労働慣行 ダイバーシティ 基本理念・方針 当社グループはダイバーシティの推進に積極的に取り組んできました。今後も優秀な人財を継続的に採用・定着させ、持続的な発展を図るためには、企業経営におけるダイバーシティ推進はますます重要になると考えています。 当社グループの人事施策の策定・運用にあたり、グループ内で人財マネジメントに関わるすべての人が参照すべきものとして「グループHRMビジョン」を新たに策定し、「ダイバーシティ」をその中核としています。 フジクラグループHRMビジョン 私たちは、国籍・人種・性別・宗教・年齢などに関わらず、多様な人財が活躍できる組織づくりを推進します。 また、HRMビジョンの実現を目指すべく、フジクラグループにとってのダイバーシティ推進の意義を示すものとして、当社社長が以下の「フジクラグループ ダイバーシティ推進宣言」を行いました。 フジクラグループ ダイバーシティ推進宣言 私たちは国籍・人種・性別・宗教・年齢・出身会社などを問わず、多様な人財が活躍できる組織づくりを推進していきます。 色々な背景や考え方をもつ人々が多様な意見を出し合いぶつかりあうことで、ブレイクスルーとなるような創造的・先進的アイディアが生まれると信じているからです。 当社グループにとってのダイバーシティの意義 ・ライフイベントとキャリアを両立しやすい環境整備を行うことで、優秀な人財の採用・定着力強化を図り「収益力」の強化に貢献する。 ・多様な人財が協働することで、新しい発想を歓迎する風土、創造的なアイディアが生まれやすい文化を醸成し「新陳代謝力」の強化に貢献する。 女性の活躍推進 すべての女性が、その生き方に自信と誇りを持ち、活躍のできる「女性が輝く社会」をつくることは、国連を中心とした国際社会並びにわが国の未来づくり施策の重要な課題のひとつです。国連グローバル・コンパクトの一員として当社グループは、女性社員が活躍できる企業環境づくりへ取り組みを進めています。 方針・目標 当社グループの女性の活躍推進に向けた取り組みは、国連を中心とした国際的な動向及びわが国の基本法・基本計画をベースに、当社グループのダイバーシティの基本理念やCSRの活動指針に基づく中期ビジョンと目標を定めています。 中期ビジョン ・女性社員比率の向上と働きやすい環境づくり 目標 1.総合職(地域限定含む)の女性比率を、2015年3月時点の1.4倍以上にする。 2.2021年度までに、女性管理職比率を、2015年3月時点の2倍以上にする。 2016年度の主な取り組み 多様な人材活用の専任組織として、人事部ダイバーシティ推進チームによる「ダイバーシティ推進プロジェクト」が取り組みを進めています。 2017年からは、表層的な多様化推進のみならず、根本的な働き方を改革し、多様なワークスタイルの人財が参画・活躍できる組織風土・文化作りを目指すべく、従前の「ダイバーシティ推進プロジェクト」を「働き方改革プロジェクト」と改称し、取り組み範囲を拡大して施策を行っています。 主な取り組み 1.ダイバーシティ推進に関するトップメッセージの発信 2.男女平等な採用・登用の継続 3.在宅勤務トライアル 4.女性社員意識・ニーズ調査アンケートおよびインタビュー 5.組織開発ワークショップトライアル 女性活躍推進法への対応 当社は、2016年3月、女性の活躍に必要な職場環境整備に関する「女性活躍推進行動計画」を策定しました。また、2017年3月24日付で、厚生労働大臣から「女性活躍推進法」に基づく女性の活躍推進が認められた企業に与えられる「えるぼし」の最高段階の認定(3つ星)を受けました。 「えるぼし」は、女性活躍推進法に基づく行動計画の策定・届出を行った企業のうち、女性の活躍促進に関する取り組みの実施状況が優良な企業に対して、厚生労働大臣が認定する制度で、5つの認定基準を満たした項目数により3段階で認定を受けます。フジクラは、全項目で基準を満たしており最高段階(3つ星)の認定を受けました。 ※認定基準:①採用、②継続就業、③労働時間等の働き方、④管理職比率、⑤多様なキャリアコース 今回の「えるぼし」認定を契機に、当社では性別を問わず、多様な人財が活躍できる組織づくりのための取り組みを一層強化していきます。 当社グループの女性管理職比率(2016年度) 当社グループの女性管理職比率の2016年度実績は以下の通りです。 ■フジクラグループ 女性管理職比率(%) 9.4 女性の部長職以上の比率(%) 13.4 女性の役員数(人) 29 ■当社を含む国内グループ会社 女性管理職比率(%) 1.5 女性の部長職以上の比率(%) 0.9 女性の役員数(人) 0 ■海外グループ会社 女性管理職比率(%) 17.4 女性の部長職以上の比率(%) 18.3 女性の役員数(人) 29 【海外グループ会社の地域別の内訳】 アメリカ アジア EU・他 女性管理職比率(%) 35.3 6.7 17.4 女性の部長職以上の比率(%) 19.1 18.5 16.1 女性の役員数(人) 3 23 3 集計条件 【調査時点】 2016年度3月末時点 【対象企業】 当社を含む主要グループ会社55社 (フジクラ、国内グループ会社24社、海外グループ会社30社) 【カバー率】 99% 国連とわが国、当社グループの取り組み グローバルに事業を展開している当社グループの「女性の活躍推進」に向けた取り組みは、国連「ナイロビ将来戦略勧告」、国連「女性の経済的エンパワーメント原則」等に加えて、わが国の「男女共同参画社会基本法」や「男女共同参画基本計画」、その後の「第3次男女共同参画基本計画」等の内容を踏まえ、さらには、最近の欧州連合(EU)の動向等も考慮し推進しています。 具体的な活動として主に次のようなものがあります。 1.女子高生・女子大生の理工系分野への興味や関心、理解を促して次世代を担う女性の科学技術人材を育成するプロジェクト「理工チャレンジ(略称:リコチャレ)」に協賛し、リコチャレ応援企業として女子学生の受け入れを行っています。 2.国連が制定した「持続可能な開発目標(SDGs)」の「目標5・ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女子のエンパワーメントを行う」を優先課題として取り組みを進めています。 3.国連グローバル・コンパクトや国連UN Women等による「女性のエンパワーメント原則(WEPs) 7原則」に向け、行動に起こすためのツールである「WEPsギャップ分析ツール」の検討会議に参加しています。 リコチャレへの取り組み 女性のエンパワーメント原則(WEPs)と当社の取り組み 当社グループは、国連「女性のエンパワーメント原則」(WEPs※)のジェンダー平等と女性のエンパワーメントをCSR課題として取り組むことで、社員の活力や企業の成長促進を目指しています。具体的なメリットとしては、社員満足度や生産性の向上、他社と比較することで自社の取り組みレベルの把握や好事例の共有に役立てられる等々が考えられています。 ※WEPs(Women's Empowerment Principles) 2010年3月に国連グローバル・コンパクト(UNGC)と国連婦人開発基金(現 UN Women)が協働で作成した7つ原則。エンパワーメントとは、社会学用語で、人々に夢や希望を与え、勇気付け、人が本来持っているすばらしい生きる力を湧き出させること。 女性のエンパワーメント原則(WEPs)の7原則 1.トップのリーダーシップによるジェンダー平等の促進 2.機会の均等、インクルージョン、差別の撤廃 3.健康、安全、暴力の撤廃 4.教育と研修 5.事業開発、サプライチェーン、マーケティング活動 6.地域におけるリーダーシップと参画 7.透明性、成果の測定 国連UN WomenのWEPsチェック 現在、国連グローバル・コンパクトと国連UN Women等によって、企業が「WEPs7原則」に対し、行動に起こすためのツール「WEPsギャップ分析ツール」の検討が進められていますが、私たちもこのツールの検討会議に参加しています。当社グループのCSR委員会は、「WEPsギャップ分析ツール」が完成するまでの暫定の分析ツールとして国連UN Womenが公表しているチェック項目を活用して自己評価・分析を行っています。その結果は、以下の通りです。 ▼国連UN Womenの分析ツールによる自己分析(フジクラ) 7原則 企業のためのチェックリスト 当社の対応状況 目標1 1-1 ・ジェンダー平等の企業姿勢を自社のウェブサイトの社員募集や持続可能性報告書に明示していますか? ○ CSR統合報告書、WebCSRサイト 1-2 ・企業のジェンダー平等方針や計画を擁護する特定の役員を置いていますか? ○ CSR委員会「社会(S)」担当役員 1-3 ・男性管理職研修を含め、女性の参加や共同参画の研修を行っていますか? ○ 各種の研修・セミナーに参加 1-4 ・年次報告書や持続可能性報告書にジェンダー平等の目標達成のトップメッセージを掲載していますか? × 現在、検討中 目標2 2-1 ・社内役員と経営管理職に関するジェンダーの内訳がありますか? ○ CSR統合報告書に掲載 2-2 ・会社は昇進をジェンダー、職種、役職別に記録・分析していますか? ○ データベースで管理 2-3 ・給与の公平性について、定期的な見直しを行っていますか? ○ データベースで管理 2-4 ・雇用時に、全体の30%以上の女性を募集し、面接していますか? ○ 事務系採用で女性5割 2-5 ・面接官の中に適正な数の女性が含まれていますか? ○ 人事採用の女性担当 2-6 ・女性従業員の男性従業員と比べた職場定着率は、職種、役職によって差がありませんか? ○ 差はない 2-7 ・会社は、女性と男性の特有なニーズを勘案した柔軟な仕事上の選択肢を準備していますか? ○ 特殊な職種、職場を勘案 2-8 ・ジェンダー差別、セクハラ、暴力に関する苦情を報告する上で利用しやすい手段が用意されていますか? ○ 相談窓口開設 目標3 3-1 ・安全、その他の装備は、女性と男性に適切なサイズを用意していますか? ○ 作業服、安全靴等の対策 3-2 ・女性、男性別のトイレや更衣室はありますか? 会社の敷地には適切な照明がありますか? ○ トイレ、更衣室、照明等設置 3-3 ・会社が提供する保健医療サービスに、女性の医療職が配置されていますか? ○ 女性の医療職が配置 目標4 4-1 ・研修や能力開発の機会の男女比はどうなっていますか? ○ 職種、研修テーマで差はない 4-2 ・職種別、役職別に分析すると女性と男性それぞれが年間何時間研修を受けますか? ○ 女性・男性で実績把握 4-3 ・研修や教育プログラムの予定作成時に従業員の家庭での役割は考慮されていますか? ○ 配慮している 目標5 5-1 ・女性所有の納入業者数を把握するために現存のサプライチェーンの分析を行っていますか? × 女性の区別はしていない 5-2 ・あなたの企業の納入業者のうち何社がジェンダー平等の方針やプログラムを持っていますか? △ CSRアンケート実施先は把握 5-3 ・納入業者のうち、女性が所有する会社の割合は? × 女性の区別はしていない 5-4 ・マーケティングや広報資料で女性や女児の記述へのクレームをどう記録し、どう処理していますか? × 女性の区別はしていない 目標6 6-1 ・地域社会の男女平等推進で、取り組みを支持し、どの位、女性・女児・男性・男児にアクセスしますか? △ 地域の取り組みがあれば対応 6-2 ・フォーカスグループによる調査や書面のアンケート調査を行っていますか? × 実施していない 6-3 ・地域社会への参加活動の基準や方針を成果やコミュニティからの意見に照らして見直していますか? ○ 地域コミュニティとの連携推進 6-4 ・コミュニティへの女性の貢献度を評価し、公表していますか? △ 実施だが女性の区別はない 目標7 7-1 ・女性の地位向上のための基準に沿った追跡調査は、企業が前進していることを証明していますか? ○ CSR統合報告書実績報告 7-2 ・成果への評価、 分析、話し合いのために、どのような機会を設けていますか? △ 第三者評価実施、ダイアログ検討 [集約結果] ○:実施している 19個 (68%) △:明確ではないが実施、検討中 4個 (14%) ×:未実施 5個 (18%) 障がい者雇用 方針 当社は、社会的責任とノーマライゼーション(障がい者や高齢者と一緒に助け合うこと)実現の観点から、積極的に障がい者雇用と職場環境の整備に取り組んでいます。グループ全体で障がい者が働きやすい就業環境の改善を進め、社会的責任とノーマライゼ―ション※の実現 、法定雇用率2%の達成を目標としています。 ※ノーマライゼ―ション 障がい者や高齢者が他の人々と等しく生きる社会・福祉環境の整備や実現を目指すこと。1950年代にミケルセン(デンマーク)らの知的障がい者の施設改善運動から生まれた理念。国連の国際障がい者年(1981年)に伴い広く知られるようになった。現代の社会福祉の基本理念ともなっている。 目標 障がい者雇用拡大 1.障がい者雇用率2%の達成 2.環境の整備 3.特例子会社の事業拡大 2016年度の主な取り組み 2016年度の計画と活動実績 2016年度 計画 活動結果 1.特例子会社「フジクラキューブ」の安定運用と事業拡大 2.法定雇用率の遵守 特定子会社と関係会社3社を合わせ5社の活動に事業拡大 グループ2.05%、フジクラ2.0% ▼当社の障がい者雇用率実績(法定雇用率2.0%) 2012年度末 2013年度末 2014年度末 2015年度末 2016年度末 1.9% 1.85% 1.97% 2.0% 2.0% 2017年度の計画 2017年度 計画 1.特例子会社「フジクラキューブ」の安定運用と事業拡大 2.法定雇用率遵守 障がい者支援制度(フジクラ) 支援の制度 制度の内容 ・特別通院休暇制度 ・設備面の充実 ・スポーツ競技社員支援制度 障がい者の定期的通院サポート(年6日) 障がい者用トイレ・駐車場・補聴機用電話・休憩室設置 障がい者スポーツ競技を行う社員を支援 佐倉事業所の障がい者用エレベータ 当社本社の障がい者用駐車場 特例子会社「フジクラキューブ」の活動状況 私たちは、CSR活動の一つとして、また「多様な人材がお互いの個性を積極的に認め合うことでそれぞれの強みを活かし、能力を最大限に発揮できるような組織風土を醸成する」とする『ダイバーシティの基本理念』の下、障がい者を積極的に雇用しています。誰もが活躍できる企業を目指す当社の100%出資の子会社として、佐倉事業所内に、2015年11月2日、「株式会社フジクラキューブ」を設立しました。 2016年4月1日、フジクラキューブは、障がい者5名を含む10名の従業員体制で「特例子会社」の認定取得に向けて事業を開始し、佐倉事業所構内の緑化、社宅・寮の清掃、社内報発送などを担っています。 2016年6月1日、木場公共職業安定所(東京都江東区)にて、当社と「株式会社フジクラキューブ」は「特例子会社」の認定書を受領しました。 2017年2月には関係会社3社がグループ適用を受け、当社を含め5社が特例適用となっています。 2016年入社の1期生5名、2017年4月入社の2期生4名の業務状況は目覚ましく、ますますの成長が期待されています。 フジクラキューブは、2020年には30名程に従業員を増し、業務も拡大し、グループ全体の業務効率化、地域の障がい者雇用促進に貢献したいと考えています。 【2016年度の計画と活動実績】 社名 株式会社フジクラキューブ 所在地 千葉県佐倉市六崎1440 設立 2015年11月2日 代表者 代表取締役社長 水野博之 資本金 1000万円 株主 株式会社フジクラ100% 認定日 2016年6月1日 従業員 16名(内 障がい者9名)(2017年3月31日現在) 業務 グループ会社の業務の請負いで緑化、清掃、事務代行など 花壇整備 芝刈り 竹粉砕作業 ※特例子会社とは、障がい者の雇用の促進等に関する法律の規定に基づき、障がい者雇用で一定の要件を満たした上で厚生労働大臣の許可を得た株式会社のことです。特例子会社は、障がい者雇用率算定において、その子会社の障がい者数を親会社及び企業グループの雇用分として合算することが認められています。 障がい者社員のスポーツ支援 当社は、障がい者雇用を進めるなかで、車いす陸上を行っている社員も入社しています。 外国人社員の登用 グローバル経営の推進にあたり、国境を越えた人財マネジメントの重要性が高まるなか、日本国内においても50名を超える外国人社員が活躍しています。現在、外国人社員の採用を推進し、世界各国から、毎年数名が入社しています。 グローバルに活躍する人財の確保と育成(フジクラ) 【2016年度の計画と活動実績】 2016年度 計画 活動結果 1.採用広報の強化 ・学生向け大企業研究セミナーの開催 ・海外における採用活動推進(北米、インド、アジア) ・キャリア採用の強化 2.人材データベース活用によりタレントマネジメント推進 ・人事考課、目標管理とスキルのデータベース化推進 3.キャリア採用力強化 ・社員向けのキャリアカウンセリング実施 4.グローバルトレーニング ・海外子会社幹部候補生向け研修 ・海外研修(海外トレーニー)施行 【2016年度の外国人社員管理職以上の人数】 2016年度 外国人社員(人) (前年比) 管理職数 6 (+1) うち部長職 0 (0) 役員(執行役含む) 1 (±0) うち執行役員 1 (±0) 【2017年度の計画】 2017年度 計画 1. グループ共通の人事プラットフォーム構築 2. 人財育成 ①高度専門家やエンジニア、リーダー人財のモチベーションとリテンションの向上 ②グループ全体で育成・登用の機会の増出 ③人財の適正配置 ④流動化を加速するための、共通プラットフォームの構築 3. ダイバシティ推進 ①多様な人財の価値観を受けれる風土醸成 ②労働生産性を高める就労環境づくりの構築 4. 人材データベース活用によるタレントマネージメント推進とグループ展開 5. 海外子会社の幹部候補者向け研修の実施 6. 海外子会社の人事責任者会議の開催 ミャンマー奨学金 ミャンマーの次代を担う理工系人材の育成を支援する「フジクラ奨学金制度」を開始しました。当奨学金は、勉学への意欲と志を持ちながら経済支援を必要とする学生に奨学金を提供するものです。2017年2月に伊藤社長と滝沢常務が出席し、ミャンマーの4 大学から選ばれた奨学生20 名およびそのご親族、大学関係者、関係省庁の来賓を招待し、奨学金授与セレモニーを執り行いました。その際、最新技術情報の提供を目的に過去10 年分の「フジクラ技報」も各校に寄贈し、今後のミャンマー経済の発展と人財育成に貢献するための活動を開始しました。 次のページへ→