れた発電性能を示しました.本稿ではこれらの技術を紹介いたします.

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次世代を支える高性能単結晶材料

単結晶材料は多結晶材料と比べ,その材料の特性が強調されることが多い特殊な材料で,電子デバイス,発光素子,光学素子,エネルギー変換素子,など私たちの身の回りの幅広い分野で使用されています.当社ではこれらの産業の分野で,優れた特性によりキーデバイスが実現可能な化合物半導体単結晶材料や高性能光学単結晶の開発を行っています.

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Y系超電導線材の高性能化と応用

イットリウム系超電導線は単位断面積当たりの臨界電流密度が非常に高く,安価な液体窒素中でも高い超電導特性を示すため様々な超電導機器への応用が期待されています.当社では1991年に当社独自のIBAD法の開発に成功して以来,精力的にイットリウム系超電導線の開発を行い,過去20年間,イットリウム系超電導線開発で世界をリードしてきました.当社は2011年に臨界電流(Ic)572 A,長さ(L)816.4mの超電導線の製作に成功し,臨界電流(Ic)と長さ(L)の積であるIc・L値が466 981Amという世界記録を更新しました.ここでは,最近の線材の高性能化,長尺化への取り組み,また,応用に向けた取り組みについて概要を報告します.

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製品含有環境負荷物質規制の動向と分析技術

製品含有化学物質規制は,2006年7月のRoHS指令施行以降も,改正RoHS指令の公布,ハロゲンフリー化の進展,REACH規則の発効などの形でますます厳しいものとなっています. 本報では,これら環境負荷物質規制の動向と技術的対応状況について紹介します.

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技術トピックス

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