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R&D
フジクラ技報

No.116 2009年7月

 

論文記事

高速自動利得制御光増幅器
 フォトニックネットワークの発展にともない,入力信号レベルの高速な変化に対応できる自動利得制御光増幅器が求められている.そこで当社では,高速VOA を用いた自動利得制御光増幅器を開発し,その応答特性を40 チャネル入力信号のAdd/Drop 動作により評価した.光増幅器の高速応答により,過渡応答特性はAdd 動作において収束時間3 μs 以下,利得変動0.8 dB 以下,Drop動作においてはそれぞれ20 μs 以下,1.2 dB 以下に抑制されており,良好な応答特性を達成した.
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ミリメートル空間分解能光ファイバひずみセンサ

 ファイバブラッググレーティング(Fiber Bragg Grating,以下,FBG と記す)をセンサとした光周波数領域反射測定(Optical Frequency Domain Reflectometry, OFDR)方式によるひずみ計測技術の実証試験として,全長6 m の複合材料主翼供試体のひずみ計測をおこなった.センサ長500 mm の長尺FBG により0.6 mm の空間分解能で翼局所の連続的なひずみ変化を計測できた.また,42 連の多点FBG により翼長手方向の全体的なひずみを100 mm 間隔で計測できた.これらのひずみ計測結果は,いずれも妥当なものであり,本技術が実用レベルであることを実証した.

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細径1000心ケーブル

 FTTH 拡大から地下管路の逼迫が懸念されている.管路増設には多大なコストが発生するため,既設スペースへ効率的にケーブルを収容させる必要がある.今回当社では,この目的に適う細径1000 心ケーブル開発を行った.心線構造およびスロットパラメータを検討,さらに難燃ケーブルに対しては新規に開発した高強度樹脂を適用することで,大幅な小径化に成功した.開発ケーブルにより,地下管路内3000 心光収容が実現する.

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FPC における差動インピーダンス制御

 フレキシブルプリント基板( Flexible Printed Circuit, FPC )を高周波信号伝送に利用する場合,インピーダンスを整合する必要がある.また,高速信号を伝送する場合には,差動信号伝送方式が多く採用されている.そのためFPC でも差動信号線の設計が必要となっている.しかし,一般的にシングルエンド伝送方式に比べ,設計パラメータが多い差動信号線を設計することは困難である.  今回,当社ではこれに対応し,三次元電磁界シミュレータを導入している.本稿では差動信号線に対して,そのシミュレータを用いて設計したFPC の実測値がシミュレーションの結果とよく一致したので報告する.

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電子機器冷却用ピエゾファン

 近年,パソコンや携帯電子機器およびLED 搭載機器では,冷却モジュールの軽量化,静音化,低消費電力化,小型化などが求められている.従来のモータファンに代わり,それらの要求にこたえるため,圧電素子を用いたピエゾファンを開発した.有限要素法によりピエゾファンの最適な構造を設計するとともに,支持板を付加して耐久性の向上をはかった.また,パソコンや携帯電子機器およびLED 搭載機器など各種用途の熱源を想定し,ピエゾファンで放熱効果を評価して,熱性能面で適用可能であることが確認できた.

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携帯型電子機器用ダイレクトメタノール型燃料電池

 近年,携帯電話,小型ビデオ,ノートパソコンのような携帯型電子機器の高機能化にともなう消費電力の増大,使用の長時間化に対応して,そこで使用する電池の性能向上が要求されている.液体燃料であるメタノールを直接発電部に供給するダイレクトメタノール型燃料電池は,燃料電池としては,その燃料の取り扱い性の良さ,小型化が可能なこと,出力の大きさから携帯型電子機器に対して最適とされている.そこで当社では,小型で高出力なダイレクトメタノール型燃料電池を開発した.さらに,メタノールの漏出もない構造も併せてシステムとして完成させた.

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メンブレンコネクタ

 自動車部品の小型化,軽量化および低コスト化の要求にこたえるため,われわれはメンブレンを用いた自動車部品のモジュール化検討を進めている.メンブレンは製造工程が単純で低コストであるため,着座センサやスイッチ電極の材料として多く使用されるが,大きな開発課題としてコネクタの小型化・狭ピッチ化と両面接続の共存があった.  われわれは自動車用標準コネクタとピッチ互換,かつメンブレン両面への接続を実現した小型コネクタの開発を行った.以下にその概要を報告する.

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耐熱(UL90 ℃)薄肉発泡絶縁体

 機器間で用いられる伝送ケーブルは,近年,高周波で優れた伝送特性が求められている.また,細径化や耐熱性向上も求められている.優れた伝送特性を得るためには絶縁特性が優れた絶縁体が必要となり,高周波で低誘電率かつ低誘電正接である材料が使用され,さらに絶縁材料は発泡化して用いられる.一方で,細径化には発泡絶縁体の薄肉化が必要であるが,薄肉化することで発泡絶縁体がつぶれやすくなる問題がある.そこで誘電特性に優れる材料で,耐つぶれ性にも優れ,UL758 AWM での90 ℃の耐熱性が満足できる細径発泡絶縁体を開発した.

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大型IBAD 装置を用いたY 系高温超電導線材向け中間層の線速の大幅な向上

 Y 系超電導体は,液体窒素温度(77 K)で超電導を示し,磁場中でも優れた通電特性を示す物質である.Y 系超電導線材の作製には金属テープ上に面内に結晶が配向した中間層が必要となり,その有力な方法として1990 年代に当社で開発されたIon-Beam Assisted Deposition 法(IBAD 法)がある.従来,IBADの材料として蛍石型の構造を有するGd2Zr2O7(GZO)が用いられており,十分な面内配向を示すには膜厚が約1 μm 必要となり製造速度は5 m/h 程度であった.今回材料として膜厚が数nm にて同等の配向を示す岩塩型構造を有するMgO を用い大型IBAD 装置にて成膜を検討した.その結果,最終的に製造速度が500 m/h のIBAD 線材の作製に成功し,製造速度において従来の100 倍の高速化を達成した.

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全層ポリイミド多層配線板の信頼性

 電子機器の小型,薄型化,高性能化にともない,高密度で薄い配線板の開発が進められている.これら次世代の配線板の候補として,当社ではポリイミド多層配線板(All polyimide IVH Co-laminated:APIC)を開発した.本配線板は従来のガラスエポキシの配線板と比べ,薄く(6 層で300 μm以下),低誘電率,ハロゲンフリー,高難燃性,高耐マイグレーション性という特徴を有している.APIC は配線層間の接続方式に特徴がある.すなわち,配線層間のビアがレーザ加工にて開口されたビアホールに特殊な導電性ペーストを充填されることで形成される.本報告では,APIC の構造と信頼性の関係について述べる.-25 ℃ /125 ℃の温度サイクル試験において,ビアを含む回路抵抗値にわずかな変動がみられ,変動幅は基板積層構造(層数と厚み,厚さ方向のビアの配置等)に依存することを明らかにした.この結果についてシミュレーションにより検証を行い,基板内部に熱的に発生する応力とビア抵抗値変動に関係があることを確認した.

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