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CSR統合報告書

フジクラグループCSR統合報告書2014
特集2

第2回ステークホルダー・ダイアログ
「佐倉事業所、地域コミュニティの一員として期待される事業所経営に向けて」

1965年の開所から50年間、当事業所は、地域の皆様のご理解とあたたかいご支援の下、今日まで着実な発展を続けてまいりました。さらにこれからの50年、またその先の未来まで、地域の皆様と共により一層の発展を実現するために、地域コミュニティのステークホルダーを代表されている皆様に直接ご意見やご提言を頂き、グループ経営に役立てていきたいと考えています。

ダイアログの進め方

ご参加された皆様

【当社参加者】

肩書きは開催当時のものです。

佐倉事業所の概要

 

行政と一体となった街づくりへの参画について

●村上[ファシリテーター]

村上 智美

佐倉事業所内を見学させて頂き、現代社会を支える基幹の事業をお持ちのフジクラの高い技術力と研究開発力を拝見させて頂きました。また当事業所は、1965年の操業開始から約50年間、地域と支えあってこられたこと、2006年から研究部門を佐倉事業所へ集約されてきたことなどをうかがいました。今日お集まりの皆様は、当事業所といろいろな面で協力し支えあう重要なステークホルダーの方々だと思います。このダイアログでは、皆様からご意見やご提言を頂き、またフジクラにはそれらのご提言等にどう対応されるのかをご検討頂き、皆様にとって、地域コミュニティにとって有意義な時間とさせて頂きたいと思います。最初に、地域を代表され、地域を支える行政のお立場から蕨(わらび)佐倉市長にお話しを頂きたいと思います。

●蕨

蕨 和雄

佐倉市は、「歴史、自然、文化のまち」をテーマに、市民一人ひとりが心豊かに生き生きと暮らせる活力に満ちた「まち」作りを目指しています。また、佐倉市の「まちづくりの基本方針」6つのテーマの内、地元企業と連携して取り組みを進めたいテーマが3つあります。一つ目は、「快適で安全・安心なまちづくり」です。来るべき巨大地震に備えて、行政、市民そして地元企業が一体となった防災・減災の体制を作りたいと考えています。二つ目は「心豊かな人づくり、まちづくり」です。佐倉市、そして日本と世界の未来をも担う青少年が世界へ視野を広げ、科学技術に興味を懐くように、フジクラの国際的な事業、また世界最先端で行われているダイナミックな科学技術について、さまざまな機会を通して情報発信をお願いします。三つ目の「明日へつながるまちづくり」では、市民の生き生きとした活動を維持し活性化するため、地域産業振興を重視しています。地元企業には、新たな事業や新製品による産業の創造・育成、それによる市民の就業や雇用の拡大をお願いしたいと思います。

この事業所で次々と開発されている高機能な光ファイバや超電導線材、太陽光発電やメタノール蓄電池等の新しい技術は、若者達に将来の夢や希望を与えるとても良い材料であり、わが国の今後の経済発展にも有効ではないかと期待をしております。一方で、佐倉市では防災の最悪なケースを想定していますが、災害時の夜間の電気をどうするかが一つの課題となっています。太陽光発電は、夜間は使えません。その解決策として本日お話のあった蓄電池を用いることができればと考えておりました。また、志津公民館の複合ビル化では太陽光発電や地熱による空調を考えています。先ほど地熱用のヒートパイプを見せて頂き、複合ビルにも利用できるのではないかと考え、とても参考になりました。最後に、フジクラには長く佐倉市工業団地の会長としてさまざまなご支援を頂きました。心より感謝致しております。フジクラには今後とも様々な面でご尽力を頂きますようお願い致します。

●加藤

当社の新技術や地域コミュニティ活動へのご評価を頂きありがとうございます。皆様のご期待にお応えできるよう、今後も積極的な取り組みを進めて参りたいと思います。

 

地域住人に求められる情報発信について

●村上

本日、工場を見学させて頂きましたがすぐそばにマンションや住宅地がありました。当事業所と隣接している地域の代表として原田自治会長にお話しをうかがいたいと思います。

●原田

原田 清子

私たちの団地からは緑地帯に囲まれたフジクラとしか感じることができなかったのですが、本日、工場を見学していて、まるでびっくり箱をあけたときのような夢のあるものばかりを拝見し、とても感動しました。自治会からフジクラへのお願いの一つに緑地帯近くの住宅の日陰の軽減があります。これまで、貴社には道まで作って伐採をして頂きました。「もう少し伐採してほしい」とのお願いには、「緑地法で決められていて、これ以上は出来ないので我慢をして下さい。」ということでした。自治会会員からの無理と思われるような要請に対してもフジクラは丁寧に対応して下さり、本当に感謝をしております。また、事業所の斜面が大雨で壊れる危険にも対策工事を始めて頂き大変ありがたいことだと思っています。お祭りの時のご協力やフジクラの花火大会も子供たちを含めて地域の皆さんがとても楽しみにしています。

今日、ここでお願いをしたいことは、災害時に備えた情報共有です。工場には薬品もかなりあるでしょうし、水素や液体水素であっても、何か大きな衝撃があったときには、それなりの被害があると思います。これはフジクラだけではないのですが、そうした危険については、わかりやすく、事前に私たち地域住民に教えてほしいのです。今日の見学の中ではフジクラが使っていた物質に、私の知っている限り、驚くようなものはありませんでしたが、私たち住民は災害に対する減災のためにも事前に知っておく必要があると考えております。

●矢口

お話は工業団地全体に関わる問題でもありますので、本日はお話を承りご検討をさせて頂きたいと思います。

 

教育資源としての交流や施設開放について

●村上

当事業所には年間2千人程の見学者が訪れていて、その内には学校関係の見学も大変多いとうかがいました。また、市長のお話にもございました次世代の育成といったことも含めて、教育関係の代表として佐倉南高等学校の中村校長にお話しをうかがいたいと思います。

●中村

中村 次克

本校は、1983年に開校し今年で31年目になります。卒業生は9千5百名、その中でフジクラに32名の卒業生が採用されました。今年も1名が内定を頂いており感謝を申し上げます。また、フジクラはスポーツ施設の開放にも取り組んでおられ、1992年から本校弓道部もこちらの弓道場をお借りしています。おかげをもちまして6月に開催された千葉県の高校総体の弓道大会では上位に、また、佐倉市の市民大会では弓道で個人総合優勝をすることが出来ました。これも御社のご協力によるものと感謝申し上げます。

私たちの高校はここから近いところにあるのですが、私はこの辺りはよく知りませんでした。本日は佐倉事業所内をバスで回り、その広さと光ファイバや光ファイバ融着接続機などの世界トップレベルの技術をお持ちのこと、ここが超電導などで世界最先端の研究をされている世界的な事業拠点であることを知り感激しました。このような事業所が近くにありますので、本校の子供たちが視野を広げ、学習への意欲を高めるためにも機会がございましたら出前授業等をお願いできれば大変ありがたく思います。

●矢口

貴校弓道部のご活躍には私たちも大変喜んでおります。施設の開放等で今後もご支援を続けたいと思います。また、地域コミュニティに向けた情報発信はCSR活動として重要なテーマと捉えており、社内関係部門と図りながら進めてまいりたいと思います。

 

地元企業と連携した安全・安心の取り組みについて

●村上

佐倉事業所は佐倉の工業団地にあって長らく会長や事務局を務めてこられ、地元企業の発展や地域課題への取り組みに相当お力を注いでこられたとうかがっています。今回のダイアログではフジクラと同じような立場である湘南積水工業の宇田川様、TOTOバスクリエイトの遠藤様にお話しをうかがいたいと思います。

宇田川

宇田川 重夫

フジクラとは佐倉第一工業団地の会員企業として一緒に活動をさせていただいております。連絡協議会には、61社のご参加を頂いており、それぞれ取り扱う製品も業種も多種多様ですが、同じ地域に立地する企業として、環境面や社会面で直面する課題に協力しながら取り組みを進めてきました。特に、フジクラには当工業団地連絡協議会の会長と事務局を長年務めて頂き、工業団地内の清掃ボランティアなどさまざまな活動をリードして頂いておりとても助かっております。ご苦労も多いと思いますが今後も協議会の活動のさらなる活性化に向けて引き続き推進役をお願いしたいと思います。

●遠藤

遠藤 寿

佐倉第三工業団地連絡協議会の会長を務めております。佐倉第三工業団地には70数社の企業があって、そのうち40数社が連絡協議会に参加されています。3年ほど前から協議会としての活動を行なっておりますが、私たちは、こちらの佐倉第一工業団地を手本として活動を推進しています。先程から防災というキーワードが何度か出ておりますが、先日、佐倉工業団地の連絡協議会で来るべき巨大地震に備えて防災・減災に向けた佐倉市の取り組み状況を協議会のメンバーと一緒に体験させて頂きました。巨大地震などで各企業が個別に対応するのは大変ですが、工業団地内の全企業が一つになり連携して助け合うことが出来れば非常に心強く思います。今後も協議会としてこのような活動を定期的に続けていくとともに、佐倉市長をはじめ、行政の力もお借りして地域全体として大きな災害に備えていけたらと考えております。また、これからも工業団地同士の連携を取り、佐倉市の産業の発展につなげていきたいと思います。

●矢口

大きな災害に備えた協議会の取り組みは、佐倉市や地域の皆様との連携が重要だと考えています。地域コミュニティの発展に向け、今後も皆様と力を合わせて参りたいと思います。

●村上

本日のお話から佐倉事業所と地域に関わる方々との連携や協力でより良い地域づくりに結びつく様々な可能性が見出せたと思います。フジクラのステークホルダー・ダイアログは今回で2回目ということで、様々なステークホルダーからご意見ご提言を頂いており、こうしたフジクラの企業姿勢は素晴らしいと感じております。貴社が企業としての役割や責任を果たしていく上では頂いたご意見を踏まえ、フジクラとしての対応方針を定め行動していくことが重要です。これをきっかけにして佐倉事業所周辺のコミュニティと、さらに良い関係を築いて頂ければと思っております。フジクラ並びに佐倉事業所の中長期でのご発展を皆様とお祈り申し上げます。

 

ダイアログを終えて

本日は、長時間にわたり、当佐倉事業所のこれからの事業所経営のあり方について、ご出席の皆様それぞれのお立場からご意見ご提言を頂きありがとうございました。とても有意義なダイアログでございました。私どもフジクラグループにとって佐倉事業所は、もの作りの拠点として、また最先端の研究開発の拠点として、その重要度は極めて高いと考えております。その重要な佐倉事業所の今後のあり方を考えることは事業所経営に留まらずグループ経営にとっても大変重要であります。本日思いがけずご評価いただいた点につきましては、より一層の努力を継続したいと思います。また、皆様から頂きましたご意見ご提言につきましては、私たちの取り組み体制の見直しを必要とするような課題もございますが、一つひとつを真摯に受け止め、積極的に対応して参りたいと考えております。

加藤 隆昌

取締役専務執行役員
加藤 隆昌


佐倉事業所 次の50年に向けて

事業所の概要

矢口 尚之助
佐倉事業所長
矢口 尚之助

佐倉事業所は、1965年1月、世界最先端設備を備えた情報通信ケーブル専用工場として緑豊かな佐倉市(千葉県)の高台で操業を開始しました。メタル通信ケーブルでは、世界に先駆けてSZ撚り製造装置を開発し、また、現在の高度情報化社会の実現を可能とした光ファイバでは、1976年に日本電信電話公社と世界初となる長波長極低損失光ファイバを共同開発しました。さらに1979年に低損失光ファイバで0.27dB/kmの世界最高記録を達成し光ファイバの実用化を一気に加速させました。そして、この光ファイバを使った通信ネットワークを構築する上で無くてはならない光ファイバ融着接続機では、1985年に世界初となるコア直視型光ファイバ融着接続機を開発しその実用化を早めるなど、佐倉事業所は開所以来、未来へつながる最先端技術と製品で常に世界をリードしてきました。また、当事業所は1994年に無災害最長記録の達成、1996年にはISO9001(品質マネジメントシステム)、1998年にはISO14001(環境マネジメントシステム)の認証取得など、技術面はもとより安全面・品質面・環境面でも世界有数の事業所として、多くの優れた製品を世界へお届けすることで、わが国はもとより世界中の国と地域の発展に貢献し今日に至っています。佐倉事業所は、来年2015年に操業50周年を迎えます。

操業開始時の写真

操業開始時の写真

現在の写真

現在の写真

環境への取り組み

佐倉事業所は、1965年の開所以来、地域環境の維持を積極的に努めてきました。1998年には業界に先駆けてISO14001の認証を取得しました。また、「きれいな地球を未来に」をスローガンに、事業所内の地球温暖化防止、廃棄物削減、電線被覆材のノンハロゲン化、電子部品用はんだの非鉛化、化学物質管理、グリーン調達の推進等を進めてきました。長年に亘るこれらの環境活動に対し、2014年2月、千葉県より「循環型社会形成推進功労者」として当事業所の2名が表彰されました。

地球温暖化防止の取り組み

夏季の空調エネルギーの使用を削減するために「工場建屋屋根の遮熱塗装」や「グリーンカーテン」の実施。また、空調の温度設定管理、無駄な照明の消灯、省エネ機器の導入での「省エネルギー」の推進、環境省と連携してクールビズやウォームビズにも取り組んでいます。

廃棄物ゼロエミッション

廃プラスチック類の埋立ゴミを減らすために廃棄物を分別回収し、リサイクルすることで「最終埋立てゴミ比率」を削減し、ゼロエミッションを実現しています。

地球環境保護

千葉県・佐倉市と緑化協定を締結し、緑地率の基準を順守すると共に、事業所内の緑地の定期的剪定・草刈・芝刈りなどで「緑地の整備」を行なっています。また、大雨などに備えて事業所周辺斜面の崩落を防止する取り組みも進めています。

生物多様性確保の取り組み

佐倉事業所は、「フジクラグループ地球環境憲章」及び「フジクラグループ生物多様性確保ガイドライン」に基づき、生きものたちへの配慮の活動をスタートしています。

地域とのかかわり

佐倉事業所は、地域コミュニティの一員として地域のさまざまな活動への参画を通して、地域コミュニティの発展を支援すると共に地域社会との調和を図っています。その主な活動は以下の通りです。

地域文化支援

「佐倉市産業まつり」に参加し、光ファイバ、ヒートパイプ、超電導などの製品展示と技術説明等を行なっています。

佐倉市産業まつり

佐倉市産業祭りへの参加

佐倉市産業まつり

佐倉市産業まつり

地域貢献・活性化のための活動

地元工場団地「佐倉工業団地連絡協議会」の会長・事務局を担当し、 周辺の清掃活動や行政(市役所、商工会議所)と会員との意見交換会等を推進しています。

佐倉工業団地連絡協議会による周辺の清掃活動に参加

佐倉工業団地連絡協議会による周辺の清掃活動に参加

スポーツ支援

体育館、グラウンド、プール、弓道場等の「会社施設」を地域の皆様に開放しています。

青少年教育支援

佐倉市教育委員会主催の「楽しいこども科学教室」に参加し、光ファイバ、ヒートパイプなどの展示と子供たちの実験体験等を行なっています。また、「事業所見学」を受入れて、年間の見学者は約300団体、また学校関係の見学も約50校です。

「楽しいこども科学教室」に参加

「楽しいこども科学教室」に参加

ご提言の要約

[行政からのご提言]

  • 行政、市民、地元企業が一体となった防災・減災体制作りへの協力をお願いする。
  • 未来を担う子供達のためにグローバル事業や世界最先端開発についての情報発信をお願いする。
  • 新たな事業・新製品による産業の創造・育成で市民の就業・雇用の拡大をお願いする。

[地元自治会からのご提言]

  • 大きな災害に備えて被害が想定されるものについて地域住民にもわかりやすく教えてほしい。

[地元の学校からのご提言]

  • 子供達が視野を広げ、学習への意欲を高めるための情報発信をお願いする。
  • 弓道場などの事業所施設の開放を今後も継続してほしい。

[同じ工業団地企業のご提言]

  • 引き続き工業団地の連絡協議会の推進役をお願いする。
  • 自然災害に対し工業団地全企業が一つになって、行政の力を借りながら地域全体で備える体制作りに力を合わせていきたい。