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    ~フジクラの高温超電導技術が世界最高レベルのNMR実用化に貢献~

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製品情報

1.2GHz 高分解能NMR用超高磁場超電導磁石の実用化に成功
~フジクラの高温超電導技術が世界最高レベルのNMR実用化に貢献~

2020年5月15日
Bruker Corporation
株式会社フジクラ

長年、超電導技術分野においてビジネスパートナーであったBRUKER Corporation(CEO:フランク ラオキン、以下 ブルカー)と株式会社フジクラ(取締役社長:伊藤 雅彦、以下 フジクラ)は、今回、そのコラボレーションの成果により、大きなマイルストーンを達成しました。
フジクラが開発・製造したレアアース系高温超電導線材で、高磁場コアを構成した1.2GHz(磁場28.2テスラ)の高分解能NMR(Nuclear Magnetic Resonance、核磁気共鳴)用超高磁場超電導磁石の実用化に成功しました。28.2テスラの磁場強度は、NMRにおいて1.2GHzの1H共鳴周波数に相当し現在の高分解能NMRにおける世界記録となりました。

【ポイント】

NMRは、化学物質の精密構造解析、品質管理、材料科学、構造生物学など、非常に広範な応用が実用化されている分析技術です。NMRは測定試料を強い磁場の中に置きます。この磁場が強ければ、強いほど、分解能と感度が向上するため、より強い磁場が求められます。最近まで商業利用できる低温超電導線材は、ニオブチタン(NbTi)と、ニオブスズ(Nb3Sn)が主流でした。これらの線材では、その特性により23.5テスラ(1HのNMR共鳴周波1GHz)程度が限界でしたが、フジクラ製のレアアース系高温超電導線材は、その障壁を打ち破り、1.1GHz及び1.2GHzNMR分光計の製品化に貢献しました。

ブルカーが開発した1.2GHzNMR外観

ブルカーが開発した1.2GHzNMR外観

ブルカーは、世界トップのNMR分光計サプライヤであり、歴史的に超高磁場(UHF)NMRの分野を開拓してきました。ブルカーのアプリケーションチームを率いるライナー クメ―レ氏は、次のように説明しています。

「超高磁場NMRは、非常に活発な研究分野であり、社会に大きな利益をもたらします。たとえば、あるユーザーの研究所では、SARS-CoV-2ウイルスのRNAとタンパク質構造を解析しており、低分子薬の薬効を研究中です。さらに、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患に関連するタンパク質と構造に関する重要かつ画期的な研究や、がん研究にも使用されます。私達は、長年、高温超電導磁石研究へ携わってきましたが、その成果をNMR研究分野に結実できたことを誇りに思います。最近、1GHzを超える最初の記録的なNMR分光計をNMRコミュニティに提供することができました。」

フジクラは、電力線や通信線、光ファイバなどの工業製品で高度な技術力をもつ、日本の代表的な先端技術企業であり、これらの製品には、長尺物を製造する技術が不可欠です。その技術は、高温超電導線材の開発・製造にも活かされています。フジクラの卓越した製造技術が、第二世代のレアアース系高温超電導線材の、商用ベースでの安定生産を可能としました。

フジクラ製高温超電導線材外観

フジクラ製高温超電導線材外観

ブルカーの1.2GHz用超電導磁石開発担当のパトリック ウィクス氏は、次のように述べています。
「フジクラのレアアース系高温超電導線材の品質は申し分がなく、非常に高品質です。フジクラの製造安定性と製品の信頼性には、非常に感銘を受けています。これまでに複数社の高温超電導線材を試験してきましたが、フジクラの高温超電導製品は、世界的レベルで最高のものでした。私達は、フジクラの製品を高く評価します。」

高度な分析を行うNMRに加えて、レアアース系高温超電導線材は、医療用MRI(Magnetic Resonance Imaging)、高効率発電機、粒子加速器、核融合、など様々な用途が考えられます。ブルカーの超高磁場1.2GHz NMRの実用化は、驚くべき成果であり、この先端技術の大規模商業利用の成功例です。フジクラは、今後も、今回のような人々の生活の質向上だけでなく、様々な用途に向けて技術を通じて社会貢献して参ります。

<お問合せ窓口>

【NMRに関するお問合せ】
ブルカージャパン株式会社
バイオスピン事業部
E-mail:Marketing.BBIO.JP@bruker.com

【超電導線材に関するお問合せ】
株式会社フジクラ
新規事業推進センター 超電導事業推進室
E-mail : ask-sc@jp.fujikura.com

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