株式会社フジクラ

ESG

フジクラグループのCSR

研究開発

研究開発責任者からのメッセージ

 “つなぐ”テクノロジーを支えるコア技術基盤である、「光」、「無線」、「電子部品」、「電線・ケーブル」の4領域に研究開発資源を重点的に投入し、コア技術基盤を構成する要素技術をより一層強化して世界トップレベルを維持し、“つなぐ”テクノロジーの技術優位性を確保していきます。これらのコア技術基盤の周辺部へ技術拡大を図り、情報通信、エレクトロニクス、エネルギー、自動車電装、医療・産業用機器の5つの事業領域で、社会の変化や顧客ニーズを先取りした新商品の開発および新規事業の創出を行い、フジクラグループの新陳代謝を加速していきます。
 また、グローバル研究体制の構築を通じて、世界の技術トレンドを見据えた研究開発テーマをタイムリーに導入し、さらに社外技術を最大限に活用するオープンイノベーションも積極的に進めていきます。
 これらの研究開発活動は、我々が志向する市場・技術を広く俯瞰しつつ、1総合研究所、2センター(材料技術、自動車技術)が全社研究開発を、また事業部門の開発部が部門別開発活動を進めていきます。

代表取締役 専務取締役 和田 朗

代表取締役 専務取締役
和田 朗

研究開発方針

 2020中期経営計画では、顧客価値創造型企業として「高い収益力」と「強い新陳代謝力」を両輪として将来性のある、未来に続く会社を目指しています。この新陳代謝の源となる研究開発部門では、次の方針で活動を進めています。

  • “つなぐ”テクノロジーを支えるコア技術基盤の強化で優位性を確保する。
  • 5つの事業領域(情報通信、エネルギー、エレクトロニクス、自動車電装、医療・産業機器)で社会の変化、顧客ニーズを先取りし、新規事業の創出で新陳代謝を加速する。
  • グローバル人材の活用を図り、グローバル研究体制を構築する。

“つなぐ”テクノロジーを構成するテクノロジー・プラットフォーム

“つなぐ”テクノロジーを構成するテクノロジー・プラットフォーム

研究開発体制

 コーポレートR&D部門が全社研究開発を、また各事業部門の開発部が部門別開発を担当し、分野別に連携した研究開発活動を進めています。また、オープンイノベーションも積極的に推進していきます。

体制 各事業部門
コーポレートR&D 先端技術総合研究所、材料応用技術・分析センター、自動車電装R&Dセンター、Fujikura Technology Europe
カンパニーR&D エネルギー・情報通信、エレクトロニクス、自動車電装 各カンパニー開発部

研究所紹介

研究所所長からのメッセージ

 フジクラグループは、“つなぐ”テクノロジーを支えるコア技術基盤を①光、②電子部品、③電線・ケーブルに④無線を加えた4つの領域で新しい技術や製品の研究開発を行っています。技術基盤の各要素技術の強化・深耕に加えて、技術基盤の裾野を周辺領域に広げていくことや、コア技術の融合によるクロスイノベーションを狙った活動を行っています。情報通信、エネルギー、エレクトロニクス、自動車電装、医療、産業用機器といった事業領域でお客様や社会のニーズを先取りする新製品を世に送り出すという形で研究開発の成果を出していきます。
 また、フジクラグループではグローバル人材の活用を図り、グループの海外拠点との連携を図りつつ事業に貢献する開発を促進することにも力を注いでいます。社会の変化や顧客ニーズの先取りした新製品の開発や新規事業の創出に向けて当社の新陳代謝を加速していきます。

執行役員 先端技術総合研究所所長
田中 大一郎

先端技術総合研究所

 フジクラグループの基盤となっている材料の開発をはじめとして、情報通信、エネルギー、エレクトロニクス、自動車の4つの技術領域と、その中間融合領域も含めて総合的な研究開発を行っています。次世代に向けた新しい技術の研究と世界中のお客様から求められる魅力的な製品の実現に向けて、活動を続けています。

先端技術総合研究所

材料応用技術・分析センター

 ヨーロッパ自動車電装事業における開発拠点としてドイツに位置し、新技術の採用に積極的なヨーロッパのお客様に対して密着した活動を続けながら、当社のコア技術を応用した新しい電装品の開発を積極的に進めています。

材料応用技術・分析センター

材料応用技術・分析センター

自動車電装R&Dセンター

 ワイヤーハーネスに関わる技術開発と、各種の車載評価を行い、顧客の新しいニーズに対応した商品開発を積極的に推進します。グローバルに展開する自動車電装事業の技術開発拠点として、世界中の拠点の技術サポートも行います。

Fujikura Technology Europe GmbH

 欧州の技術先進国の一つであるドイツに位置し、コーポレートR&Dの欧州における新しい開発拠点として、当社の開発戦略に沿った市場調査、技術動向調査を行い、日本の研究開発活動と新規事業創出をサポートします。

主な研究分野

情報通信分野

 高速・大容量化していく次世代情報通信社会に向けて、光ファイバ及び光通信技術の開発を日欧連携も交えて進めています。さらに、光技術を駆使したファイバレーザなどの応用技術にもチャレンジしています。また、今後急速な普及が見込まれる高速無線通信の分野では、パッシブデバイス及び関連技術の開発を進めています。

エネルギー分野

 ロスのないエネルギー伝送として期待される高温超電導線材や、より効率的にエネルギーを供給するための電池技術、またそれを支える材料技術など、環境に優しいエネルギー社会に貢献する先端技術開発に取り組んでいます。

エレクトロニクス分野

 情報化社会に欠くことのできないモバイル端末、ウェアラブル機器に搭載される電子デバイス、そのための基板技術やセンサ技術、あるいはサーマルソリューション技術に至るまで幅広い電子部品技術の開発を進めています。

自動車電装分野

 電動化、自動運転化が進む次世代のクルマ社会に向けて、社内及び周囲との情報通信技術、周辺環境を感知する技術、さらに環境負荷を低減する技術など、安全で環境に優しいクルマを目指した先端技術の研究開発を進めています。

医療・産業機器分野

 身体負担を低減し効果的治療を行う低侵襲医療に向けて、光技術や3D実装技術を駆使した内視鏡など最先端の医療機器の開発を進めています。また、産業分野では次世代の産業用機器として、光技術の集大成であるファイバレーザの高出力化、高品質化に取り組んでいます。

研究開発製品紹介

希土類系高温超電導線材

 当社では事業化を目指し、希土類系高温超電導線材およびコイルを開発しています。希土類系高温超電導線材は、第2世代の高温超電導線材と呼ばれ、医療分野を始め様々な産業機器応用が期待されております。2016~2018年度は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より受託しております「高温超電導実用化促進技術開発」において従来比1.5倍(当社比)となる高電流密度化を実現した高性能な超電導線材の開発を進め、2018年度に同線材の量産化に成功しています。
 当社は今後も品質・信頼性に優れた超電導線材を提供することで脱炭素社会の実現に貢献していきます。

希土類系高温超電導線材

高利得フェーズドアレイ搭載60GHz帯ミリ波RFモジュール

 60GHz帯で高速・長距離伝送を実現する、組込型無線通信モジュールの開発を進めています。本モジュールは、フェーズドアレイを用いたビームフォーミング機能(電波を特定方向に集中して発射する技術)により、高利得で鋭いアンテナビームを広範囲に方向制御できることが特長です。
 本ミリ波RFモジュールは、柔軟性と低損失を兼ね備えた多層液晶ポリマー(LCP)基板上に設計・実装した高利得な送受各16素子のアレイアンテナを高出力フェーズドアレイICによって駆動する構成で、±45°の任意の角度に約7.5°幅の鋭いアンテナビームを向けることが可能であることを実証しました。

高利得フェーズドアレイ搭載60GHz帯ミリ波RFモジュール

極低消費電力型マルチホップ無線センサシステム

 IoTの分野では、様々なセンシングシステムが導入されています。しかし、従来のセンサシステムでは1対Nのスター型無線が搭載され、そのカバーエリアの大きさにも制約がありました。本システムは、低照度環境下でも優れた発電性能を発揮する色素増感太陽電池をエネルギーハーベスティングデバイスとしてセンサ機器用自立電源に搭載し、無線部には「高精度な同期によるマルチホップ機能」を実装することで、極低消費電力での多段中継を実現し、親機1台でのカバーエリアの飛躍的な拡大と、通信データの迂回ルート確保による冗長性向上を同時に達成しています。これまで適用が難しかった橋梁などのインフラ監視用途、山間部の法面監視などの防災用途、および室内の温湿度・照度をきめ細かく監視・制御することによって達成可能なZEBなど、様々な用途に低構築コスト・メンテナンスコストの画期的なセンシング・システムを提供します。

極低消費電力型マルチホップ無線センサシステム

USB 3.1対応高速伝送多層FPC

 スマートフォンなどに代表されるモバイル機器内部の情報通信速度は高速化の一途を辿っています。従来のUSB 2.0規格では480Mbpsであった最大データ転送速度が、次世代規格であるUSB3.1Gen2では10Gbpsと10倍以上に高速化しています。この次世代規格に対応するため、高精度な回路形成技術により従来以上のインピーダンスコントロールを実現し、多層基板を構成する層間接着剤に低ε・低tanδの低損失材料を採用した高速伝送多層FPCを開発しました。これによって挿入損失が低減され、USB 3.1規格を満たす特性が得られています。

USB 3.1対応高速伝送多層FPC

超薄型0.3mm厚さヒートパイプ

 スマートフォン等の小型携帯機器では高性能化に伴い、熱対策が重要になってきていますが、そこでは放熱対策に優れたヒートパイプが採用されています。
 特に、スマートフォンでは更なる薄型化への要望が年々高まっており、0.1mm単位での省スペース化が求められています。当社では量産可能な超薄型0.3mm厚さのヒートパイプを開発しました。新たに開発した内部構造により、高い熱性能を維持しながら、薄型化を実現しています。

超薄型0.3mm厚さヒートパイプ

主な受賞

レーザー学会「業績賞(進歩賞)」を受賞

 先端技術総合研究所 研究者グループは、一般社団法人レーザー学会より、「業績賞(進歩賞)」を受賞しました。本賞は、レーザー学会の学会誌投稿論文、学会発表の中から、レーザーに関する研究および製品の開発に関し顕著な成果を示したものに贈られるものです。今回の受賞は、ファイバレーザの開発において、レーザシステム内の光コンポーネントを全ファイバ構成とするなど、産業応用を踏まえた上でファイバレーザ高出力化を推進し、半導体レーザー直接励起シングルモードファイバレーザとして世界最高出力の3kWを実現したこと、また、高い反射が起きる金属材料のレーザ加工においても、その反射光耐性に優れたシステムであることなどを実証し、国産レーザ技術において特筆すべき成果であったことから授与されました。

レーザー学会「業績賞(進歩賞)」を受賞

低温工学・超電導学会より「業績賞(工業技術業績)」を受賞

 公益社団法人低温工学・超電導学会より「平成29年度業績賞(工業技術業績)」を受賞しました。本賞は過去およそ10年間において低温工学と超電導工学に関する工業技術の進歩発展に顕著な業績をあげた団体の代表者に贈られます。当社は高温超電導が発見された1986年以降、イットリウム系高温超電導線材の実用化を目指し、開発を進めています。近年、実用機器開発に向けた活動が活発になりつつあるイットリウム系高温超電導線材に対して当社技術開発の業績が認められた受賞です。

低温工学・超電導学会より「業績賞(工業技術業績)」を受賞

電子情報通信学会マイルストーンに選定

 一般社団法人電子情報通信学会は創立100周年を記念し、この100年間に本学会で議論された研究開発の中から、我々の社会や生活、産業、科学技術の発展に大きな影響を与えた研究開発の偉業をマイルストーンとして選定、顕彰しました。当社からは、光ファイバ部門から光ファイバ基礎技術の偉業として、小山内 裕による「GeO2ドープ石英と低OHによる長波長領域での低損失ファイバ」、光ファイバケーブル化技術の偉業として吉村正道、高田寿久、田中重信による「通信ケーブルのSZより方式」が選定されました。

電子情報通信学会マイルストーンに選定

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