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薄型ヒートパイプ・ベーパーチャンバー開発で2020年度日本伝熱学会技術賞を受賞

2021年6月10日
株式会社フジクラ

株式会社フジクラ(取締役社長CEO 伊藤雅彦)は、このほど、当社電子部品事業部門 次世代商品開発センターの齋藤祐士を研究代表者とする8名のメンバーが、薄型ヒートパイプ及びベーパーチャンバーの開発において、2020年度の日本伝熱学会技術賞を受賞したことをお知らせいたします。

本賞は、日本伝熱学会が授与する4つの学会賞のうち、公表された優秀な伝熱技術を開発した者に授与される賞です。

受賞メンバー

・電子部品事業部門 次世代商品開発センター:齋藤祐士
・電子部品事業部門 電子部品事業部 サーマルテック部 開発グループ:川原洋司、ファン・タン・ロン、萩野春俊、ブラッドリー・オー
・電子部品事業部門 電子部品事業部 サーマルテック部 技術グループ:高宮明弘、アハメド・モハメド・シャヘッド、シン・ランディープ

受賞の背景

熱の受け渡しにより容易に蒸発・凝縮の起こるヒートパイプに当社の伝熱技術を用いた薄型ヒートパイプおよび薄型ベーパーチャンバーは、コンパクトでありながら、電子機器から生じる熱を素早く逃がす熱伝達性能が優れていることを特長としますが、その実現には、製品内部に施した当社独自のウィック構造と、内部の蒸気と液体の流れを制御する技術が大きく寄与しています。
今回の受賞は、当社のそれらの高度な技術に基づく薄型冷却ユニットの製品化のほか、学会での発表を通じた伝熱技術の発展への貢献、特許出願等の実績についてご評価いただいたものです。

超薄型ベーパーチャンバー(左) 超薄型ヒートパイプ(右)

昨今、スマートフォンや薄型ノートPC、ウェアラブル機器を始め、多くのモバイル電子機器の高性能化が進んでいます。また、それらモバイル機器の高性能化は、処理が必要な情報量の増加をもたらしており、その処理を行うデータセンターの高性能化も進められています。これらの高性能化に伴い、電子機器からの発熱量、或いはデータセンター内で使用されるサーバ等の発熱量は増加する傾向にあり、その熱をいかに素早く逃がすかということが課題となっています。
この課題に対し、当社はこれからも、ヒートパイプやベーパーチャンバーの更なる伝熱性能の向上と、コンパクトで冷却効率の良い伝熱ユニットの開発、製品化をもって、伝熱技術の発展に寄与するとともに、様々な機器の高性能化に貢献してまいります。

【ご参考:用語説明】

日本伝熱学会:伝熱に関する学理技術の進展と知識の普及、会員相互及び国際的な交流を図ることを目的としている学術団体。(http://www.htsj.or.jp/

熱伝達性能:熱伝達(伝熱)とは、高温の固体表面からそれに接している流体(蒸気や液体)に熱が移動する、または逆に流体から固体表面に熱が移動する現象のこと。熱伝達性能の良否は、いかに小さな温度差で多くの熱を運ぶことができるかで決まる。

ウィック構造:ヒートパイプの冷却部で凝縮した液体をウィック内の小さな液通路で毛細管現象によりヒートパイプの加熱部に戻し、流体をヒートパイプ内部で循環させる機能を持たせた構造のこと。

ヒートパイプ:金属等の熱伝導性が高い材質からなるパイプ中に少量の液体を封入し、真空にしたもの。熱の受け渡しで容易に蒸発、凝縮が生じるため、液体の蒸発(潜熱の吸収)と凝縮(潜熱の放出)のサイクルを利用して電子機器の発熱部を冷やす機能を持つ。一般に薄型にするほど断面積が減り、循環力が弱くなるため熱伝達性能は低下するが、当社は、長年のノウハウと技術力により、高い熱伝達性能を維持することができる薄型ヒートパイプを開発し、世界で最初に量産化に成功した。

ヒートパイプの作動原理

ベーパーチャンバー:ヒートパイプの働きをプレート状に置き換えたもので、より複雑な形状を取ることができる。

関連サイト「フジクラのヒートパイプ・ベーパーチャンバー」

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