超電導ソリューション

ファイバレーザの増幅用ファイバの構造

低温のある温度以下で物質の電気抵抗がゼロになる現象を"超電導"現象といいます。通常、金属に電流を流すと、電気抵抗が存在するため発熱し、エネルギー損失が発生します。超電導体では、電気抵抗が無いため、エネルギーの損失なく大電流を流すことができます。
フジクラではその特性を活かし、様々な製品開発を進めています。

超伝導の説明図

超電導の性質

ファイバレーザの増幅用ファイバの構造

・超電導は単に冷やせば起こる現象ではなく、超電導状態を示す電流、温度、磁場の3つの臨界点が存在します。

超電導の性質について説明図
  • 臨界電流・・・超電導状態で流せる電流の上限
  • 臨界温度・・・超電導状態を示す温度の上限
  • 臨界磁場・・・超電導状態が壊れない磁場の上限

超電導の機器応用

超電導の特徴
低温超電導(金属系)
  • 液体ヘリウム温度(4.2K/-269℃)まで冷却が必要
  • 従来の超電導応用機器で既に実用化
高温超電導(銅酸化物系)
  • 液体窒素温度(77K/-196℃)以上でも超電導を示す
  • 実用化に向けた実証検証段階
    スマス(Bi):
    第1世代(1G)
    イットリウム(Y)・レアアース(RE):
    第2世代(2G)
  • 強磁場における高い臨界電流(強磁場での適用可)
  • 運転温度の高温化(ヘリウムフリー)
  • 従来の超電導機器(金属系)の小型・軽量化

超電導マグネット

5T大口経Y系高温超電導マグネット

当社は、従来から独自のコイル化技術に取り組んでおり、2012年に室温ボアφ20cmを持つ、世界最大級のイットリウム系5T高温超電導マグネットを開発しました。

  • 使用線材長:
    7200m (300m×24層)
  • ターン数:
    5775ターン
  • 運転電流:
    333A@25K
  • 中心磁場:
    5.0T(50000ガウス)
  • 蓄積エネルギー:
    426kJ

超電導ケーブル

超電導ケーブル
超電導ケーブル実証試験

当社は、超電導ケーブル開発も行っており、2013年に高い臨界電流を持つ超電導線材を適用することで、従来の電力ケーブルより交流損失を1/4に低減することの実証に成功しました。

  • 66kV-5kA級単心ケーブルシステム(10m)
  • 線材性能:Ic > 240 A/4mm-wide @77K,Self-field
  • 目標交流損失 < 2 W/m @5kA
  • 実測交流損失:1.4W/m@77K, 0.95W/m@67K

本成果の一部は独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」からの受託により実施しています。