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CSR

CSR報告書

フジクラグループCSR報告書2013
〔ISO26000 中核主題〕 組織統治

会社概要

会社概要

商号 株式会社フジクラ
創業 1885(明治18)年
設立 1910(明治43)年
資本金 530億円(2013年3月31日現在)
売上高 連結4,911億円(2012年度)
取締役社長 長浜洋一
本社 〒135-8512 東京都江東区木場1-5-1
事業所 佐倉、鈴鹿、沼津、石岡
研究所 東京、佐倉、鈴鹿
支店/営業所 大阪、名古屋、福岡、広島、仙台/沼津
海外事業所 アメリカ、イギリス、シンガポール、マレーシア、タイ、中国、ベトナム、インド、ロシア他
従業員 連結52,409名(2013年3月31日現在)
事業内容 光ファイバケーブル、光伝送システム、通信システム、電子材料、自動車電装品、
電力システム、被覆線、マグネットワイヤ、金属材料、不動産事業

グローバルなフジクラグループ

[事業セグメント別の社員数]

[単位:1000人]

情報通信 8
ケーブル・機器 3
電子電装 40
巻線、その他 2
合計 52

[地域別の社員数]

[単位:1000人]

日本 6
アジア(日本を除く) 32
南北アメリカ 11
欧州 3
合計 52

海外売上高比率と人員構成

年度 2010 2011 2012
海外売上高比率 41% 44% 46%
社員構成 国内 2,575人 2,607人 2,585人
海外
(比率)
50,714人
(95%)
42,246人
(94%)
49,824人
(95%)
53,289人 44,853人 52,409人

事業紹介

「社会」と「産業」と「私たち」とのつながり

2012年度業績

タイ王国の洪水の影響を大きく受け、営業利益減少

2012年度のわが国経済は、東日本大震災の復興需要及び昨年末の新政権発足にともなう景気回復政策への期待にもとづく円安の進行等を背景として持ち直しの兆しが見られたものの、欧州債務問題の継続及び中国向け需要の減速などの影響により、総じて先行きの見えない状況で推移しました。

このような状況のもと、2012年度の当社グループの業績は、自動車電装関連が好調となりましたが、成熟した国内通信インフラ市場の価格競争の激化や急激な円高の進行が収益に大きなマイナス要因となりました。また、電子部門では2011年10月にタイ王国で発生した洪水のダメージがFPC(フレキシブルプリント配線板)事業を中心に依然として大きく、全体として極めて厳しい状況となりました。

これらにより当社グループ全体の売上高は、前年度に比べ3.5%減少し4,911億円、営業利益は同51.4%減少の64億円となりました。経常利益は同86.0%減少の12億円となりました。これに、特別損失としてタイ災害損失93億円や早期退職優遇制度実施による事業構造改善費用28億円など合計165億円と、特別利益として受取保険金など211億円を計上し、 当期純利益は30億円(前年度比92億円改善)となりました。

売上高の推移(連結)

営業利益の推移(連結)

当期純利益の推移(連結)

総資産額の推移(連結)

従業員数の推移(連結)

セグメント別売上高(連結)

設備投資

当社グループ(当社及び連結子会社)では「成長分野への経営資源の集中」、「もの作り体質の強化」の基本戦略のもと、545億円の設備投資(有形及び無形固定資産受入ベース数値)を実施しました。

2012年度設備投資額
エネルギー・情報通信カンパニー 120億円 中国での光ファイバ増産のための光ファイバ製造設備の増強
エレクトロニクスカンパニー 287億円 洪水被害からの復旧のための投資
自動車電装カンパニー 58億円 メタルケーブル関連製造設備の整備等
その他 80億円 深川地区再開発事業関連等への投資
合計 545億円

研究開発

研究開発

クラウド・コミュニケーション技術が築くエコ社会

情報化社会を支える基盤技術として、光ファイバによる情報伝送は広く普及しています。当社は光ファイバや光部品を中心に、大容量ネットワークインフラを構築するための製品群を長年に渡って提供し続けてきました。クラウド・コンピューティングでは、大容量と低消費電力を両立するエコソリューションとして、光ファイバ情報伝送への期待がより高まっています。私たちはクラウド・コミュニケーション製品を幅広く提案していきます。

大西 洋也

クラウドコミュニケーションズ事業推進室 室長 大西 洋也

クラウド・コンピューティングと光通信

現在ではあらゆる情報がクラウド・コンピューティングで処理されています。「雲」に例えられるクラウド・コンピューティングでは、通信を駆使して情報をデータセンターに集め、データセンターのサーバで集中的に処理します。クラウド・コンピューティングは利便性と資源の有効活用を両立する技術です。
私たちがクラウドを経由してやり取りする情報量は飛躍的に増加しています。私たちとデータセンターを結ぶ通信の基幹伝送網の通信量は物理回線あたり数百ギガbit/sに達しています。データセンター内の通信も回線あたり数十ギガbit/sが必要とされています。このような大容量の通信をエネルギー効率良く実現するのが光通信です。当社のクラウドコミュニケーション製品は、大容量の通信を、スマートな配線で、低消費電力で実現する「つなぐテクノロジー」です。

データセンタを構成するサーバやストレージシステム間をつなぐ56Gbit/s QSFP AOCは、1チャンネル当たり14Gbit/sで動作する 4チャンネルアレイ型VCSEL素子を採用することで、高速双方向データ伝送を低消費電力で実現します。さらに光ファイバの採用によって従来のメタルケーブルと比較し、ケーブル重量と容積の大幅な削減を達成しています。

56Gb/s QSFP AOC

56Gb/s QSFP AOC

基幹伝送網は従来の10Gbit/sのWDM(波長分割多重化)伝送から更なる大容量化が求められています。従来の10倍の伝送容量を実現する100Gbit/s トランスポンダは、光を位相変調し、位相と偏波で32Gbit/sを4多重して伝送します。受信側ではデジタルコヒーレント技術を用いて復調し、長距離伝送を実現します。100Gbit/s トランスポンダは今後の基幹伝送網に広く実用化されていく事が期待されています。従来の基幹伝送網を活用しつつ伝送容量を10倍にできるので、1ビットあたりのインフラコストを大幅に削減することが可能です。

100Gbit/s トランスポンダ

100Gbit/s トランスポンダ

研究開発製品紹介

【クラウド・コミュニケーション技術が築くエコ社会】

■スーパーコンピュータを支える冷却技術 クーリングユニット(2013年2月発信)

当社はクラウドコンピューティングに対応したスーパーコンピュータの冷却装置として、コールドプレート式クーリングユニットを開発しました。これはマイクロチャンネル伝熱面を有する水冷ユニットで、通常の空冷式ヒートシンクに比べて、1/5の容積でありながら、約3倍の冷却性能を実現しています。大規模スーパーコンピュータ「京」には、全部で25,920ユニットが使用されており、合計で10メガワット以上の発熱を冷却しています。当社は「京」向けクーリングユニットの開発・量産製造で培った技術を、スーパーコンピュータ汎用機、ハイエンドサーバ、電力変換機器・医療機器に搭載されているIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)やファイバレーザ溶接装置の冷却などに適用を拡大することで、電子部品の冷却問題を解決するとともに、環境負荷の低減にも貢献します。

クーリングユニット

クーリングユニット

スーパーコンピューター「京」ラック

スーパーコンピューター「京」ラック

【光通信を支える技術】

■マルチコアファイバによる伝送容量世界記録達成(2013年3月発信)

マルチコアファイバ
本実験に用いられた
環状配置マルチコアファイバ

当社とNTT、国立大学法人北海道大学、デンマーク工科大学は、ファイバ一本当たりの伝送容量として1Pb/s(毎秒1ペタビット)を超える伝送に世界で初めて成功しました。本成果は、2012年9月に開催されたECOC*1においてポストデッドライン論文*2として発表されました。光通信システムの伝送容量は各種伝送技術の開発により拡大を続けてきましたが、既存のシングルモード光ファイバ1本当たりの伝送容量は100Tb/s(0.1Pb/s)あたりが限界であるといわれています。今回の長さ50kmのマルチコアファイバ(写真)で毎秒1ペタビットの伝送という結果は、10kmのファイバで毎秒0.3ペタビット伝送という従来の記録を、容量の面でも距離の面でも大幅に更新するものです。なお、本成果の一部は、独立行政法人情報通信研究機構の高度通信・放送研究開発委託研究/革新的光ファイバ技術の研究開発ならびに革新的光通信インフラの研究開発の一環としてなされたものです。
*1. ECOC:European Conference and Exhibition on Optical Communication 毎年9月に欧州で開催される光通信で最も権威ある学会の一つ。
*2. ポストデッドライン論文:会議直前に受け付けられる論文で、会議直前の最先端の成果が競われる。採択率は非常に低く、高い評価を得た論文のみが採択される。

■欧州合同原子核研究機関(CERN)向け耐放射線光ファイバ(2012年10月発信)

当社は、欧州合同原子核研究機関(CERN)から耐放射線光ファイバを受注し納入を開始しました。CERNは、2012年7月4日、「ヒッグス粒子と考えて矛盾のない粒子を観測した。」と発表し、このニュースは世界中の新聞、テレビなどで報道されました。そのCERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC:Large Hadron Collider)の放射線レベルの高い環境下でのデータ伝送には、放射線による劣化に耐える通信ネットワークが必要です。当社の耐放射線光ファイバは2006年に、数社が提供した光ファイバに対して行なわれたCERNによる試験で、耐放射線特性が最も優れているということで採用され2500kmを納入しました。従来の耐放射線光ファイバに比べて、この特性改善した耐放射線光ファイバは、高線量下でも放射線による損失増は低く抑えられています。今回、CERNの設備メンテナンスのために、再度、各社の光ファイバの評価が行われた結果、引き続き当社が今後の耐放射線光ファイバの調達先として選定されました。この耐放射線光ファイバは、100 kGy(線量率2.6Gy/s)という放射線環境下において、1310nmと1550nmの通信使用波長で7dB/km以下という厳しい要求特性に応えつつ、国際的な通信用シングルモード光ファイバの特性に準拠しています。今後とも耐放射線ファイバを始めとした、過酷な使用環境に耐える特殊ファイバの開発によりさまざまな研究に貢献していきます。

耐放射線光ファイバ

耐放射線光ファイバ

CERN内にある世界最高エネルギー陽子・陽子コライダーLHC

CERN内にある世界最高エネルギー陽子・陽子コライダーLHC
(写真提供:CERN)

【新しいエネルギー社会を支える技術】

■世界最大級イットリウム系5T高温超電導マグネットを開発(2013年1月発信) 

開発したY系高温超電導マグネット
開発したY系高温超電導マグネット

当社は、直径20cmの室温ボア(マグネット中心の室温空間)を有し、この中心に5T(テスラ)(50,000ガウス)という高い磁場を発生させ、426kJ(キロジュール)の蓄積エネルギーを持つ世界最大級のイットリウム(Y)系高温超電導マグネットの開発に成功しました。電気抵抗ゼロを実現できる超電導線を用いた超電導マグネットは少ない電力で大空間に強い磁場を発生させることが可能で、医療用MRI(Magnetic Resonance Imaging)などに応用されています。しかし、従来使われてきた金属系超電導線材はゼロ抵抗を実現する温度が高価な液体ヘリウム(沸点:4.2K(ケルビン)(-269℃))近傍の極低温に限られていたため適用が限られてきました。一方、Y系超電導線材は安価な液体窒素(沸点:77K(-196℃))中でもゼロ抵抗を実現でき、機械特性に優れ、磁場中においても流せる電流が非常に大きく、第2世代の高温超電導線材としてさまざまな機器への応用が期待されています。Y系高温超電導線材はこれまで大型マグネットに必要な長尺で均一な特性の線材量産技術や大型のコイル化技術が確立されていませんでした。今回開発した高温超電導マグネットは、Y系超電導線材の製造技術確立により世界最高性能を持つ450A超(液体窒素温度で流せる電流値)の総長約7.2Kmの線材を使用し、従来から取り組んできた独自のコイル化技術により実現しました。また、開発した高温超電導マグネットは極低温冷凍機を用いた簡易な冷却システムで構成され、約25K(-248℃)の高温運転が可能です。当社は、今後も、さらなる高性能線材の開発を推進し、より小型で高温運転可能(省エネルギー)な高温超電導マグネット開発を促進し、モータ、分析・評価装置など各種機器への適用、さらには電力ケーブルなど低炭素社会に貢献するインフラ分野への適用も積極的に展開していきます。

■エネルギーハーベスティング用色素増感太陽電池(2012年12月)

近年、周囲のエネルギーを電気エネルギーにして利用することで、配線や電池交換なしで動作する、エネルギーハーベスティング(環境発電)デバイスが注目されています。 当社では、蛍光灯やLED照明といった屋内光での使用を想定した高効率のエネルギーハーベスティング用色素増感太陽電池モジュール と、その応用製品としてワイヤレスセンサーノードを開発しました。色素増感太陽電池モジュールは、有害な材料を使わないことから、環境に優しい次世代型の太陽電池として 期待されています。当社では独自の材料技術により、蛍光灯などの屋内光、照度1000 luxのもとで、20%以上という高い変換効率を達成しました。開発した色素増感太陽電池モジュールは一般的な屋内環境で高い出力が得られるばかりでなく、倉庫のような非常に暗い照明環境でも高効率で発電することができるため、 これまで以上に広い領域で利用可能になると期待されます。また、応用製品として開発したワイヤレスセンサーノードは、電池交換不要で配線レスといった特長から、スマートハウスや植物工場など、さまざまなフィールドでの活用が期待されています。

太陽電池

太陽電池

太陽電池

研究所

光電子技術研究所(千葉/佐倉)

光電子技術研究所
(千葉/佐倉)

環境・エネルギー研究所(千葉/佐倉)

環境・エネルギー研究所
(千葉/佐倉)

光ケーブルシステム開発センター(千葉/佐倉)

光ケーブルシステム開発センター
(千葉/佐倉)

エレクトロニクス・自動車電装開発センター(千葉/佐倉)

エレクトロニクス・自動車電装開発センター
(千葉/佐倉)

ケーブル・機器開発センター(三重/鈴鹿)

ケーブル・機器開発センター
(三重/鈴鹿)