社長メッセージ

順風の中でも変革に挑み
攻めの選択と集中で
さらなる成長への段階に
踏み出します

取締役社長CEO岡田直樹の写真

代表取締役社長CEO
岡田 直樹

フジクラグループは2026年度からはじまる3か年の中期経営計画を策定しました。私たちはこの計画がはじまる2026年度をフジクラの「第4の創業」の起点と位置付けています。

フジクラは1885年の創業以来、第1の創業、第2の創業、第3の創業と発展を重ねてきました。しかし、2019年度に385億円の純損失を計上し、経営危機ともいえる状況に陥りました。その後、経営改革・事業構造改革に着手してV字回復を実現し、2025年度には創業来初めて連結売上高が1兆円を超えました。

次なる成長ステージに向けて、フジクラグループは新たな経営理念を策定し、核心的事業領域を主軸にした事業展開と新たな事業領域の開拓を進めていきます。

AIの進化や地政学的変化など、企業を取り巻く環境はかつてないスピードで変化しています。さらなる成長を実現するためには、こうした変化を先取りし、これまで以上のスピードで変革を続けることが不可欠であると考えています。そのため、2026年度を「第4の創業」の起点と位置付けました。

危機を乗り越えた変革の原動力

2019年度の経営危機以降、フジクラグループは「100日プラン」を起点とする経営改革・事業構造改革を進めてきました。その過程では、改めてフジクラのDNAである「進取の精神」「技術のフジクラ」に立ち返り、高度な技術でお客様や社会の要望にお応えすることが結果としてビジネスにつながること、そしてそのために必要なのは、まず私たち自身が変わらなければならないことを一貫して発信してきました。

社員とのコミュニケーションを通じて感じているのは、問題や困難に直面したとき、それを自分事としてとらえ、自ら解決しようとするマインドが組織全体に広がってきたことです。こうした変化こそが、私たちが危機的状況を乗り越え、改革を成し遂げる原動力となったと考えています。

変革を止めず、第4の創業へ踏み出す

その結果、25中計では、3年間で達成を目指していた目標の多くを2年目で達成し、最終年度となる2025年度には、連結売上高が1兆円の大台を超えるなど、中期経営計画の目標を大幅に上回る成果を収めることができました。

しかし、組織には変わり続けないと元に戻ってしまうリスクがあります。私は、事業環境のいい今こそ、勝負をかけないと将来に向けて大きなチャンスを失うどころか、今のポジションをキープすることさえ危ういと考えています。難しいからといって変革をしないのでは、生き残れない。今、私たちが生きているのはそういう時代なのではないでしょうか。

デジタル社会とカーボンニュートラルを実現する

2028中期経営計画(以下、28中計)の策定とともに、 フジクラグループの経営理念MVCVとマテリアリティも改定しました。

新たな経営理念では『"つなぐ"テクノロジー™を通じ、顧客の価値創造と社会に貢献する』というミッションのもと、「グローバルなものづくり力でデジタル社会とカーボンニュートラルを実現する』というビジョンを掲げ、社員が大切にする価値観(コアバリュー)としてInnovation・Motivation・Communicationを定めています。
経営理念の改定で強く意識したのは、フジクラグループがどこの領域でビジネスを展開するのかをより明確にする必要があるということでした。そこで28中計では、デジタル社会の発展に向け、フジクラグループが貢献できる領域として、情報インフラ、情報ストレージ、情報端末を核心的事業領域と定義しました。

そのドライバとなるのは生成AIであり、その基盤となるデータセンタです。データセンタの拡大に伴い、光通信インフラをはじめとするネットワークの増強に加え、電力需要の 増加を支える送配電インフラの整備も進むと考えています。 また、CASEやフィジカルAIロボットの普及も、高度な情報通信技術への需要をさらに押し上げるでしょう。

こうした需要拡大の流れは今後も続き、フジクラグループの情報通信、エレクトロニクス、エネルギー事業にとって大きな追い風になると見ています。これは守りではなく、将来の成長を見据えた攻めの選択と集中なのです。

それと並行して、将来の新たな事業領域としてフュージョンエネルギー(核融合発電)、半導体・新素材加工といった新たな事業領域も積極的に開拓していきます。私はフュージョンエネルギーに大きな可能性を感じています。世界を変える技術が創出されると、その需要や市場が一気に拡大することがあります。実際、私たちはそれを体験しています。光ファイバがまさにそうでした。

フュージョンエネルギーにも同様、あるいはそれ以上の成長可能性があり、フジクラの事業の次の柱になるような大きなビジネスにつながるポテンシャルは確実にあると私は考えています。

技術優位を活かし、次の成長市場を拓く

また、高温超電導線材は、フュージョンエネルギー分野にとどまらず、モビリティや医療分野など幅広い用途が期待されています。フジクラは高い技術力と競争力を有しており、今後もそれらにさらに磨きをかけることでこの市場での圧倒的な優位性を高めていきたいと考えています。

新たな経営理念として、「デジタル社会」に並列して「カーボンニュートラル」を実現するというビジョンを加えたのは、高度デジタル社会とカーボンニュートラルのバランスが取れていない現状があるためです。

データセンタの拡大は我々の成長のトリガーにもなっていますが、大量の電力を消費しており、その多くを化石燃料に依存しているという現実があります。そのバランスをきちんと取る必要があり、そこにまたフジクラのビジネスチャンスもあると私たちは考えています。既存事業も新規事業も、事業性(収益性)と環境対応(環境負荷)を常に両輪として捉え、そのバランスを取りながら、両立を図る。これは、私たちが7年前の経営危機から学んだ教訓でもあります。

「フジクラらしさ」のあるマテリアリティ

マテリアリティの改定では、事業マテリアリティと基盤マテリアリティを整理しました。改定にあたっては、一般的な環境課題や社会課題を並べるだけでなく、フジクラだからこそ取り組むべき課題は何かにこだわりました。事業部門の声も取り入れながら、「フジクラらしさ」を重視したマテリアリティとしています。

事業マテリアリティには、経営理念のビジョンに掲げる「デジタル社会」と「カーボンニュートラル」を位置付けました。これらは、フジクラグループが事業を通じて社会課題の解決と成長の両立を目指すための重要なテーマです。

基盤マテリアリティでは、「経営基盤」「ものづくり力」「人財力」「社会的責任」の4分野を掲げ、持続的成長を支える具体的な課題を定めています。特に経営の高度化は、経営危機を経験したフジクラにとって重要なテーマです。

また、業界トップのポジションを維持するには人財力の強化が欠かせません。フジクラの技術力は、製品として見える技術だけでなく、製造技術力や人財によって支えられています。時代によって重要な技術は変わるからこそ、技術を人に根づかせ、継承し続けることが「技術のフジクラ」を支える基盤になると考えています。

世界に広がる成長機会を確実に捉える

フジクラグループが経営危機を乗り越えてV字回復を遂げ、1兆円企業となったのは、私たちの努力だけで成し遂げたものではありません。フジクラグループを取り巻く市場環境も大きく影響しています。特に、生成AIの急速な発展と普及、そしてそれに伴うデータセンタ需要の拡大は、フジクラグループの成長を大きく後押ししてきました。

データセンタ建設も、現状の米国中心から世界へ広がっていくでしょう。データセンタが増えるほど、それらをつなぐファイバの需要も拡大していくはずです。私たちはそうした成長機会を見据えながら、将来に向けた布石を打っています。

フジクラグループにはまだまだ大きな成長の余地があります。中長期的な視点で、フジクラのこれからにご期待ください。