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R&D
フジクラ技報

No.126 2014年7月

 

論文記事

高出力ファイバレーザの基礎と特徴

高出力ファイバレーザは,ビーム品質,エネルギー効率,スペース効率,出力パワーおよびビームの安定性,信頼性などのあらゆる面において,固体結晶や気体を増幅媒体とする他の高出力レーザより優れており,レーザ加工の分野で主役となりつつある.当社では,長年つちかってきた光ファイバ関連の固有技術を核に高出力ファイバレーザの技術を蓄積し,今回の小特集に至った.本報告は,今回のファイバレーザ小特集の基礎情報の位置付けとして,高出力ファイバレーザの構成上の特徴について説明し,それらが生み出す利点について特性指標とともに紹介する.

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4kW出力連続波ファイバレーザ

近年,金属加工用途としてkW級出力の連続波ファイバレーザの需要が高まっている.当社グループはファイバレーザを構成するための主要技術の全てを保有しており,それらを活用することにより4 kW出力の連続波ファイバレーザの開発・製品化に成功した.当社の4 kW出力連続波ファイバレーザは独自の構造で加工時に問題となる反射光に対する耐性を高めており,これにより反射光の影響を受けない安定した材料加工の提供を可能としている.

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ファイバレーザ励起用高出力半導体レーザモジュール

ファイバレーザ発振器を励起するために用いられる高出力半導体レーザモジュールは,ファイバレーザ出力の源であり,ファイバレーザの特性を左右する重要な部品である.当社では,オプトエナジー社の高出力半導体レーザ素子を用い,情報通信分野で培ってきた光部品アッセンブル技術と組み合わせることで,世界最高レベルの高出力かつ高信頼の半導体レーザモジュールを実現した.

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高出力パルスファイバレーザとその展開

当社はパルス幅100nsクラスのQスイッチ動作パルスファイバレーザで世界に先駆けて出力30Wを達成した.その後,70W出力まで製品化を果たした.本報告では,これまでのパルスファイバレーザ高出力化への取り組みについて記述し,70 W出力製品を紹介する.また,より高精度で複雑な加工アプリケーションに向けて,いくつかの特徴ある機能を搭載したパルスファイバレーザを紹介する.

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パルスファイバレーザ用光アイソレータ

高出力パルスファイバレーザでは,加工対象物からの反射戻り光を遮断してファイバレーザを安定発振させるための光アイソレータが必須である.1µm帯ファイバレーザ用のアイソレータでは,Tb3Ga5O12 (TGG)単結晶が広く用いられているが,当社は,TGGよりもベルデ定数に優れるTb3(Sc,Lu)2Al3O12 (TSLAG)単結晶を開発し,世界で唯一,TSLAGを用いた光アイソレータを製品化している.本稿では,TSLAG単結晶の特長と製品化した光アイソレータの特性を紹介する.

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単一偏波ファイバレーザを用いた波長変換技術とその応用

近年,ディスプレイやバイオ分析,医療の分野において,波長変換技術を用いた可視および紫外域の高出力レーザ光源が注目されている.高い変換効率を得るためには,波長変換素子内の高いパワー密度が要求されるため,高出力かつ高ビーム品質なファイバレーザは,波長変換用の基本波光源として適している.そこで当社ではファイバレーザを用いた波長変換レーザ光源を開発し,可視および紫外域の高出力レーザ光源を実現した.

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デジタルコヒーレント通信に向けた128Gb/sモノリシックシリコン光変調器

シリコン導波路は小型化,モノリシック集積,および大面積ウエファでの量産によるコスト低減に適している.シリコン導波路を用いて,高速光ファイバネットワークとして主流となるデジタルコヒーレント通信への応用に向け,フットプリントの小さいモノリシックシリコン偏波多重・直交位相偏移光変調器を作製した.その設計法および特性評価について報告する.モノリシックシリコン偏波多重・直交位相偏移光変調器は直交位相偏移変調部と偏波多重光回路を集積化した構成を基本としている.偏波多重光回路はシリコンコアおよびシリカクラッドのみで構成され,直交位相偏移変調部のシリコンリブ導波路と同時に作製することができ,量産に適する.この偏波多重光回路との集積化により,低損失のモノリシックシリコン偏波多重・直交位相偏移光変調器が実現できることを示す.コンスタレーション波形およびビットエラーレートの測定より,シリコン光変調器では最高速となるビットレート128 Gb/sでの偏波多重・直交位相偏移変調の実証を示す.

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広波長域低損失大口径ファイバ

大口径ファイバのコアには,紫外および可視領域と近赤外領域で異なるタイプのシリカガラスが用いられてきた.紫外および可視領域で低損失な大口径ファイバには,OH基を高濃度に添加した高OHシリカガラスがコアに用いられている.一方,近赤外領域で使用する大口径ファイバには,OH基を除去しOH基吸収損失を低減した低OHシリカガラスがコアに用いられている.今回,大口径ファイバ母材の製造方法,紡糸条件などの最適化により,OH基吸収損失を抑制しつつ,紫外領域を含む300 nm~2150 nmの広い波長範囲で低損失な大口径ファイバを新規に開発した.特に分光分析への活用が期待される.

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ルーラルエリア向け高密度架空配線光ケーブル

大口径ファイバのコアには,紫外および可視領域と近赤外領域で異なるタイプのシリカガラスが用いられてきた.紫外および可視領域で低損失な大口径ファイバには,OH基を高濃度に添加した高OHシリカガラスがコアに用いられている.一方,近赤外領域で使用する大口径ファイバには,OH基を除去しOH基吸収損失を低減した低OHシリカガラスがコアに用いられている.今回,大口径ファイバ母材の製造方法,紡糸条件などの最適化により,OH基吸収損失を抑制しつつ,紫外領域を含む300 nm~2150 nmの広い波長範囲で低損失な大口径ファイバを新規に開発した.特に分光分析への活用が期待される.

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銅クラッドアルミ線の高周波抵抗の理論解析

磁界の結合を利用するタイプの非接触給電装置は,その伝送効率が回路のQ値に依存するため高周波で抵抗の低いコイルが求められる.アルミニウム(Al)線に銅(Cu)を一様に被覆した銅クラッドアルミ(Copper Clad Aluminum,以下CCAと記す)線で巻回したコイルは,特定の周波数範囲で同じ形状のCu線コイルよりも低い高周波抵抗を示す.当社では,CCA線の表皮効果と近接効果を解析的に定式化し,高周波抵抗の数値解析を行った.得られた計算値は測定値とよい一致を見せた.また,CCA線コイルがCu線コイルより高周波抵抗の上昇が抑制される現象について解明した.

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高精細トレンチ配線板

電子機器の小型化,高機能化にともない,プリント配線板には配線の微細化や高密度化の要求がますます強くなっている.国際半導体技術ロードマップによると,プリント配線板のファイン化は2014年にはL/S=10μm/10μm以下に達するとされる.しかし,セミアディティブ法やサブトラクティブ法といった現行プロセスでは,10μm以下の配線形成は難しい.そこで,当社では絶縁層内に配線を埋設させたトレンチ状の高精細配線板を開発し,最小線幅2μmの配線形成と直径10μmの層間接続用のビア形成を実現した.

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高性能コールドプレートとスパコン“京”冷却へ搭載

近年,データセンタやスパコンの消費電力が増大し,性能だけでなく,効率的な冷却方式が求められるようになった.大規模な設備では,効率的な冷却方式として水冷方式が見直されてきた.我々はスパコンの高性能・効率的な冷却モジュールとして,マイクロチャンネル構造を用いたコールドプレート技術を開発し,スパコン“京”のシステムボードに搭載する水冷ユニットを実用化した.高性能達成(世界一の計算速度)とCPUの消費電力低減化にも貢献することができた.今後は,本技術と実績をもとに,スパコン以外の電子機器,産業機器の冷却へも適用を図っていく.

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ナノ流路作製技術とバイオデバイスへの応用

石英ガラス内部に高アスペクト比なナノオーダの流路を作製する技術を開発した.本技術は,フェムト秒レーザによる石英ガラス内部の改質加工と,形成した改質部のウェットエッチングをベースとしており,フェムト秒レーザ照射によって誘起されるナノ周期構造を制御することで,ナノオーダの流路を作製することができる.本技術により,幅が100nm以下,深さが2mm以上と非常に高アスペクト比(20000以上)の流路を石英ガラス内部に作製することに成功した.本論文では,作製したナノ流路を利用したバイオ用途のデバイスを作製し,評価した結果について報告する.

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