株式会社フジクラ

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ESG

フジクラグループのCSR

特集 働き方改革

 当社グループは、社会課題として注目され、国を挙げて推進している働き方改革の実現に向けて、社長の考えである社員が財産との言葉を重視し、人にやさしい企業グループを目指し、多種多様な取り組みを進めています。
 その基本となる考え方は、フジクラグループCSR基本方針に重点分野として位置づけている人間の尊重です。人間の尊重では、人権が最も尊いものであるとの認識のもと、
・すべての社員が自主性と創造性を十分発揮できる、差別のない、明るい職場作りを目指す
・社員の機会均等及び仕事と私的生活との調和に努める
ことを目標として掲げています。
当社グループは、目標の実現を目指し、専門家とのダイアログを通じ、ダイバーシティ、ワーク・ライフ・バランスの観点から活動を実施するとともに、その基礎となる社員の健康を考える健康経営への取り組みを進めています。

働き方改革

有識者とのダイアログ

 当社は、毎年、自社が解決すべき課題について、ステークホルダーや有識者の方々からご意見をいただき、企業活動に活かすことを目的に、ダイアログを実施しています。
5回目となる今年は「フジクラグループの働き方改革への取り組みについて」をテーマに、人事分野の専門家である中央大学大学院の佐藤博樹教授をお招きし、役員からライン長、さらに担当者までの幅広い層の社員とのダイアログを行いました。
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有識者とのダイアログ

ダイバーシティの推進

■フジクラグループ「ダイバーシティ推進」

 当社グループ2020中期経営計画では「高い収益力」と「強い新陳代謝力」を持つ企業となるべく、グループ一体・チームアプローチで取り組むことを経営方針として掲げています。この方針に沿った施策の一環として「ダイバーシティ推進」に取り組みます。
 日本国内の少子高齢化、事業のグローバル化が進む環境の中、企業競争力を高めるためには、国籍・人種・性別・宗教・年齢・出身会社などを問わず、多様な人財が活躍できる組織づくりが重要になってきています。
 「社員が財産」であるとの考えのもと、フジクラグループ社員が心身ともに健康で、創造性の高い、活気ある人財集団となるために、ダイバーシティ推進により一層取り組んでいきます。

フジクラグループ ダイバーシティ宣言

 当社グループは、2017年3月24日付で、厚生労働大臣から「女性活躍推進法」*に基づく女性の活躍推進が認められた企業に与えられる「えるぼし」の最高段階の認定(3つ星)を受けました。
*「女性活躍推進法」 : 自らの意思によって職業生活を営む女性の個性と能力が十分に発揮されるため、女性の活躍を推進し、豊かで活力ある社会の実現を図ることを目的とした法律。

女性活躍推進「えるぼし」三ツ星獲得

■障がい者雇用の推進
 2016年6月14日、フジクラキューブは、木場公共職業安定所(東京都江東区)において、「特例子会社」の認定証を受領しました。
 現在9名の知的障がい者が働いています。(2017年6月現在)
 フジクラキューブは、今後、障がい者の雇用を一層進めつつ、業務内容を拡大して、グループの業務効率化を図り、当社グループの発展に貢献するとともに、地域コミュニティにおいて、誰もが活躍できるような社会の実現を目指していきます。

ワーク・ライフ・バランス

■労働時間適正化への取り組み
 当社グループにおいて労働時間の適正化は、人財価値・企業価値の向上にもつながる極めて重要な経営課題と認識し、グループを挙げて取り組んでいます。『フジクラグループ労働時間適正化活動方針』を制定し、多種多様な取り組みを推進しています。

フジクラグループ 労働時間適正化活動方針

 フジクラグループは、多様な人財がその能力を最大限発揮できる環境を創出し、企業価値の向上を実現するために、制度改革・組織風土改革など労働時間適正化活動に積極的に取り組んでいきます。

 管理職に対し部下の育児と仕事の両立支援の重要性の理解を進めることを目的に、NPO法人ファザーリング・ジャパンのイクボス企業同盟に加盟し、当社社長が「イクボス宣言」を行いました。
 また、育児と仕事の両立支援制度の充実している会社として、厚生労働省より「くるみん」の認定を受けました。

育児制度の充実

 当社グループは、2013年1月より当社社員を対象とした「社員は活き活きと仕事をしている」企業グループを目指した健康経営を推進するための「健康増進・疾病予防プログラム」を開始しました。
 2014年1月1日に「フジクラグループ健康経営宣言」を行い、現在は、当社グループ各社への活動の拡大を図っており、グループ全体での健康経営の実現を目指しています。
 また、社員の健康増進のために、歩数計を配付し、会社で用意した体組成計や血圧計などを利用して、日々の健康情報をパソコンやスマートフォンで「見える化」をしています。

健康経営

フジクラグループ健康宣言

 フジクラグループは、社員の健康を重要な経営資源の一つであると捉え、個人の自発的な健康活動に対する積極的な支援と、組織的な健康活動の推進で、「お客様からは感謝され、社会から高く評価され、社員は活き活きと仕事をしている」企業グループを目指します。

当社グループ独自の活動が認められ、経済産業省より健康経営を進める法人として「ホワイト500」に認定されました。

ホワイト500


第5回 ステークホルダーダイアログ

フジクラグループの働き方改革への取り組みについて

フジクラグループの働き方改革への取り組みについて

 当社は、毎年、自社が解決すべき課題について、ステークホルダーや有識者の方々からご意見をいただき、企業活動に活かすことを目的に、ダイアログを実施しています。5回目となる今年は「フジクラグループの働き方改革への取り組みについて」をテーマに、人事分野の専門家である中央大学大学院の佐藤博樹教授をお招きし、役員からライン長、さらに担当者までの幅広い層の社員とのダイアログを行いました。

開催日: 2017年2月23日(木)
会 場: 株式会社フジクラ 本社会議室

[ 略歴 ]

一橋大学大学院社会学研究科博士課程終了後、雇用職業総合研究所(現、労働政策研究・研修機構)研究員、東京大学社会科学研究所教授を経て、2014年10月より中央大学大学院戦略経営研究科教授。国が進める人的資源政策への参画が多く、内閣府・男女共同参画会議議員、内閣府・ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議委員、経産省・新ダイバーシティ企業100選運営委員会委員長、厚生労働省・イクメン・プロジェクト顧問、中央大学大学院ワーク・ライフ・バランス&多様性推進・研究プロジェクト代表などを歴任。関係著書・論文多数。

中央大学大学院 戦略経営研究科教授 佐藤 博樹

  • 肩書きは開催当時のものです。本文中の敬称は省略。
今野 明子(自動車電装カンパニーグローバル調達企画部グループ長)

【今野】
私の目標は、会社にしっかりとしたアウトプットを出し、働き方(タイムマネージメント)をコントロールして、仕事もプラベートも充実させていくことです。そのためには上司とトップが自分の部署と私個人にどのような目標を設定しているかを明確にして、それをアウトプットとして提示できるようにマネージメントするモデルケースになりたいです。また、業務を進めるうえで、時差のある国とのやり取りではテレワークがとても効果的です。
【佐藤教授】
働き方改革を進める際に提案しているのは、例えば残業ゼロの日を作らせて、定時で帰らなくてはいけない日を作ることで制約を課すことです。また、どこの会社もそうですが、担当職の時に仕事ができた人が管理職になります。仕事ができる人を管理職にするのではなく、仕事ができてかつ部下をマネージメントできる人を管理職にしなくてはいけません。テレワークは自己管理なので、これができない人がテレワークをやると、うまくいきません。

佐藤 理恵(人事部採用・キャリア開発グループ(ダイバーシティ推進チーム))

【佐藤】
採用の仕事をしていると、学生の方から、入社後のキャリアの組み立てや、将来のキャリア形成について不安に思うとの意見が聞かれます。その方が入社した後に、人事としてどのようにサポートしたらよいでしょうか。
【佐藤教授】
大事なのは初任配属先の上司であり、部下育成のできる管理職のところに配属することがポイントです。部下一人ひとりのポテンシャルを見て育成できるような管理職のいるところに配属するとよいでしょう。

横山 功司(エネルギー・情報通信カンパニ製造業務部 MC生管グループ長)

【横山】
私も入社した時は事業所勤務で、残業をしたり、休日に働いている時期もありました。それがある意味評価された時代でもあり、自分でもそれが正しいと勘違いしていました。残業している全員が頑張っている人、イコール評価される人という間違った考え方になってしまっているのも事実だと思います。
【佐藤教授】
今までの自分がやってきた働き方がおかしいと思うならば、グループ長以下、定時に帰る日を黒板に書き、決めた日は断固帰れるように週の初めに段取りを考えましょう。変更しなくてはいけなくなった場合は理由を説明させ、制約を課すことで、1週間の仕事の仕方を考えるようになります。

藤巻 宗久(光ファイバ事業部 事業部長)

【藤牧】
事業所では年間350日、24時間体制なので、残業を減らすために人員を増やして対応していますが、土日に休暇を取るのが交代になり、社員が望むような休暇が取れないのが実態です。
【佐藤教授】
本来なら現場の方が、シフトを組むから有休が取りやすかったり、あまり残業も発生しないのですが、シフトを変えるのは難しい問題です。ただし、こういう制度のままですと人が採れなかったり、定着率も上がらないので、トータルで考えることが必要です。

西出 研二(執行役員 先端技術総合研究所長)

【西出】
研究員の残業時間は、平均すればそれほど多くないのですが、特定のキーマンの技術員の残業が多いのが特徴です。理系の女性を増やすような活動も去年から始めてはいますが、研究所の女性比率はおそらく2%くらいです。女性から見ても魅力的な会社になるように、アピールをする必要があると思います。
【佐藤教授】
まず、女性が採りにくいというのはご指摘の通りです。できる社員に残業が集中するというのは、技術者以外でもよくある話ですが、問題は、この仕事はこの社員には難しいと思った時に、その社員にもできるような育成をやっているのかどうかです。本当に「この仕事は彼しかできない」のでしょうか。社員全体のレベルアップを考えることはとても大事です。

中山 幸洋(執行役員 人事部長)

【中山】
今は働き方にメリハリがなくなっているので、風土を変えたいと思っています。組織の長が働き方改革について考えを持っていないところがあります。
【佐藤教授】
仕事の仕方、職場風土を変えるには時間がかかります。事務・技術系の仕事の仕方を変えるには、最低でも10年はかかります。そういう意味では、トップが働き方改革を進め、事業部長たちもそれを理解し、現場で働き方改革を進め続けていくことが大事です。現場の小集団活動と同じで、小さな成功をみんなで共有して、「やればできるね、働き方が変わるね」を続けていきましょう。

和田 朗(常務取締役)

【和田】
研究開発では、1年経ってみないと結論が出ないものがあり、それを管理するのは難しいです。物事に興味を持ってやっている人間というのは、どこまででもやりたいものなので、そういう人にはどのように対応すべきでしょうか。
【佐藤教授】
仕事をするなと言っているわけではありません。家で仕事をするなと言ってもパソコンがあればできてしまうのですから、会社に残るのではなく、帰宅して家族との時間を過ごした後にやればいいのです。仕事と家庭を切り替えた方が、いい仕事ができると思います。

【滝沢】
働き方改革を進めるためには、社員や管理職の教育を継続することで、文化を変えていかなければなりません。それには時間がかかりますので、地道にプログラムを作っていく必要があります。
【佐藤教授】
ダイバーシティ経営は、多様な価値観を認めるということであり、仕事仕事が悪いというのではなく、仕事仕事の価値観を持った社員しか受け入れないというのが問題なのです。

主なご意見

  • 仕事ができる社員に残業が集中することを防ぐには、社員の育成が大事であり、社員全体のレベルアップを図ることが大事。
  • 残業が多い部署は、あらかじめ定時で帰宅する日を定め、断固帰るように段取りを考えることで、1週間の仕事の仕方を考えるようになる。
  • 新入社員を育てるには初任配属先が大事であり、部下のポテンシャルを見て育てられる管理職の下に配属すべき。
  • ダイバーシティ経営は、多様な価値観を認めることである。ワークワーク社員が悪いのではなく、そのような価値観を持った社員しか認めないのは良くない。

ダイアログを終えて

本日は大変学びの多い時間でした。また、社員の皆さんの意見も非常に参考になりました。佐藤教授がおっしゃっていたように、働き方改革には時間がかかるという覚悟を持って、着実に取り組むべきであると認識しました。
本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。

常務取締役 滝沢功

常務取締役 滝沢功

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