株式会社フジクラ

  1. Home
  2. 研究開発
  3. FUJIKURA ODYSSEY
  4. 神様からの贈り物
R&D
FUJIKURA ODYSSEY
FUJIKURA ODYSSEY vol.03

神様からの贈り物

フジクライズムの象徴“極低損失光ファイバ”開発物語

Phase.2 背水の陣

闘争心をモチベーションに、背水の陣での船出。完全競争の場。そしてフジクラの名が、一躍世界に鳴り響くとき。

社会的使命感に加えて「光ファイバの開発で優位に立たなければ我々の未来はない!」……そんな危機感も手伝って、研究開発は背水の陣での船出となる。電電公社との共同研究は、月1回、研究成果の発表を行い、その都度勝敗が決まるという実質的には完全競争の場だった。まず研究テーマとなったのは「極低損失化へのアプローチ」。共同研究が始まると、ターゲットがどんどん上がって、ぼんやりしている暇もなく、研究陣は寝食を忘れるくらい、日々実験に没頭した。当時最も進んでいたベル研の方法(MCVD法=内付け化学的気相堆積法)で仮説&検証を重ね、程なくフジクラは、波長0.85μmで損失1.5dB/kmのファイバを完成する。そしてこのファイバの分析結果には、それまでのファイバとは違った一つの特徴が見られた。

当時の石英ガラス光ファイバの波長と損失の関係を示すグラフによると、波長0.95μm付近に光ファイバ中の水分(水酸基)による損失の大きな山があった。ところがフジクラがつくったファイバには、この水分による損失が極めて少ない。なぜならフジクラの研究陣は、製造工程で水を抜く技術を徹底的に追求して、成功を収めたからである。フジクラ製光ファイバの重要性に気づいた電電公社茨城通研では、それまでに開発を進めてきた1.1〜3μm帯の長波長帯の精密測定器を使用して、より長い波長領域で測定。その結果、1976年3月、波長1.2μmで、0.47dB/kmという、理論的限界値に近づく、損失の極小点を発見する。

Electronics Lettersに掲載された論文
Electronics Lettersに掲載された論文
この画期的成果を、茨城通研と共同で、英国電気学会誌「エレクトロニクス・レターズ」に投稿。同誌の1976年6月10日号に掲載された「水酸基の少ない光ファイバの波長損失特性」と題したこの論文は、光通信関係で “世界で最も引用される論文のひとつ”となり、英国IEEの年間最優秀論文賞のほか、国内では電気通信学会の業績賞(1976年)、科学技術庁の研究功績者表彰(1978年)などの栄誉に輝く。これによってフジクラの名は一躍世界に鳴り響き、低損失ファイバでは以後トップレベルの快走を続けていくことになる。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5

PAGE TOP