環境長期ビジョン
地球環境憲章
フジクラグループは、1992年に「フジクラグループ地球環境憲章」を制定し、2013年に「生物多様性の保全」を重要な環境テーマの一つとして追加しました。
フジクラグループ地球環境憲章
制定 1992年4月 / 改定 2013年4月
- 前文
- 人類の文明は、科学技術の急速な発展とともに、飛躍的な進歩を遂げ、私たちは豊かな生活を享受できるようになりました。しかしその一方で、地球温暖化、大気のオゾン層破壊、酸性雨、熱帯林の減少、砂漠化、海洋汚染など地球レベルで環境破壊が進み、人類のみならず地球上の生命全体の存続にかかわる深刻な事態が進行しています。この地球環境問題には複雑多様化した社会システムが深くかかわっており、企業活動がその重大な要因のひとつであることは否めません。フジクラグループは、私達の事業活動が地球環境と密接な関係をもつということを深く認識し、地球環境を保護するために最大の努力を尽くします。
- 基本理念
- フジクラグループは、『フジクラグループ全員の努力により豊かで明るい生活を確保する』との基本方針を地球的規模に広げ、経営の最高課題のひとつとして、全社を挙げて地球環境の保全に取り組んで行きます。
- 行動指針
- 企業活動の全領域で、一人ひとりが地球環境の保全を優先して行動します。
- 1.組織と運営
-
環境担当役員を責任者とする環境保全のための社内組織及び運営制度を整備し、各組織は環境目的、環境目標を明確にし、計画的かつ継続的な改善を推進する。
- 2.環境管理基準と環境管理レベルの向上
-
国や地方自治体などの環境規制を遵守することはもちろん、自主的な管理基準を設定して、環境管理レベルのいっそうの向上に努める。また定期的に環境監査を実施し、自主管理の維持向上を図る。
- 3.事業活動において
-
製品の開発、設計、購買、生産、施工、販売、物流、廃棄等に至るまで、企業活動の全段階において環境の保全に努める。さらに省エネルギ-、省資源、リサイクルの促進、廃棄物および環境負荷物質の削減に取り組み、環境の汚染予防を図る。
- 4.顧客への適切な情報提供
- 製品の利用者に対して、適正な使用方法、再資源化、廃棄方法などの情報を提供する。
- 5.地域社会への貢献
-
地域環境の保全活動に積極的に参画して、相互理解と協力関係の強化につとめ、地域社会の一員として貢献する。
- 6.海外での事業活動
-
進出先国の環境基準を遵守することはもちろん、自主的な管理基準を設定して環境の保全に努める。更に環境保全のための技術、ノウハウを積極的に活用するとともに、環境管理に関する人材育成に努める。
- 7.広報、啓蒙活動
-
全従業員に教育、広報および啓蒙活動を実施し、地球環境保全の理解と環境意識の向上を図る。
- 8.生物多様性の保全
- 地球環境における生物多様性の重要性を認識し、生態系保全に努めます。
フジクラグループ環境長期ビジョン2050
フジクラグループは、2015年の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)における「パリ協定」の採択や、2016年3月「地球温暖化対策計画」における2050年「CO2を80%削減」(2015年比)等を踏まえ、2016年に「環境長期ビジョン2050」を制定しました。
フジクラグループ環境長期ビジョン2050
2016年7月19日制定
- 前文
フジクラグループは、1885年の創業以来、電線ケーブル、電子配線部品、自動車電装部品など“つなぐ”テクノロジーを通じ顧客の価値創造と社会に貢献して参りました。加えて、2009年より、人にやさしい、地球環境にやさしい企業グループとして、持続可能な社会の実現に向けた「企業の社会的責任」(CSR)の取り組みを進めています。
経済協力開発機構(OECD)等国際機関の予測では、地球環境は今、危機的な状況に向かいつつあります。温室効果ガスによる気候変動に起因する異常気象は、私たちの日常生活への脅威となり、また人口増加や経済活動の増大と共に水不足や資源枯渇、深刻な大気汚染、生物多様性の劣化など、環境問題は広範囲にわたり、地球規模で深刻化しています。
このような現状を踏まえ、グローバルに事業を進めるフジクラグループは、地球市民の一員として、2050年の未来を見据え、環境負荷の最少化に向けた「4つのチャレンジ」に取り組みます。
さらに、“第4の創業”を迎える2065年には、グループの環境負荷削減を進めて、地球環境への負荷をゼロから、さらにマイナスへのチャレンジ(地球環境にプラス効果)を進めて参ります。
- 2050年に向けた「4つのチャレンジ」の目標と主な活動
-
【チャレンジ1】工場CO2排出総量「2050年ゼロチャレンジ」
2030年は、わが国が産業界に求めるCO2削減目標以上にチャレンジ(2013年度比)- 【主な活動】
①製品の環境性能向上
②再生可能エネルギーの活用
③水素エネルギー活用
これら3本の柱によりCO2を削減する。
~使わない、くり返して使う、きれいにして自然にもどす~- 【主な活動】
①生産工程の水使用の最小化と再利用
②雨水利用を含む工場排水のリサイクル
③自然に良い水質で排水 他
- 【主な活動】
①全グローバル拠点でビオトープ「千年の森」の充実と活用
②地域の自然環境保全活動を推進
③未来世代への自然環境教育を推進 他
- 【主な活動】
①エコ素材活用
②環境対応とロングライフな製品づくり
③リサイクル技術開発 他
- 【主な活動】
- 第4の創業(2065年)に向けたチャレンジ
- “第4の創業”を迎える2065年には、フジクラグループは環境負荷削減を進めて、地球環境への負荷をゼロから、さらにマイナスへのチャレンジ(地球環境にプラス効果)を進めます。
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CO2排出量ゼロへ向けたロードマップ
フジクラグループ環境長期ビジョン2050では、チャレンジの1つに「2050年に工場からのCO2排出量ゼロにチャレンジする」を掲げています。その達成向けたCO2排出量削減に向けてのロードマップを以下のように設定しています。省エネルギーや脱化石燃料の活用、ゼロエミ工場の認定や社内省エネ基金設立など、具体的な施策を推進していきます。
年度ごとのCO2削減目標の設定
- 2020年度:2013年度比3%以上削減
- 2030年度:2013年度比6.5%以上削減
- 2050年度:工場からの排出ゼロチャレンジ
CO2総排出量削減ロードマップ(国内)
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ロードマップ達成へ向けた取り組み
フジクラ本社ビルおよびR&D センターでは、2017年9月よりアクアプレミアム電力の使用を開始し、フジクラダイヤケーブル福井工場では、2018年4月再生可能電力の使用を開始しました。また、海外ではタイ王国のFETL社のカビンブリ工場では、工場内のため池に設置された水上太陽光パネルを設置しました。
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気候変動関連リスクの特定
気候変動関連のリスクは、国際研究機関(OECD、IPCC)等の長期予測や社会的な関心事等を踏まえて、フジクラグループの事業成長にどのような影響を与えるのかを分析し、移行リスクと物理リスクを特定しています。近年は、顧客からの気候変動対応要請が高まっており、サプライヤも含めた気候変動関連リスクの分析にも取り組んでいます。
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戦略
フジクラグループは、2020中期経営計画の基本方針の1つに『環境・社会側面での貢献に取り組み、企業価値の増大を図る』を定め、気候変動対応を含むESG の取り組み強化を掲げています。
収益貢献としては、省資源・省エネ等の社会の低炭素化に貢献するために、環境配慮型製品(グリーン関連製品)の開発を行っています。グリーン関連製品登録の目標を年間60件以上と設定し、2018年度は、グリーン関連製品登録件数61件、売上高比率37%でした。
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外部との協働
フジクラグループでは、気候変動対応に向けて社外の有識者とさまざまなコミュニケーションを図り、今後 |
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TCFD※1への賛同表明およびRE100※2の参加
フジクラグループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が2017年に公表した提言に賛同しました。気候変動がもたらすリスクと機会を分析し、ステークホルダーの皆様に情報開示していくことで、持続可能な社会の実現に貢献します。
また、事業活動に要する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が参加するイニシアチブであるRE100にも加盟しました。2050年に工場CO2総排出量ゼロを掲げ、達成へ向けたロードマップを作成、遂行しています。
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フジクラグループ環境管理活動指針
2018年度活動目標・結果、2019年度目標
フジクラグループは、2016年度から2020年度までの「2020中期経営計画」を策定しています。この中期計画にもとづき「フジラグループ環境管理活動指針」を策定し、環境管理活動に取り組んでいます。
20中期目標
項目 | 20中期目標 (2016-2020年度)【環境活動管理指針 5版】 | |
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CSR重点方策Ⅲ | CO2の排出量削減 |
CO2総排出量削減 国内連結対象会社:2020年度において、2013年度比3%以上削減する (長期目標 2030年度において、2013年度比 6.5%以上削減する) 海外連結対象会社:CO2排出量原単位を2014年度比で年 1.3%以上改善する |
省エネ:エネルギー原単位改善 国内外連結対象会社:年1.3%以上改善する |
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物流に伴うエネルギー原単位改善 国内:製品物流のエネルギー原単位:年平均1%以上改善する |
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再生可能エネルギーの導入を推進する | ||
水リスク | 水の使用量削減 国内連結対象会社 原単位:年1%以上改善する |
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生物多様性確保の活動 |
事業所内自然の有効活用により生物多様性に貢献する | |
管理項目 | 資源 | 投入資源を減らし、資源の効率的な利用を推進する |
生産に伴う廃棄物排出量の削減 国内連結対象会社 原単位:年1%以上改善する |
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廃棄物ゼロエミッション(※) 国内連結対象会社:廃棄物ゼロエミッションを継続する |
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化学物質 | 環境負荷物質の削減 国内連結対象会社:主要環境負荷物質の排出移動量を、原単位で2015年度比 年1%以上改善する |
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揮発性有機化合物(VOC)の排出量削減 主要VOCの大気排出量を、原単位で2015年度比 年1%以上改善する |
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製品・グリーン調達 | 環境配慮型製品の拡大 環境配慮型製品の登録件数を毎年60件以上とする |
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サプライチェーンでの製品含有化学物質管理を推進する (グリーン調達及び禁止物質管理の徹底) |
※廃棄物ゼロエミッションの定義:廃棄物の直接埋立および単純焼却処理がないこと
2018年度目標と結果
[評価] ○…達成 △…未達項目あり X…未達
項目 | 2018年度目標 | 2018年度結果 | 評価 |
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CO2の排出量削減 | ・CO2総排出量の削減: (国内連結) 2013年度比 1.8%以上 |
(国内連結) CO2総排出量::2013年度比 フジクラ単体0.1%減少、国内グループ11.8%減少 |
X |
(海外連結) CO2排出量原単位の改善 2014年度比 1.3%以上 |
(海外連結)CO2排出量原単位 2014年度比 7.2%改善 |
○ | |
・生産性エネルギー原単位(対売上高)の改善: (国内連結) 2017年度比 1.3%以上 (海外連結) 同上 |
(国内連結)2017年度比 2.0%改善 | ○ | |
(海外連結)2017年度比 0.3%改善 | X | ||
・製品物流のエネルギー原単位の改善: (国内連結) 2017年度比 1%以上 |
(国内連結)2017年度比 0.9%改善 | X | |
・再生可能エネルギー導入 | フジクラ・ダイヤケーブル福井工場で北陸電力の再エネ電力を導入し、電力のCO2排出ゼロを実現した | 〇 | |
水リスク | 水の使用量原単位の改善: (国内連結) 2017年度比 1%以上 |
(国内連結) 原単位(売上高対比): 2017年度比13.7%増加 |
X |
生物多様性確保の活動 | 事業所内自然の有効活用 | 「佐倉千年の森」プロジェクト活動を推進 ・池設置の検討(当年度の設置見送り)し、森の全体構想を策定 ・ 園内整備を推進(遊歩道にウッドチップ散布、階段・土留めを更新等) |
○ |
資源 | 投入資源を減らし、資源の効率的な利用を推進 梱包材料の投入重量の削減(リサイクル品の使用量): (国内連結) 7,000トン以上削減 |
投入資源の削減:13,100トン(みなし量) | ○ |
生産に伴う廃棄物排出量原単位の改善 (国内連結) 2017年度比 1%以上 |
原単位(売上高対比): 2017年度比 8.6%改善 |
X | |
廃棄物ゼロエミッション(※): (国内連結) 廃棄物ゼロエミッション |
埋立率 0.37% 埋立屑が発生、ゼロエミッション未達成 中国の廃プラ受入中止により国内リサイクル処理能力が不足したことが影響し、直接埋立処理が増加 |
X | |
化学物質 | 主要環境負荷物質の排出移動量原単位の改善: (国内連結) 2015年度比 3%以上 |
原単位(売上高対比):2015年度比 39.5%改善 対象物質を使用する製品の受注中止等による |
○ |
主要揮発性有機化合物(VOC)の大気排出量原単位の改善: (国内連結) 2015年度比 3%以上 |
原単位(売上高対比):2015年度比 3.2%悪化 近年、原単位、排出量ともに減少傾向である |
X | |
製品・グリーン調達 | 環境配慮型製品の登録件数:年間60件以上 | グリーンマインド製品の登録:61件 グリーン製品の登録:1件(上記内数) |
○ |
サプライチェーンでの製品含有化学物質管理を推進する | ・パートナーズミーティングを開催(本社、中国) ・CSR調達ガイドラインを配布、含有化学物質管理の継続実施を要請 |
○ |
※廃棄物ゼロエミッションの定義:廃棄物の直接埋立および単純焼却処理がないこと
2019年度目標
項目 | 2019年度目標 |
CO2の排出量削減 |
・CO2総排出量の削減: (国内連結) 2013年度比 2.4%以上 (海外連結) CO2排出量原単位の改善 2014年度比 3.9%以上 |
・生産性エネルギー原単位(対売上高)の改善: (国内連結) 2018年度比 1.3%以上 (海外連結) 同上 |
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・製品物流のエネルギー原単位の改善: (国内連結) 2018年度比 1%以上 |
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・太陽光発電設備の導入検討 | |
水リスク | ・水の使用量原単位の改善: (国内連結) 2018年度比 1%以上 |
生物多様性確保の活動 |
・事業所内自然の有効活用 |
資源 | 投入資源を減らし、資源の効率的な利用を推進 梱包材料の投入重量の削減(リサイクル品の使用量): (国内連結) 7,000トン以上削減 |
生産に伴う廃棄物排出量原単位の改善 (国内連結) 2018年度比 1%以上 |
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廃棄物ゼロエミッション(※): (国内連結) 廃棄物ゼロエミッション |
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化学物質 | 主要環境負荷物質の排出移動量の削減: (国内連結) 原単位 2015年度比 4%以上 |
主要揮発性有機化合物(VOC)の大気排出量の削減: (国内連結) 原単位 2015年度比 年4%以上 |
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製品・グリーン調達 | 環境配慮型製品の登録件数:年間60件以上 |
サプライチェーンでの製品含有化学物質管理を推進する |
※廃棄物ゼロエミッションの定義:廃棄物の直接埋立および単純焼却処理がないこと
環境パフォーマンスデータの第三者検証の充実と拡大
フジクラグループは、CSR統合報告書の信頼性を高めるために、毎年、審査機関(独立した第三者)による環境パフォーマンスデータの検証を行っています。2018年度は、フジクラ本社および国内20生産拠点において、エネルギー使用量、水使用量およびCO2排出量を対象として、データ管理システムや管理記録等を詳細に審査され、問題ないことが検証されました。なお、この検証範囲は、国内のCO2排出量および水使用量の95%以上をカバーするものです。
2018年度データ検証の概要
- 範囲:フジクラ本社および国内連結20生産拠点
- データーの期間:2018年4月1日~2019年3月31日
- 対象:事業活動に伴う、①エネルギー起源CO2排出量Scope1&2 ②Scope3 Cat3のCO2排出量 ③水使用量 ④再生可能エネルギー使用量
- 検証会社:ビューローベリタスジャパン株式会社
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気候変動起因による財政への影響の把握
2018年度は、気候変動に起因すると思われる現象による、直接的な事業への影響は認められませんでした。なお、将来の被災リスクに備え以下の投資を行いました。
フジクラ佐倉事業所は、過去に豪雨による法面崩落事故を経験しました。近年、気候変動により回数が増している豪雨に備え、2016~2018年度にかけて法面整備を進めてきました(費用:3.8億円)。更に2019年度にも2億円程度の整備費用を見込んでいます。
西日本電線の大分工場は、大分湾に面しており、台風時の高潮、津波による被災リスクを抱えています。これに対応し、2017年度、500名の従業員が避難可能な新事務棟を建設しました。(費用:4.6億円)
気候変動対策に関する業界団体への関与
フジクラは、日本の電線製造事業者の業界団体である一般社団法人日本電線工業会(経済産業省非鉄課が管掌)に所属しています。同会では、経済産業省や日本経団連が掲げる「低炭素社会実行計画」の達成に貢献するため、「環境保全に関する自主行動計画」に取り組んでいます。気候変動対策や廃棄物削減など電線業界特有の環境課題の解決に向けて、環境専門委員会を組織し、2019年度、フジクラは同委員会の委員長社を担っています。
気候変動対策について、主にメタルケーブル・光ケーブル製造に係るエネルギー消費量削減を掲げ、2020年目標・2030年目標といった中長期目標を設定し各社の環境目標に組み込まれています。また、循環型社会形成に向けては産業廃棄物のリサイクルの推進に取り組んでいます。
なお、フジクラグループは同目標への達成に加え、RE100加盟やTCFD賛同など気候変動対策を推進しています。