コーポレートガバナンス

基本的な考え方

フジクラは、監査等委員会設置会社を選択しています。これは、取締役会から業務執行取締役への大幅な権限委譲により機動的かつ効率的に業務執行体制を確立するためです。また、フジクラの経営から独立した複数の社外取締役は、多様で高度な知見を有しており、充実した審議を行うことで、監督機能の強化も図っています。
以上の考え方を反映したフジクラグループのコーポレートガバナンスの体制は次のとおりです。

ガバナンス体制図
(2025年3月期に係る定時株主総会後)

ガバナンス体制図(第176期定時株主総会後)

取締役会

2025年3月期に係る定時株主総会終了後の取締役の総数は10名です。このうち過半数である6名が社外取締役であり、いずれもフジクラの経営から独立した立場(独立社外取締役)にあり、それぞれ経営経験、財務・会計などの専門的知見を備えています。
また、取締役会は、監査等委員でない取締役6名(うち社外取締役3名)及び監査等委員である取締役4名(うち社外取締役3名)から構成され、その運営は、取締役会の監督機能の強化の観点から業務執行を担わない取締役である常勤の監査等委員が議長となって議事を主導しております。
取締役会では、経営に関わる重要事項(中長期戦略の立案、事業ポートフォリオの見直し等)を多様な知見や専門知識を備えた社外取締役と社内取締役による十分な討議をもって決定します。

2024年度中には取締役会を15回開催し、独立社外取締役を含む十分な討議をもって、取締役候補の指名、報酬に関する事項、四半期・年度の経営計画の立案とその進捗の確認、中期経営計画の策定、事業ポートフォリオの見直し、重要な投資案件の決定、グループ会社の再編に関わる事項、その他の経営に関わる重要事項等について討議・決定・報告等を行いました。
なお、社外取締役が取締役会において十分に議論することが可能なように、取締役会の資料は事前に配布し、かつ議案の内容に応じて事前に議案説明のための会議(取締役会事前会議)を実施しております。

業務執行体制

取締役会の決議により、最高経営責任者(CEO:Chief Executive Officer)、最高技術責任者(CTO:Chief Technology Officer)及び最高財務責任者(CFO:Chief Financial Officer)を設置する体制としています。CEOはフジクラグループ全体についての最高経営責任者であり、CTOは技術開発分野での最高責任者、またCFOは財務分野での最高責任者となっています。CEOをトップとして、CTO及びCFOがそれぞれ高い専門性を必要とする技術開発又は財務分野においてCEOの機能を補完又は支援する、いわば"三頭体制"をとることで、より高度かつ実効的な経営判断に基づく事業運営を可能としています。

監査等委員会

2025年3月期にかかる定時株主総会終了後の監査等委員である取締役の総数は4名であり、1名の常勤社内取締役と3名の独立社外取締役で構成しています。監査等委員会の職務遂行の実効性を向上させる観点から、常勤監査等委員は、経営執行会議その他の事業の遂行に関する重要な会議に出席し、意見を述べることができることとしています。また、監査等委員は各事業責任者との意見交換等の場を求める権利が保証されており、定期及び臨時に会合を行っています。加えて、監査等委員会の活動を補助する組織として、その指揮下に監査等委員会室を設けて専任の常勤者を配置しています。2024年度中には監査等委員会を17回開催し、監査計画に基づく事項その他業務執行取締役による業務執行に対する監督に必要な事項等について決議、討議等を行っています。

独立社外取締役会議

社外取締役は、当社経営から独立した客観的な立場から、その専門的知見に応じて監査等委員又は取締役として職務を遂行するところ、取締役会における議論を実効的に行うために、2025年3月期に係る定時株主総会後から独立社外取締役のみで構成する独立社外取締役会議を設け、社外取締役間の情報交換・認識共有等を図り、必要に応じて提言を行うこととしています。

取締役の指名および報酬

<指名諮問委員会>

取締役会が、取締役の指名に関する以下の事項を決定するにあたっては、その諮問機関である指名諮問委員会(過半数の社外取締役で構成し、かつ社外取締役を委員長としています。)において、その決定プロセスの公平性・妥当性を検証することとしています。

主な諮問事項

取締役の選解任に関する株主総会議案の原案

取締役の選解任基準

後継者計画

社外取締役の独立性基準

2024年度においては合計7回の指名諮問委員会を開催しました。

<報酬諮問委員会>

取締役会が、取締役の報酬に関する以下の事項を決定するにあたっては、その諮問機関である報酬諮問委員会(過半数の社外取締役で構成し、かつ社外取締役を委員長としています。)において、その決定プロセスの校正性・妥当性を検証することとしています。

主な諮問事項

取締役の報酬及びその額を決定する規律

個々の取締役の報酬額

2024年度においては合計8回の報酬諮問委員会を開催しました。

グループガバナンス

フジクラグループ全体の価値を高め、持続的成長を実現するために、フジクラグループが一体となってあたかも一企業のように活動できる枠組みとプロセスを整備し、その推進と管理が効果的かつ効率的にできる体制を目指しています。

グループガバナンス体制 概念図

ガバナンス体制図(第176期定時株主総会後)

取締役及び執行役員のスキルマトリクス

取締役及び執行役員のスキルマトリクス
執行/
非執行
経営 企画 人財 ガバナンス グローバル 財務
会計
R&D 技術 法務/
コンプラ
サステナビリティ 事業
経験*
ジェンダー
監査等委員でない取締役
岡田 直樹 CEO I、S、C 男性
坂野 達也 CTO I、S、C 男性
飯島 和人 CFO 男性
吉川 恵治 独立社外 男性
小池 利和 独立社外 男性
柳瀬 英喜 独立社外 男性
監査等委員である取締役
成毛 幸二 常勤 I 、T 男性
山田 保裕 独立社外 男性
田邊 るみ子 独立社外 女性
中村 明日香 独立社外 女性
取締役を兼任しない執行役員
浜砂 徹 経営戦略 I、S、T 男性
新堂 桂子 コーポレート
ガバナンス
女性
森 祐起 コーポレート
スタッフ
男性
川西 紀行 情報通信 I、S 男性
福原 純二 電子部品
コネクタ
S、T 男性
那須 秀一 自動車 T、C 男性
萬玉 哲也 生産技術 男性
各自が保有するスキルのうち、現在当社が重要と考える項目に○を付けています。
「事業経験」は、25中期で示した事業領域等に対応しています。
I=情報インフラ(Information Infrastructure)
革新的な光技術をベースとした光配線ソリューションと、将来の高速無線通信技術によって、デジタル化社会実現のための情報通信インフラ基盤の構築に貢献します。
S=情報ストレージ(Information Storage)
ユニークな電子部品技術や超高密度光配線技術で、膨大なデータをストレージするための大容量なコンポーネントやデータセンタの構築に貢献します。
T=情報端末(Information Terminal)
高精細な電子部品や配線・実装技術で、高速大容量かつ高機能な情報端末の進化に貢献します。また、自動車を情報端末とも捉え、CASEの実現・進化に貢献します。
C=カーボンニュートラル(Carbon neutral)
持続可能な社会の実現に向けた取り組みとしてのカーボンニュートラルはビジネス創出の好機でもあることから、フジクラの持つ超電導技術などの事業化を推進していきます。

取締役報酬の決定に関する方針

監査等委員でない取締役の報酬の決定方針および報酬等の決定にあたっては、取締役会の諮問機関である報酬諮問委員会(人事担当取締役および3名の社外取締役で構成し、委員長は社外取締役としています。)の答申を経て、取締役会で決議することとしています。
取締役の個人別の報酬等の内容に関わる決定方針の内容は次のとおりです。
フジクラグループは取り扱い製品が多種多様なだけでなく、グローバルに事業を展開しており、取締役の業務も高度で多岐にわたります。このため、取締役の報酬の水準はこれら業務に対応し得る優秀な人財にふさわしいレベルであることを基本とし、複数の調査機関による主に上場会社を対象とした調査結果を参考に、具体的には、以下の3つの区分で取締役の報酬を構成しています。客観的な指標と評価に基づくとともに、業績への連動性を強めた報酬制度を改めて定めたものです。
なお、報酬全体に対して、業績や株価によって変動する報酬(短期業績連動報酬および株式報酬)は最大でおおむね6割程度となる見込みです。
一方、業務執行取締役以外の取締役の報酬は、その役割に鑑みて固定額である基本報酬のみとし、短期業績連動報酬および株式報酬は支給しません。
監査等委員である取締役の報酬の決定方針および報酬等の決定については、市場環境を踏まえ、その職責に鑑みた固定報酬とし、監査等委員である取締役の個人別の報酬等の額は、株主総会で承認された報酬限度額の範囲内で、監査等委員である取締役の協議により決定することとしています。なお、当該方針は監査等委員である取締役の協議により決定しています。

  • 基本報酬

    取締役の監視・監督機能に相当する部分として、役位・グレード別の固定額とします。

  • 短期業績連動報酬

    全社業績または管掌部門の業績に応じた役位・グレード別の基礎額を設定し、一定の指標(営業利益率、株主資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC))に基づき、当該基礎額の0%から200%の範囲で支給することとします。
    これらの指標は、「経営施策が反映されやすい指標」、「株主への利益還元度と相関の強い指標」であり、フジクラグループの成長戦略と親和性の高い指標であることから採用しています。
    なお、当事業年度における「短期業績連動報酬」に関わる指標の基準値として、次の2つを使用しています。
    ① 2023年3月期の終わりに取締役会で決議された2024年 3月期の連結年度計画
    ② 2023年3月期の連結年度実績
    次の2つの観点で、これら基準値より算出した各指標と、 2024年3月期の連結年度実績より算出した同指標を比較し、当事業年度における短期業績連動報酬の支給額を決定しています。
    ・ 2024年3月期の連結年度計画に対する達成率(対応する基準値:上記①)
    ・ 2023年3月期の連結年度実績からの成長度合い(対応する基準値:上記②)

  • 株式報酬

    上記1および2とは別に、取締役の報酬として当社普通株式を交付するものです。取締役が株価上昇によるメリットを享受するのみならず、株価下落リスクをも負担し、株価の変動によるメリットおよびリスクを株主の皆様と共有することで、企業価値の向上に貢献する意識を高めることを主たる目的とするものです。
    なお、当該株式の交付を受ける時期は、原則として監査等委員でない取締役の退任時です。

取締役会の実効性評価

  • 2023年度からの改善

    当社では、2023年度以前においては全取締役に対するアンケート調査によって取締役会の実効性評価を行っておりましたが、2023年度は、更なる実効性向上を目指して、取締役会実効性評価に高い知見と豊富な実績を持つ株式会社ボードアドバイザーズに委託して、全取締役アンケート、全取締役及び取締役会事務局インタビュー、取締役会等の議事録閲覧並びに取締役会への陪席を通じて実効性評価を実施いたしました。
     当該実効性評価で示された課題を踏まえ、以下の取組みを行って取締役会の実効性向上に努めました。
    ① 取締役会の役割に対する認識の共有
    取締役会が担うべき役割、監督機能を担う監査等委員会の職責範囲等について議論を行い、取締役間の認識共有を図りました。
    ② 取締役会アジェンダ整理
    取締役会付議基準の見直し等をさらに進め、取締役会の役割のうちモニタリングの比重を高めました。
    ③ 取締役会構成の高度化  持続的成長フェーズにふさわしい取締役会の役割や、各取締役に求めるべき役割・期待を明確化して、その構成の見直しを進めました。
    ④ 取締役会運営の見直し  特に社外取締役に対する事前説明の場等を拡充し、取締役会での審議の効率化・実効性の向上を図りました。

  • 2024年度取締役会実効性評価の実施と評価結果

    2024年度においては、前年度の結果を踏まえたアンケート調査を当社が行い、その結果の分析・評価を株式会社ボードアドバイザーズに委託して行いました。 その結果は、以下のとおりです。
    ① 中長期戦略や非財務テーマなど重要議案の議論について、更なる拡充の余地がみられた。
    ② 取締役会のあるべき構成やスキルマトリクス、社内外比率について検討を求める声が複数聞かれた。
    ③ 「社外取締役の貢献」に関して、社外取締役の資質を最大限活かすため、業務執行側が期待する役割を明確にする必要性が窺えた。
    ④ 委員会について、取締役会との連携及びアジェンダ設定に改善の余地がみられた。

  • 今後の取組み

    分析・評価の結果を踏まえた課題と今後の取り組みは以下のとおりです。
    ① 重要議案に関する議論の拡充  中長期的な議論、非財務等に関する議論の拡充。
    ② 取締役会構成の見直し  取締役のスキルマトリクスに係る議論の深化。
    ③ 社外取締役の資質の発揮  社外取締役の役割の明確化と、実効性の確保。

政策保有に関する方針

フジクラは、原則として投資株式を保有しない方針としています。ただし、フジクラが行う事業において、事業戦略上協力関係を結ぶ必要があり、かつ、当該協力関係がフジクラの中長期的な企業価値向上に資する場合に限り、その企業の株式を政策保有株式として保有します。これら政策保有株式については、事業を行う各事業部門の投下資本の一部として位置づけ、上記保有方針に沿って適宜検証を行い、取締役会において保有の是非を決定します。保有しないこととした株式については、売却の進捗状況を取締役会に報告しています。フジクラでは、上記方針に基づき、これまで積極的に保有株式の売却を進めてきました。

政策保有株式の推移

政策保有株式の推移
2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
非上場株式(銘柄数) 73 68 63 62 54 51 48
非上場株式以外(銘柄数) 25 21 19 18 16 13 6
BS計上額
(純資産に対する割合)
6.6% 5.0% 4.2% 2.9% 2.6% 2.9% 3.2%