コーポレートガバナンス

基本的な考え方

フジクラは、監査等委員会設置会社を選択しています。これは、取締役会から業務執行取締役への大幅な権限委譲による機動的かつ効率的な事業運営の可能な体制としつつ、当社経営から独立した複数の社外取締役の持つ多様で高度な知見による充実した審議のできる体制を志向したことによるものです。
以上より、持続的成長フェーズにおける当社の効果的なコーポレートガバナンス体制を次のとおりとしています。

取締役会

2023年3月期に係る定時株主総会後における取締役総数は9名、うち社外取締役4名(すべて監査等委員)、社内取締役5名の体制としています。取締役会の半数近くを構成する社外取締役は、当社経営から独立した者であり、それぞれ経営経験、財務・会計、法務などの専門的知見を備えています。取締役会での経営に関わる重要事項(中長期戦略の立案、事業ポートフォリオの見直し等)は、これら多様な知見や専門知識を備えた社外取締役と社内取締役による十分な討議をもって決定します。
取締役会の構成は、業務執行取締役3名と業務執行を担わない取締役6名であり、また、業務執行を担わない取締役会長が取締役会の議長となって議事を主導し、取締役会の監督機能の強化を図っています。(2022年度開催回数:15回)

業務執行体制

取締役会の決議により、最高経営責任者(CEO:Chief Executive Officer)、最高財務責任者(CFO:Chief Financial Officer)及び最高技術責任者(CTO:Chief Technology Officer)を設置する体制としています。CEOは当社及び当社の子会社から成る企業集団全体についての最高経営責任者、CFOは極めて高い専門性を必要とする財務分野での最高責任者、CTOは同じく技術開発分野での最高責任者を担っています。
CEOをトップとしてCFO及びCTOがCEOの機能を補完又は支援する、いわば"三頭体制"をとることで、より高度かつ実効的な経営判断に基づく事業運営が可能となります。

監査等委員会

監査等委員会は、2023年3月期に係る定時株主総会終了後において、1名の常勤社内取締役と4名の当社経営から独立した社外取締役の合計5名で構成されています。 また、監査等委員会の活動を補助する組織として、その指揮下に監査等委員会室を設けて専任の常勤者を配置しています。 (2022年度開催回数:19回)

取締役の指名および報酬

取締役会が、取締役の指名に関する以下の事項を決定するにあたっては、その諮問機関である指名諮問委員会(過半数の社外取締役で構成し、かつ社外取締役を委員長とする)において、その決定プロセスの公正性及び妥当性を検証することとしています。

  • 取締役の選解任に関する株主総会議案の原案
  • 後継者計画
  • 取締役の選解任基準
  • 社外取締役の独立性基準
取締役会が、取締役の報酬に関する以下の事項を決定するにあたっては、その諮問機関である報酬諮問委員会(過半数の社外取締役で構成し、かつ社外取締役を委員長とする)において、その決定プロセスの公正性及び妥当性を検証することとしています。
  • 取締役の報酬及びその額を決定する規律
  • 個々の取締役の報酬額

業務執行体制

取締役会の決議により、最高経営責任者(CEO:Chief Executive Officer)、最高財務責任者(CFO:Chief Financial Officer)及び最高技術責任者(CTO:Chief Technology Officer)を設置する体制としています。CEOは当社及び当社の子会社から成る企業集団全体についての最高経営責任者、CFOは極めて高い専門性を必要とする財務分野での最高責任者、CTOは同じく技術開発分野での最高責任者を担っています。
CEOをトップとしてCFO及びCTOがCEOの機能を補完又は支援する、いわば"三頭体制"をとることで、より高度かつ実効的な経営判断に基づく事業運営が可能となります。

業務執行取締役による内部統制システムの構築及び監査等委員会による監査

業務執行取締役は、その所管する事業部門、事業部門を支援する部門若しくはコーポレート部門又はグループ会社について、自ら又は管下に配置される執行役員による業務執行を統轄し、当社の内部統制システムの遵守・実行の責任を負っています。また、業務執行取締役は、内部統制システムを決定する取締役会の一員である立場から、内部統制システムの適正性について責任を負っています。

監査等委員会は、業務執行取締役の職務の執行に係る内 部統制システムの遵守及び実行の状況を監督します。このため、必要に応じて自ら当社及びグループ会社の状況を調 査し、執行側から提供される情報の内容を確認・検証する ほか、業務執行取締役をはじめとする執行の当事者に直接の説明を求めます。以上と合わせ、監査等委員会は、内部統制システムを決定する取締役会の一員である立場から、内部統制システムの適正性について責任を負っています。

コーポレートガバナンス体制

ガバナンス体制図(第176期定時株主総会後)

コーポレートガバナンス体制のイメージ図

委員会の活動

フジクラグループでは任意に以下の機関を設けてそれぞれ運営しています。

委員会の活動
名称 概要 構成 開催数*2
指名諮問委員会 取締役候補者の指名に係る決定プロセスの客観性・透明性を 確保することを目的として設置する取締役会の諮問機関 委員長: 山口取締役*1
委 員: 花崎取締役*1
     吉川取締役*1
     岡田代表取締役社長CEO
6回
報酬諮問委員会 取締役の報酬に係る決定プロセスの客観性・透明性を確保することを目的として設置する取締役会の諮問機関 委員長: 吉川取締役*1
委 員: 山口取締役*1
     目黒取締役*1
     岡田代表取締役社長CEO
7回
経営革新委員会 経営資源(ガバナンスを含む)の効率化・事業ポートフォリオ最適化の検討、推進機関 委員長: 岡田代表取締役社長CEO 業務執行取締役及び執行役員で構成 23回
サステナビリティ戦略会議 環境・社会・財務のマテリアリティの視点を含むサステナビリティ目標の策定をはじめとした「持続可能な企業経営」のために必要な活動の推進機関 議 長:岡田代表取締役社長CEO 業務執行取締役及び執行役員で構成 3回
リスクマネジメント委員会
(含むグループ危機対応委員会)
リスク(コンプライアンスを含む)の観点から当社の業務執行 体制及び執行状況を検証し、損失の発生を防止・評価、方針の策定、内容の共有化等を行う機関 委員長: 岡田代表取締役社長CEO 業務執行取締役及び執行役員で構成 19回

*1 社外取締役

*2 2022年度 開催回数

取締役の報酬等

① 取締役報酬の決定に関する方針

監査等委員でない取締役の報酬の決定方針及び報酬等の決定にあたっては、取締役会の諮問機関である報酬諮問委員会(人事担当取締役及び3名の社外取締役で構成し、委員長は社外取締役としています。)の答申を経て、取締役会で決議することとしています。 取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針の内容は次のとおりです。
当社は、取扱製品が多種多様なだけでなくグローバルに事業を展開しており、取締役の業務も高度で多岐にわたります。このため、取締役の報酬の水準は、これら業務に対応し得る優秀な人材にふさわしいレベルであることを基本とし、複数の調査機関による主に上場会社を対象とした調査結果を参考に、以下の3つの区分で取締役の報酬を構成しています。客観的な指標と評価に基づくとともに、業績への連動性を強めた報酬制度を改めて定めたものです。

基本報酬

取締役の監視・監督機能に相当する部分として、役位・グレード別の固定額とします。

短期業績連動報酬

全社業績又は管掌部門の業績に応じた役位・グレード別の基礎額を設定し、一定の指標(営業利益率、株主資本利益率(ROE)、 投下資本利益率(ROIC))に基づき、当該基礎額の0%から200%の範囲で支給することとします。これらは、「経営施策が反映されやすい指標」、「株主への利益還元度と相関の強い指標」であり、当社の成長戦略と親和性が高い指標であることから採用しています。なお、当事業年度における「短期業績連動報酬」に係る指標の目標は、2021年3月期の終わりに取締役会で決議された 2022年3月期の連結年度計画より算出した上述の各指標を採用していました。これらと同期の連結年度実績より算出した同指標との比較から達成度を測り、当事業年度における短期業績連動報酬の支給額を決定しています。

株式報酬

「基本報酬」及び「短期業績連動報酬」とは別に、取締役の報酬として当社普通株式を交付するものです。取締役が株価上昇によるメリットを享受するのみならず、株価下落リスクをも負担し、株価の変動によるメリット及びリスクを株主の皆様と共有することで、企業価値の向上に貢献する意識を高めることを主たる目的とするものです。
なお、当該株式の交付を受ける時期は、原則として監査等委員でない取締役の退任時です。
報酬全体に対して、業績や株価によって変動する報酬(短期業績連動報酬及び株式報酬)は、最大で概ね4割程度となる見込みです。
一方、業務執行取締役以外の取締役の報酬は、その役割に鑑みて固定額である基本報酬のみとし、短期業績連動報酬及び株式報酬は支給しません。
監査等委員である取締役の報酬の決定方針及び報酬等の決定については、市場環境を踏まえ、その職責に鑑みた固定報酬とし、監査等委員である取締役の個人別の報酬等の額は、株主総会で承認された報酬限度額の範囲内で、監査等委員である取締役の協議により決定することとしております。
なお、当該方針は監査等委員である取締役の協議により決定しております。

② 取締役の報酬等の総額

取締役の報酬等の総額
区分 報酬額等の総額 報酬等の種類別の総額 支給人員
基本報酬 業績連動報酬 株式報酬
鑑査等委員でない取締役 261百万円 261百万円 56百万円 30百万円 6名
鑑査等委員である取締役
(社外取締役を除く)
30百万円 25百万円 5百万円 - 1名
鑑査等委員である取締役
(社外取締役)
67百万円 67百万円 - - 5名

1. 当社には監査等委員でない取締役のうち、社外取締役はおりません。

2. 上記には、2022 年6月29 日開催第174 期定時株主総会終結の時をもって期間満了により退任した監査等委員でない取締役1名を含んでいます。

3. 当事業年度における「短期業績連動報酬」に係る主要な指標の目標及び実績値は下記のとおりです。

業績連動係数

業績連動係数
指標の種別 目標値
(2022年3月期連結年度経営計画)
実績値
(2022年3月期連結年度経営計画)
連続営業利益 3.3% 5.7%
連結株式資本利益率(ROE) 3.9% 20.4%

4. 監査等委員である取締役に対する業績連動報酬は、2020年度において監査等委員でない取締役であった期間中の業績結果を踏まえ監査等委員である取締役の報酬として決定したものです。

5. 取締役会は、当事業年度に係る監査等委員でない取締役の個人別報酬について、上記①「取締役報酬の決定に関する方針」の手続きを経て取締役の個人別の報酬額が決定されていることから、その内容が決定方針に沿うものであると判断しています。なお、監査等委員でない取締役の報酬等の決定にあたっては、報酬諮問委員会において、各取締役の業績評価、報酬水準の 市場性、報酬体系及び具体的な報酬額について決定プロセスの公正性及び妥当性を検証することとしており、報酬諮問委員会から公正かつ妥当である旨の答申を受けています。 6. 監査等委員会は、当事業年度に係る監査等委員でない取締役の個人別報酬について、報酬諮問委員会に出席した監査等委員から報告を受け、協議した結果、報酬諮問委員会における監査等委員でない取締役の報酬等の決定プロセスは適切であり、会社法の規定に基づき株主総会で陳述すべき特段の事項はないとの結論に至っています。

7. 取締役の報酬等についての株主総会の決議に関する事項

①監査等委員でない取締役の報酬額は、2017年6月29日開催第169期定時株主総会において年額600百万円以内と決議しています。また、当該金銭報酬とは別枠で、同定時株主総会において、株式報酬の額を年額120百万円以内、株式数の上限を年285千株以内(社外取締役は付与対象外)と決議しています。同定時株主総会終結時点の監査等委員でない取締役の員数 は9名(うち、社外取締役はおりません。)です。

②監査等委員である取締役の報酬額は、2022年6月29日開催第174期定時株主総会において年額150百万円以内(うち、社外取締役分100百万円以内)と決議しています。同定時株主総会終結時点の監査等委員である取締役の員数は6名(うち、社外取締役は5名)です。

取締役及び執行役員のスキルマトリクス

以下のスキルマトリクスは、「2025年中期経営計画」の目標達成に向けて必要と考える主なスキルと、取締役及び執行役員が保有するスキルとの対応表です。

取締役及び執行役員のスキルマトリクス
執行/非執 経営 企画 人材 ガバナンス グローバル 財務会計 R&D 技術 法務/
コンプラ
事業経験 ジェンダー
取締役(名前の*は、当社経営から独立した社外取締役であることを示しています)
伊藤 雅彦 非執行 C 男性
岡田 直樹 執行 I、S、C 男性
坂野 達也 執行 I、S、C 男性
飯島 和人 執行 男性
成毛 幸二 非執行 I、T 男性
花﨑 浜子 執行 女性
吉川 恵治 非執行 男性
山口 洋二 非執行 男性
目黒 高三 非執行 男性
執行役員(取締役を兼務しない者)
浜砂 徹 執行 I、S、T 男性
新堂 桂子 執行 女性
森 祐起 執行 男性
川西 紀行 非執行 I、S 男性
福原 純二 執行 S、T 女性
那須 秀一 執行 T、C 男性
萬玉 哲也 執行 男性

※主要と考える項目について2つを上限に○を付けています。
※「事業経験」は、「2025年中期経営計画」において揚げた事業領域等に対応したものとしています。
『"I"(情報インフラ:Information Infrastructure)』 革新的な光技術をベースとした光配線ソリューションと、将来の高速無線通信技術によって、デジタル化社会実現のための情報通信インフラ基盤の構築に貢献します。
『"S"(情報ストレージ:Information Storage)』 ユニークな電子部品技術や超高速密度光配線技術で、膨大なデータをストレージするための大容量なコンポーネントやデータセンタの構築に貢献します。
『"T"(情報端末:Information Terminal)』 高精細な電子部品や配線・実装技術で、高速大容量かつ高機能な情報端末の進化に貢献します。また、自動車を情報端末とも捉え、CASEの実現・進化に貢献します。
『"C"(カーボンニュートラル:Carbon Neutral)』 持続可能な社会の実現に向けた取り組みとしてのカーボンニュートラルはビジネス創出の好機であることから、当社の持つ超電導技術などの事業化を推進してまいります。

取締役候補の指名等を行うに当たっての方針と手続き

取締役候補の決定方針

「ものづくりの会社」である当社が持続的に成長していくためには、強い財務基盤の確立とともに高い技術力を背景とした戦略の策定が重要になります。取締役会では、十分かつ充実した議論をもって、当社の方向性や成長戦略の中核となる重要な事項を決定できる体制を構築すべきと考えています。業務を執行する取締役としては、高い視座をもって全社戦略の立案、推進を果たすに足る人財を選任し、一方、業務を執行しない取締役として、当社の方向性、成長戦略の中核となる重要な事項や、事業運営に対し、適切かつ的確に監督又は助言機能を果たせる人財を選任することとしています。

取締役候補の決定手続き

フジクラグループでは、取締役会において監査等委員でない取締役(社外取締役を除く)の選任及び解任に係る株主総会議案を決定するにあたり、取締役会の諮問機関である指名諮問委員会(取締役社長CEO、人事担当取締役(現在、取締役社長CEO が兼任) 及び3名の社外取締役で構成し、委員長は社外取締役とする。)の審議を経ることとしています。指名諮問員会では、取締役会が示す候補者の原案について、取締役の選任基準及び各候補者の実績を含む選任理由等の審議を通して、その決定プロセスが公正・妥当であることを確認し、取締役会に対しその結果を答申します。  取締役会は、この答申を受けて株主総会に付議する取締役選任議案を決定します。

取締役会全体の実効性についての分析・評価

取締役会の実効性向上に向けた取り組みとして、毎年取締役全員を対象に、会議体としての適正性(時間、頻度、議事運営、議事録等)、付議案件の適正性(付議のタイミング、重要度、情報量等)、取締役の態様(審議への参画等)及び事務局体制についてアンケートを実施しています。当該アンケートによって挙げられた課題について、継続的に改善を進めています。 具体的には、

  1. 取締役会における審議充実のため、各種資料の改善、社外取締役向け説明会の実施
  2. 事業運営上の損失発生の回避又は軽減のためのリスクの想定及び分析・深堀、リスク発現時に迅速な対応体制の強化
  3. 取締役会の付議基準見直しなどによる、取締役会において中長期の経営戦略等を中心とした議論に注力できる体制改善

を進めてきました。
今後に向けた課題として、中長期的・戦略的議論の更なる拡充が求められる一方、取締役会の開催頻度や討議時間の増加が顕著となってきており、より効率的な議論を行えるよう、論点を明確に絞り込んだ資料作成や、取締役への情報提供の早期化が課題として挙がっています。