株式会社フジクラ

  1. Home
  2. ニュースリリース
  3. IEEE-”Dr. James Wong Award賞”-を受賞

NEWS RELEASES

製品情報

IEEE-”Dr. James Wong Award賞”-を受賞

2020年11月30日
株式会社フジクラ

株式会社フジクラ(取締役社長 伊藤雅彦)は、当社電子応用技術R&Dセンター 超電導研究部 フェローの飯島康裕がこのたび電気・情報工学分野における世界最大級の学術研究団体であり技術標準化機関であるIEEE(アイ・トリプル・イー)より、Dr. James Wong Award賞*を受賞したことをお知らせします。

本賞は、超電導材料分野における長年(通常20年以上)の顕著な功績と技術的・学術的貢献に対して授与される大変権威のある賞です。当社フェローの飯島は長年レアアース系高温超電導の線材開発に従事し、実用化の大きな課題であった超電導結晶の配向制御メカニズムに欠かせないイオンビームアシスト蒸着法の発明と、同法および人工ピン技術を効果的に取り入れた高特性長尺線材の実用化に顕著な貢献をしました。この製法(イオンビームアシスト蒸着法)は、レアアース系高温超電導線材の製造に欠かせないプロセスとして浸透しており、現在、多くの超電導線材開発製造機関がこれを採用しています。そして、それらの機関でこの製法を用いて製造されたレアアース系高温超電導線材は、すでに超高磁場核磁気共鳴装置などの先端技術機器・装置・製品で使用されています。

当社は今後もレアアース系高温超電導技術開発への取り組みを通じ科学技術振興の発展に寄与し、さらにはその製品化並びに普及を通じて脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

受賞記念盾

今回の受賞を記念し、IEEEから盾が贈られました

レアアース系高温超電導線材外観

レアアース系高温超電導線材外観

* Dr. James Wong Award賞の詳細につきましては、こちらもご参照ください。(英語のみ)
https://ieeecsc.org/awards/ieee-dr-james-wong-award-continuing-and-significant-contributions-applied-superconductor

【参考:用語説明】

IEEE:Institute of Electrical and Electronics Engineers。アメリカ合衆国に本部を置く電気・情報工学分野の学術研究団体、技術標準化機関。電気および電子工学、電気通信、情報工学ならびに関連分野の教育的・技術的進歩を目的とする世界最大級の学術研究団体である。

高温超電導線材:超電導は、ある温度以下になると電気抵抗がゼロになる現象。超電導には、液体ヘリウム(沸点:-269℃)を使って冷却する低温超電導(金属系超電導)と、液体ヘリウムを用いない高温でも超電導を示す高温超電導(酸化物系超電導)とがある。高温超電導線材は低温超電導線材に比べ冷却にかかるコストを低減すること(省エネルギー)が可能となる。

レアアース系高温超電導線材:クロム・ニッケル基合金などのテープ状金属基板上に、中間層を介してレアアース(イットリウムなど)、バリウム、銅等からなる酸化物超電導材料を結晶成長させながら成膜した超電導線材。その特性は、磁場中でも特性低下が少なく、電流密度が高く、また交流損失も小さい。実用化された高温超電導線材の中で最も性能の高い材料である。

イオンビームアシスト蒸着法:超電導特性を向上させるためには結晶方位を揃えることが重要になり、中間層の結晶方位を整列させることで超電導層の結晶方位も揃えることを可能とした重要な技術。1991年フジクラが世界に先駆けて独自開発した手法である。

人工ピン技術:超電導層中に磁束のピン止め点としてはたらく異相を意図的に導入することで磁場中の電流特性を飛躍的に向上させる技術。当社はこの技術を効果的に組み合わせることで高特性で実用性の高い長尺線材を実用化した。

PAGE TOP