株式会社フジクラ

ESG

環境

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地球温暖化対策

方針・ガイドライン

 当社グループは「2050年ゼロチャレンジ」として工場のCO2排出総量の削減に取り組んでいます。グリーン電力の利用や、再生可能エネルギー発電設備の導入によるCO2排出の少ないエネルギーの利用と、省エネ投資の促進やZEB(ゼロ・エネルギー・ビルディング)などによるエネルギー使用量の削減による、二方向から目標の達成に向けて長期的に取り組んでいます。
 また、20中期目標として、弊社国内グループのCO2排出総量削減を設定して、政府の2030年度削減目標の遵守して国の施策に貢献していきます。また、当社海外グループについては、売上金額当たりのCO2排出量原単位の削減目標を新たに設定して、削減に努めています。

2016年度の活動

環境活動データの集計対象

 ECO-PASS管理を実施している連結対象会社59社(本体、国内連子20社、海外連子38社)のデータを集計しています。
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基準年度、原単位の考え方

 当社グループのCO2排出量は、年度毎のエネルギー別消費量に、エネルギー種類毎のCO2換算係数を乗じて算出しています。2016~2020年度環境活動管理指針では、この換算係数を削減目標で定める基準年に固定して各年のCO2排出量を算出することにより、削減成果が判りやすい方法を採用しました。国内では日本政府の温室効果ガス削減目標と同じ2013年度を基準年とし、海外は新たな削減目標設定に際し直近の2014年度を基準年に設定しました。また、海外におけるCO2排出量は、拠点が位置するさまざまな国や地域に関わらず、売上高原単位によるグループ統一のCO2排出量削減目標を設定しました。
 新たな目標の達成に向けて、当社グループ一体となって取り組んでいきます。

2016年度の活動結果

 当社におけるエネルギー起源のCO2排出量は2013年度比で▲3.7%削減致しました。これは、事務所やクリーンルームの空調設備の更新、工場ユーティリティ設備の省エネタイプへの更新や工場水銀灯のLED化などの省エネ投資を政府の補助金なども活用して積極的に進めていることと、工場設備の運用方法の改善などの従業員による地道な省エネ活動の成果です。反面、国内グループでは事業の再編により拠点が増え、国内全体で1.7%増加しました。
 一方、海外グループでは2014年度以降、CO2排出量がほぼ横ばいとなりましたが、当社グループ全体における売上高1億円当りのCO2排出量原単位は円安の影響もあり、前年度より若干増加したものの2012年度比で▲13.3%削減しています。
 CO2削減方策としての省エネ活動では、当社グループ国内各拠点の省エネ担当者による定例会議を各拠点の持ち回りで開催して、省エネ事例を実際に目で見て情報交換を活性化したり、担当者が省エネ測定器を持参して国内外拠点を巡回して実地測定による普及と診断を実施しています。
 このような取組の結果、資源エネルギー庁が公表した「工場・事業場における省エネ法定期報告(平成28年度提出分)に基づく事業者クラス分け」で、前年度に引き続き当社グループの4社が省エネ優良事業者(Sクラス)と評価頂きました。

国内外CO2排出量と売上高原単位の推移

輸送・移動に関する活動

 物流活動に伴うエネルギー原単位改善について、前年度比1%減(40.0KL/キロトン)を目標としていましたが実績値43.5 KL/キロトンとなり前年度よりも若干増加しました。2016年度は前年度比で電線出荷量が大幅に低下したため、適切な貨物割り振りが困難なケースが多く、積載率低下によって原単位が悪化しました。
 また、資源の効率的な利用促進を継続しており、梱包材・木製ドラムの再利用を進めている。また、積載率向上の為に2段積用治具(正式名称:電線ドラムパレット)を共同開発しました。

輸送・移動に関する活動

電線ドラムパレット

電線ドラムパレット

電線ドラムパレット

気候変動起因の財政上の影響

 2016年度においては、気候変動起因の財政上の影響は認められませんでした。しかしながら、過去にはタイ国での洪水を経験しており、昨今の国内でのゲリラ豪雨等による影響は想定しておく必要があります。

排出GHG総量と使用エネルギー

 2016年度の国内排出GHG総量は、すべて二酸化炭素で168,000トンでした。
 使用エネルギーは電力が84%で、燃料としての使用が16%でした。

サプライチェーン排出量の算定(スコープ1,2,3)

 2011年にGHGプロトコルによりScope3基準が策定されたことにより、これまでの自社範囲の事業活動に伴うCO2排出量だけでなく、サプライチェーンでのCO2排出量までの※情報開示が求められてきています。当社では、2016年度も継続してGHGプロトコルScope3全カテゴリーについて簡易算定を行いました。2012年度~2016年度のScope1,2,3の算定結果は下記となります。

  • GHGプロトコル(The Greenhouse Gas Protocol):WBCSD(World Business Council for Sustainable Development)とWRI(World Resources Institute)が主体となって策定した温室効果ガスの算定基準。

フジクラ のScope1,2,3算定結果

環境省と連携した活動

 当社グループは、地球環境にやさしい企業グループとして、政府・環境省の進める2030年に向けた温暖化防止の新国民運動「COOL CHOICE(クール・チョイス)」に参加・登録を行い、積極的な取り組みを進めています。
 私たち一人ひとりが地球の温暖化を防ぐために「COOL CHOICE(クール・チョイス)=賢い選択」を行うことで、小さな選択の積み重ねが温暖化を防止する大きな変化へ繋がると考えています。
 2016年度は、ポスターを掲示するなど、クールチョイスのキャンペーン活動を推進しました。

Cool Choice

2016年度ポスター

■LED照明導入推進

 当社グループではLED照明の導入を進めています。2016年度は佐倉、鈴鹿、沼津の各事業所で政府の補助金を利用して水銀灯からLED照明への切替を促進しました。今後も「水銀に関する水俣条約」締結に伴う2020年の規制にむけた水銀灯の計画的なLED照明への切替およびその他の天井照明を中心にLED化による省エネとCO2排出量の削減を進めます。

 当社グループでは、地球環境にやさしい企業グループとして夏季の省エネやクールビズ、また冬季のウォームビズに積極的な取り組みを進めています。私たちは、エネルギー全般の使い方を見直しながら、私たち一人ひとりが低炭素社会の構築に向けたビジネススタイルや家庭でのライフスタイルの変革を通して、オフィスや事業所、また家庭でもできる環境にもやさしい活動を推進することを目指し、キャンペーンを推進しています。2016年度もこれらの省エネに向けたキャンペーン活動を推進しました。

夏季のクールビズ、冬季のウォームビズ

2016年度ポスター

省エネの取り組み

フジクラ事業所の省エネの取り組み

 当社グループでは平成28年度の政府補助金を活用して、国内6拠点で工場天井照明のLED照明への更新、および変圧器や空調機の更新などの省エネ投資を促進しました。
 その他、老朽化した工場クリーンルームの大型チラー更新によるエネルギー効率と製造条件の向上や、設備用モーターのインバータ制御への切替えなども継続的に進めています。

代替フロン・HFC削減の取り組み

 平成27年に施行された改正フロン排出抑制法にのっとり、当該施設の簡易点検、定期点検を実施しています。また平成32年(2020年)HCFCの全廃を受けて、設備更新時にはGWP値の低い冷媒への変更を考慮しています。

磁気熱量効果を持つ線材の開発

 当社は、環境に優しい次世代冷凍機に適用可能な磁気冷凍技術に用いる磁気作業物質(MagnetoCaloric Material : 以下MCMと記載)を線材化することに成功しました。当社のコア技術である伸線技術により世界最小径を実現し、この細線状のMCM を用いることで従来使用されていた粒状のMCMを大きく上回る冷凍能力となることを実証しました。
 磁気冷凍機は、磁場の印加・除去に合わせてMCMが発熱・吸熱する現象である磁気熱量効果を利用しており(図1)、従来冷凍機と比較して、①地球温暖化係数 (Global Warming Potential : 略称GWP) がゼロの冷媒を使用できる、②圧倒的に効率が高い、という大きな特徴があります。これらの特徴は、環境問題に大きく貢献すると期待されています。
 従来、このMCMは製造性と充填の容易さから粒材が主流でしたが、冷媒が流れにくくなってしまうという問題がありました(図2)。これは冷凍サイクルの高周波化を困難にし、冷凍能力向上を阻害する大きな要因となっていました。そこで当社は、粒材よりも冷媒が流れやすいが製造が困難と言われていた磁気冷凍線材の開発に挑戦しました(図3)。開発した線材を使用することで、10Hz以上の高速で冷凍サイクルを動作させることができ、当社内の粒材の実験結果と比較したところ、冷凍能力が飛躍的に向上しました。この成果は2016年9月にトリノで開催された国際会議ThermagⅦにおいても注目されました。今後はこの技術を応用して、冷蔵庫、冷凍庫、エアコン等の実用化を目指します。

図1: 磁気熱量効果模式図

図2: 粒状MCMと線状MCMとの冷媒 の流れ方の違い

図3: 線状MCM画像

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