株式会社フジクラ

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ESG

トップメッセージ

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伊藤取締役 写真

常に時代の変化を先取りし、お客様のニーズに応え続けること。
それがフジクラグループのビジネスモデルです。

 フジクラは、1885年の創業から133年を迎えました。創業者である藤倉善八は、日本橋でアーク灯を見て、「これからは電気の時代が来る」と確信し、電線づくりを始めたのがフジクラの始まりです。その後、日本の社会インフラの整備という社会課題に応えるべく、常に時代の変化やニーズを的確に捉え、電線・ケーブルの研究、開発、製造で培ってきた“つなぐ”テクノロジーを通じて、エネルギー、情報通信、エレクトロニクス、自動車電装の4つの事業分野で信頼性の高い製品・サービスを提供することで、日本だけでなく、世界中の国や地域の発展に寄与してまいりました。変化のスピードがますます加速している現代においても、フジクラには変化に適応できる組織風土があり、これからも社会に貢献できると自信を持っております。
 フジクラは創業以来、大切なビジネスパートナーであるお客様の潜在・顕在ニーズに応えていくことで、深い信頼の絆を築いてまいりました。お客様との深い信頼の絆は、今後も変わらない競争優位性であり、ビジネスモデルです。私は、2016年の社長就任以来、社員に繰り返し伝えていることがあります。それは、社員にお客様と同じ目線で課題解決するために「お客様を訪問すること」の重要性です。私もそれを実行すべく、数多くの展示会に足を運んでおります。展示会に訪れるお客様が、実際にフジクラグループの製品に触れられ、社員の説明をお聞きになっている様子を見ることは、社員がお客様と同じ目線になれているのかを知る貴重な場です。常日頃から、「お客様と一体のチームになれているのか」と自問自答することが、お客様との深い信頼の絆をさらに深めることにつながると考えております。
 この考え方は、グループ経営理念MVCVにおいて、「カスタマーサティスファクション“それでお客様は満足ですか?”」として明記しております。私はこの経営理念を真に実行するために、経営理念に即した事業運営を先頭に立って進めてまいります。

展示会の現場視察 画像1

展示会の現場視察

展示会の現場視察 画像2

私が数多く現場へ足を運ぶことで、
グループ一体経営を推し進めます。

 グループ一体経営は、社員全員が目標を共有し、チームアプローチで全体最適かつ高効率経営の実現を目指すものです。私は就任以来、経営と現場の距離感を近づけるために、率先垂範で世界の各拠点へ行き、現場とのコミュニケーションを図っております。時には車座になって、じっくりと現場の最前線で働く社員の声を聞くことが、経営にとって大事であると考えており、これからも数多く現場へ足を運んでいきたいと考えております。
 2017年度は、自動車電装カンパニーにおいて東欧の急激な採算悪化により、利益に影響する結果となりました。この状況を改善するために私も現場に赴き、Fujikura Automotive Europe社と自動車電装カンパニーの経営陣が一体のチームになるよう、指示をしました。フジクラグループの経営理念や価値観、自動車電装カンパニーにおける目標・目的が共有されていたのか真因分析を行う過程において、強固なチームとなることで、今後の健全な事業の成長に弾みがつくと考えております。
 また、グループ一体経営への施策として、国内外でグループ経営執行会議を行う際には必ずグループ討議を行っております。共通テーマのもと一人ひとりが意見をぶつけ合い、グループ全体で新たな価値創造のためには何が必要なのかを考える機会をつくることで、コミュニケーションの活性化とグループ一体経営の進化を図ってまいります。

率先垂範で世界の現場を訪問

率先垂範で世界の現場を訪問

国内事業所の現場視察

国内事業所の現場視察

海外工場の現場視察

海外工場の現場視察

本業を通じてSDGsを達成することが、私の使命です。

 フジクラは創業以来、本業を通じて、社会インフラの整備という社会課題に応え、日本だけでなく世界中の国や地域の発展に寄与してきたと自負しております。これまで社会に貢献してきた姿勢を貫きつつ、世界が約束したSDGsの達成にも貢献できると考え、具体的な活動を進めております。SDGsを介して世界の課題を考えることは、フジクラグループの持続的成長につながる大きな機会だと考えております。
 私は、そのためにも、本業を通じて社会価値を向上し経済価値も得るCSV(共通価値の創造)が、今後の成長に重要だと考えております。2017年をCSV元年とし、日本におけるCSV推進の第一人者である一橋大学大学院の名和高司教授とのダイアログを行うとともに、主に製品による取り組みと、投資による取り組みを進めております。
 製品による取り組みでは、グリーン関連製品など環境配慮型製品の開発や、データ容量の増大と都市インフラ整備の課題に応える製品など、お客様の期待に応えると同時に、社会課題の解決を通じた価値創造に取り組んでおります。
 投資による取り組みでは、主に新興国での教育支援を進めております。フジクラグループでは、数年前から社会インフラ整備が進むミャンマーで現地法人を立ち上げ、現地の社会インフラ整備に取り組んでまいりました。さらに、2015年から次世代を担う理工系人材育成支援として「フジクラ奨学金制度」を始めるなど、今後もミャンマーの国づくりに貢献してまいります。
 また、フジクラグループはものづくり企業であるため、環境に与える影響を把握し、その対応を図ることも社会的責任として求められていると考えており、中期経営計画とESGを連動させております。環境面では「環境長期ビジョン2050」を制定し、工場CO2総排出量を2050年までにゼロを目指すなど、長期的かつ野心的な4つのチャレンジに取り組んでおります。社会面では、サプライチェーン上の人権リスクなど対応すべき課題が多くありますが、長期的な企業価値向上に資する活動を進めてまいります。
 これらの取り組みの多くはSDGsと親和性が高いと考えており、昨今、機関投資家の皆様を中心とした株主からのESG投資への要請に応えるためにも、SDGsの達成に向けて取り組みを進めてまいります。

ミャンマーでの「フジクラ奨学金制度」の授与式

ミャンマーでの「フジクラ奨学金制度」の授与式

CSVダイアログの実施

CSVダイアログの実施

「社員は財産である」これは私の変わらぬ信念です。

 私は、「社員は財産」であると考えております。その根底は、創業者の実弟である中内春吉が私財を投じた知的障害者施設「藤倉学園」が創設された1919年に遡ります。当時、知的障害者を受け入れる施設がほぼない時代に、創業家が社会課題として貢献したのが藤倉学園の創設でした。社会に貢献するという想いは、創設以降も代々の先輩たちにより支援が継続されてきました。私は、藤倉学園を訪問し、先人の想いを再確認するとともに、人を大切にすることの重要性や、社会課題への取り組む姿勢を、改めて学んだ気がしました。私は先人の人を大切にするDNAを継承すべく、企業価値を高める活動として、特に本質安全・健康経営を重視しております。
 本質安全について、私は社員に向けて、「安全は企業価値そのものである」と繰り返し伝えております。過去発生した事故を忘れず、毎年4月11日を「安全を誓う日」と定めております。本質安全の実現に向けて、「全ての安全リスクを許容可能なレベルまで低減し、重大災害を撲滅する」ことを主眼に、リスクアセスメントシステムの導入を進めてまいります。
 健康経営では、社員の健康が重要な経営資源であると認識し、2014年1月1日に「フジクラグループ健康経営宣言」を発表しました。社員の健康意識と生産性を高めるため、歩数計の配布や各拠点に体組成計や血圧計の設置など、個人の健康データを集計・分析し、そのデータをもとに、各事業所にあったオリジナルの体操(フジクラストレッチ)を開発し、毎日役員を含む全社員が参加することで、仕事の生産性向上を図っております。また、個人に対しては、健康の専門サイトを開設し、個別に健康アドバイスなどを行っております。こうした活動が認められ、「健康経営銘柄2018」へ初選出され、マーケットからの評価もいただけました。「社員は財産」。フジクラグループの雇用を預かる私としては、この信念は今後も変わらずに、経営を進めてまいります。

「安全を誓う日」での講話

「安全を誓う日」での講話

大島藤倉学園の利用者とのひととき

大島藤倉学園の利用者とのひととき

「健康経営銘柄2018」へ初選出

「健康経営銘柄2018」へ初選出

「高い収益力」と「強い新陳代謝力」を両輪に、
稼ぐ力の維持・強化を図ります。

売上高営業利益率の目標

 フジクラグループは、2016年4月に“変わろう、そして未来につなげよう ! 20中期”をスローガンに、5カ年中期経営計画をスタートしました。「高い収益力」と「強い新陳代謝力」を両輪に、未来に続く磐石な会社基盤を築くことを目指しています。私がこの中期経営計画で最も重要視しているのは「収益率」であり、2020年度の売上高営業利益率7.0%以上を最重要指標としています。2018年度は中期経営計画の折り返し、20中期の成否を決める重要な年です。
 昨年度を振り返りますと、上期は自動車電装カンパニーが東欧拠点の労務問題によるコスト増により、急激に採算が悪化しましたが、世界的に旺盛な光ファイバ関連需要によるエネルギー・情報通信カンパニーと、お客様の今年度モデルが順調に立ち上がったエレクトロニクスカンパニーでカバーし、前年度比増収増益となりました。稼ぐ力は維持・強化できているものと思います。
 各カンパニーの取り組みですが、エネルギー・情報通信カンパニーは、光ファイバ増産の確実な立ち上げ、そして、戦略製品であるSpider Web RibbonR/Wrapping Tube CableRの拡販および製造強化を進めます。エネルギー事業は、今年度中に事業構造改革の目処付けを行い、併せて、海外EPC事業を中心とした次の成長分野への対応を進め、利益率の向上を目指します。エレクトロニクスカンパニーは、品質を根幹に据えた事業運営の徹底によりお客様の高い信頼に応え、また一層のコスト低減を図り、さらなる成長を目指します。自動車電装カンパニーは、急激な採算悪化への対策を着実に実施するとともに、事業基盤の点検と再構築を行います。
 新規事業創出として、フジクラ・ダイヤケーブルが工場やビル内に配線されたケーブルの、“診断サービス”の市場探索と商品開発に取り組んでいます。また、医療分野という新しい事業分野でも実を結び始めました。
 2020中期経営計画の進捗ですが、戦略顧客の深耕として、お客様が求められる省スペース、省資源、施工性に優れた工事により大量の情報データの通信を可能にする新製品として戦略製品Spider Web RibbonR/Wrapping Tube CableRの技術により、光ファイバケーブルの超多心化が飛躍的に進展しました。お客様の信頼をこれまで以上に獲得しております。

 社外取締役の増員による取締役会の監視・監督機能の強化

 オープンイノベーションは、新たな価値の創出および新陳代謝の加速を目的に、社外のベンチャー企業等とのコラボレーションによるイノベーション創出活動を展開しています。経営改革においては、経営の意思決定のスピードアップと監視・監督機能の強化を目的に、監査等委員会設置会社に移行いたしました。意思決定のスピードアップを図るために業務執行取締役への権限移譲を行い、監視・監督機能を強化するために社外取締役を1名から4名へ増員いたしました。このような施策を通じて、取締役会のさらなる活性化を図っております。
 また、社外取締役を過半とする指名諮問委員会と報酬諮問委員会を設置し、ガラス張りの経営を目指します。
 2018年8月31日に公表いたしました、当社製品の一部における品質管理に関わる不適切事案につきましては、私が先頭に立ち、全容を解明し、徹底した再発防止策を策定するなど、二度とこのような事案が起こらないようにグループ全体のガバナンスの更なる強化を図ってまいります。
 私は、社会課題の解決とSDGsの達成を通じて、顧客価値創造型企業として「高い収益力」と「強い新陳代謝力」を両輪に、お客様に感謝され、社会からは高く評価される、将来性ある未来に続く企業グループとなるよう、グループ一丸となって事業運営に取組んでまいります。これからのフジクラグループの成長に、どうぞご期待ください。

取締役社長 伊藤雅彦

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