株式会社フジクラ

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R&D
フジクラ技報

No.114 2008年7月

 

論文記事

イッテルビウム添加ソリッドフォトニックバンドギャップファイバ

近年,眼科治療や天体観測等に用いられる黄橙色レーザの第二次高調波発生用途に,1160nm~1180nmで発振するワットクラスの高出力レーザが注目を集めている.当社では,同波長帯での高出力ファイバレーザの実現に向け,イッテルビウム(Ytterbium:Yb)添加ソリッドフォトニックバンドギャップファイバ(Solid Photonic BandGap Fiber:S-PBGF)を開発した.本ファイバは増幅された自然放出光(Amplified Spontaneous Emission:ASE)を,フォトニックバンドギャップの効果により抑制する効果を持つとともに,高出力ファイバレーザに適したダブルクラッド構造となっており,Yb添加ファイバによる同波長帯での高出力レーザ発振に適した構造である.

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光ファイバコード用現場組立光コネクタ

日本国内での急速なFTTH の普及にともない,この線路を構成する重要な部品の一つとして,メカニカルスプライスや現場組立光コネクタが広く普及しており,われわれは,これまでに様々な光ファイバ心線,光ケーブルに適用する開発や製品化を行ってきた.今回,このFTTH で培った技術を応用して光ファイバコードに適用させた現場組立光コネクタを開発し,接続損失をはじめとした光学特性評価,信頼性試験において良好な結果を得た.また,誰でも簡単に組立作業ができるような安価で簡易な組立補助治具の開発も行った.

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中間後分岐の容易な光ケーブル

近年,FTTHの急速な拡大にともない,アクセスネットワークを迅速かつ経済的に構築するため,施工性の良いケーブルに対する需要が高まっている.今回当社では,この要求に対応するため,優れた中間後分岐性を有する細径,軽量な新規ケーブルの開発を行った.本稿ではこのケーブル構造の特徴とそのコンセプトを示すとともに,ケーブル細径化を実現するための設計パラメータの最適化に関する検討結果について示す.また,本検討結果をもとに試作した40心ケーブルにおいて,優れた伝送特性と機械特性を有することを確認した.さらに中間後分岐性においてはSZスロットケーブルの約半分の時間で後分岐が可能となることを確認した.

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新型光ファイバ融着接続機の耐環境性向上

近年,光ファイバケーブル敷設工事は,先進国からBRICsや新興国に移りつつあり,インフラ整備の進んでいない劣悪な環境下における工事が増えている.その結果,劣悪な環境下で使用しても高性能を維持できる耐環境特性に優れた光ファイバ融着接続機が求められている.今回,これらの要望にこたえるべく新型光ファイバ融着接続機FSM-60シリーズを開発した.

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スライド型携帯電話向け極細同軸ケーブルアセンブリ

 近年,携帯電話に代表される電子機器の小型・軽量化,多機能化は急速に進展している.技術動向として,携帯電話の内部配線材をFlexible Printed Circuit(FPC)にかえて極細同軸ケーブルアッセンブリにする要求が増加している.これは,極細同軸ケーブルの持つ伝送特性や耐ノイズ特性が市場のニーズに適合してきたためである.そこで当社では,機械構造に対する制約から極細同軸ケーブルの使用が難しいとされてきたスライド構造に対しても,その使用を可能とする独自のケーブル構造と配線方法を開発したので紹介する.

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人体検知用高精度静電容量センサモジュール

当社では,人体の接近や接触を検知するための自動車用静電容量センサモジュールの開発を進めている.今回,その高精度化について検討を行い,2 fF以下のセンサモジュールの静電容量検知精度を実現し,既存の静電容量センサと比較してより遠い300 mmの位置にある人体を検出することが可能となった.また,車室内におけるセンサ電極構造を最適化することで,ノイズ耐性や指向性を改善した.さらに,センサモジュールを試作して車室内での感度を評価した結果,試作したモジュールはセンサ電極から300 mm以上離れた手を検知できることを確認した.

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WLP超小型絶対圧センサ

近年,携帯電話などの情報電子機器において小型化・軽量化が急速に進んだ結果,ICやMEMSセンサなどの電子デバイスの更なる小型化が要求されるようになった.特に,携帯機器での気圧計測を目的とする圧力センサの応用が注目されている.このような市場の要求を満たすために,ウエハレベルパッケージ(WLP)技術を用いた超小型絶対圧センサを開発した.このセンサチップは,シリコン基板の内部に真空のキャビティ構造を形成することにより超小型化を実現した.本稿では,開発したWLP超小型絶対圧センサの特長や特性について報告する.

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紫外線発光デバイスを目指した酸化亜鉛結晶成長

酸化亜鉛(ZnO)は3.37 eVのバンドギャップを持ち,紫外線発光デバイスを実現するための有望な材料である.また,励起子束縛エネルギーが60 meVと大きく,室温でも励起子発光を利用して高効率に発光させることが可能である.われわれは,ZnOを用いた高効率発光デバイスを実現するために,ZnOのホモエピタキシャル成長を行った.本稿では,極性面の異なるZnOホモエピタキシャル膜の特性を示し,Zn極性ZnOホモエピタキシャル膜の高温結晶成長に関して報告する.

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窒化アルミニウム単結晶

AlN単結晶は,高効率・高周波電子デバイスや深紫外発光素子として期待されているAlN系窒化物半導体の性能向上に資する基板材料として希求されている.当社では,AlN単結晶の育成方法として昇華法に着目し,結晶成長に対するパラメータの検討が容易で,条件選択の自由度が高い開放系のるつぼを用いて実験を行った.その結果,SiC基板上に転位密度が107 cm-2以下でミリオーダ厚さのAlN単結晶成長を実現することに成功した.

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高耐久性色素増感太陽電池

色素増感型太陽電池は,従来の太陽電池と比べて低コストで環境に優しいことで,次世代の太陽電池として期待されている.われわれはこれまで,集電配線によるセルの大型化や,漏洩をおこさないナノコンポジットイオンゲル電解液などの実用化を目指した開発を行ってきたが,これまでのセルは実際に屋外システム向け太陽電池として使用できるレベルには達していなかった.今回,配線保護層やパッケージの開発によって85 ℃,85 %RH,1000時間といった,JISに定められる耐久性評価項目をクリアできるレベルの高耐久化に成功した.

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技術トピックス

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