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CSR統合報告書

フジクラグループCSR統合報告書2016
フジクラグループの事業概要

研究開発

研究開発トップメッセージ

和田 朗

和田 朗
取締役常務執行役員

当社は、2020年度を最終年度とする「20中期計画」で、 “つなぐ”テクノロジーを支えるコア技術基盤である、「光」、「電子部品」、「電線・ケーブル」の3領域に研究開発資源を重点的に投入し、コア技術基盤を構成する要素技術をより一層強化すると共に、コア技術基盤の周辺部への拡大を図り、”つなぐ”テクノロジーの技術優位性の確保と、その裾野を広げる研究開発を行います。“つなぐ”テクノロジーをベースに、情報通信、エレクトロニクス、エネルギー、自動車電装、医療・産業用機器の5つの事業領域で、社会の変化や顧客ニーズを先取りした新商品の開発および新規事業の創出を行い、当社の新陳代謝を加速していきます。
 当社は、グローバル研究体制の構築を通じて、世界の技術トレンドを見据え、研究開発テーマのタイムリーな導入を推進すると共に、社外技術を最大限に活用するオープンイノベーションも積極的に進めていきます。また、研究開発の基本となる人材については、グローバル人材の活用を図ると共に、事業性の視点から研究開発を考えることのできる人材を育成することに注力していきます。

研究所紹介

先端技術総合研究所

先端技術総合研究所

当社の基盤となっている材料の開発をはじめとして、情報通信、エネルギー、エレクトロニクス、自動車の4つの技術領域と、その中間融合領域も含めて総合的な研究開発を行っています。次世代に向けた新しい技術の研究と世界中のお客様から求められる魅力的な製品の実現に向けて、活動を続けています。

Fujikura Automotive Euope

Fujikura Automotive Euope

ヨーロッパ自動車電装事業における開発拠点としてドイツに位置し、新技術の採用に積極的なヨーロッパのお客様に対して密着した活動を続けながら、当社のコア技術を応用した新しい電装品の開発を積極的に進めています。

主な研究分野

情報通信分野

次世代光通信に向けて、既存の伝送容量限界を超える光ファイバの日欧連携の一員として成果を上げています。次世代光通信技術をはじめとして、光技術を駆使したファイバレーザなどの応用技術にもチャレンジしています。

エネルギー分野

ロスのないエネルギー伝送として期待される超電導線材や、より効率的にエネルギーを供給する電池技術、またそれを支える材料技術など、明日のエネルギー社会に貢献する先端技術開発に取り組んでいます。

エレクトロニクス分野

情報化社会に欠かせないモバイル端末、ウエアラブル機器に搭載される電子デバイス、そのための基板技術やセンサ技術、あるいはサーマルソリューション技術に至るまで幅広い電子部品技術の開発を進めています。

自動車電装分野

自動化していく次世代のクルマ社会に向けて、環境負荷を低減する技術、周囲との通信技術、周辺環境を感知する技術など、安全で環境に優しいクルマを目指した先端技術の研究開発を進めています。

医療・産業機器分野

身体負担を低減し効果的治療を行う低侵襲医療に向けて、光技術や3D実装技術を駆使した内視鏡など最先端の医療機器の開発を進めています。また、産業分野では次世代の産業用機器として、光技術の集大成であるファイバレーザの高出力化、高品質化に取り組んでいます。

研究開発製品紹介

①低損失・低曲げ損失ファイバ FutureGuideR-Ace

通信ネットワーク機器におけるデジタル信号処理技術の進展により、光ファイバに求められる特性として伝送損失特性に注目が集まっています。この要求を満たす低損失特性と高密度配線を実現できる良好なマクロベンド(曲げ損失)特性を両立させた光ファイバFutureGuideR-Aceを開発しました。最新のネットワークで求められる特性を高いレベルでバランスをとったFutureGuideR-Aceは、基幹系、FTTH系等の各種用途に高い汎用性を持ち、新世代ネットワークにも最適な製品となっています。

低損失・低曲げ損失ファイバ FutureGuideR-Ace

②マルチコアファイバ(MCF)

6種類の光を同時に伝搬できるコアを19個配置し、114の情報経路を1本のファイバーに多重化した世界最高密度の光ファイバを開発しました。このような光ファイバを用いることで、将来的にはハイビジョン映画数千本を1秒で転送することも可能となります。この高密度光ファイバは折れない・曲げやすいという信頼性も維持しており、今後の情報通信量の増大に伴い必要とされるエクサ(1018)・ビットにも対応可能な信頼性の高い光ファイバとして期待されています。

マルチコアファイバ(MCF)

③IEEEマイルストーン認定 「VAD法」

日本電信電話株式会社(以下、NTT)殿、当社、他の4社が、共同で開発し商用化に成功した、高品質光ファイバ量産製法であるVAD法(vapor-phase axial deposition(VAD) method)が、「IEEEマイルストーン」に認定されました。これは、電気・電子・情報・通信の技術分野において世界最大の学会であるIEEEが認定するもので、世界的に、大変権威のあるものであり、当社として初めての認定となりました。

IEEEマイルストーン認定 「VAD法」

④6kWファイバレーザ

加工対象物から戻ってくる反射光によりファイバレーザが停止・故障してしまうという従来のファイバレーザが持っている問題を解決すべく、耐光反射特性を向上した6キロワット高出力ファイバレーザをラインナップしました。これは、当社の光ファイバ・光部品・高出力半導体レーザ・冷却技術などを集大成した製品です。その結果、ステンレスで20mm厚、銅で10mm厚までの高速溶接が可能となるなど、金属の切断・溶接などのレーザ加工において新たな可能性を切り拓きます。

6kWファイバレーザ

6kWファイバレーザ

⑤エネルギーハーベスティング型ワイヤレス環境センサシステム

低照度用色素増感太陽電池(DSC)を使って駆動するエネルギーハーベスティング型ワイヤレス環境センサシステムは、温度、湿度、照度、気圧、人感などの センサ類を搭載(外部センサとして、黒球温度計などの拡張も可能)し、取得した環境情報をワイヤレスで収集するためのシステムです。搭載しているDSCは、植物の光合成によく似た独特の発電メカニズムにより拡散光や低照度の光でも高い効率で電力に変換することができることから、明るい場所以外にも日陰や、屋内といった使用環境に適しており、電池交換無しでどこでも使用出来るエネルギーハーベスティング機器の電源に最適です。

エネルギーハーベスティング型ワイヤレス環境センサシステム

⑥リチウムイオンキャパシタ(LIC)

エネルギー密度が電気二重層キャパシタ(EDLC)の5倍、従来リチウムイオンキャパシタの2倍と、小型・軽量を可能にしたリチウムイオン キャパシタを開発しました。本製品は材料技術を生かした独自の電極設計により、正極の重量当たりの静電容量を上げることによって、エネルギー密度を19 Wh/kgまで高めることに成功しました。加えて、電解液に改良を加えることで高エネルギー密度化に伴って生じる内部抵抗増加の抑制に成功しており、低抵抗を実現しています。この特徴から携帯端末やウェアラブル機器、自動車、鉄道車両などの用途に適した蓄電デバイスの一つになると期待されています。当社は、今後2年以内の実用化に向けて開発を進めていきます。

リチウムイオンキャパシタ(LIC)

⑦ミリ波バンドパスフィルタ

60 GHzバンド(IEEE 802.11 ad / WiGig)、さらに高い周波数帯域であるEバンド(71~86 GHz)に代表されるミリ波周波数帯域は高速無線通信や車載レーダに利用することができ、その応用技術が注目されています。当社はミリ波帯で使用可能な高性能パッシブフロントエンド、アンテナ及び実装関連技術を開発していますが、このたび世界で初めて実現した低損失ガラスポスト壁導波路型バンドパスフィルタを開発しました。60 GHzで比誘電率3.82、誘電正接0.00036となる極めて低い損失を有するシリカガラス基板内に形成されたポスト壁導波路を用いて実現されています。このバンドパスフィルタは60 GHz帯だけでなく、Eバンドなどのより高い周波数領域にも適用可能です。

ミリ波バンドパスフィルタ