株式会社フジクラ

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R&D
フジクラ技報

No.112 2007年4月

現在,情報通信の世界は,国内外ともにFiber To The Home(FTTH)とNext Generation Network(NGN)という大きなトレンドの真っ只中にあります.FTTHは光ファイバを各家庭まで引いて,加入者があらゆる情報サービスを高速で受けられるものです.現在日本では800万世帯の方がこのサービスを受けており,NTT殿からは,これを2010年までに3000万世帯まで伸ばす計画が発表されています.また,世界的に見ても,サービスを受けることができる世帯は,2010年までには1億5000万世帯にはなるだろうと言われています.

このFTTHにおいて光ファイバを加入者へ‘つなぐ’ためのキーテクノロジとなるのがメカニカルスプライスで,光ファイバ同士の切断面を付き合わせて固定することで光ファイバを機械的に接続することができます.この度フジクラは,φ0.9mm単芯光ファイバに対応できるメカニカルスプライス(FMSEZ-025/09)をリリースしました.この新メカニカルスプライス素子は,従来のφ0.25mm単芯光ファイバ同士の接続に加えて,φ0.9mm単芯光ファイバ同士,および,φ0.25mmとφ0.9mm単芯光ファイバの接続もできます.

さらにより多くのお客様が,簡単で確実に接続できることをめざして,接続工具もモデルチェンジしました.クロージャやキャビネットの接続ポイント近傍で容易に作業ができるように軽量で取り扱いやすいデザインとしました.作業の中で最も大切な光ファイバの接続確認は,ファイバのたわみをチェックしてできますのでより安定した接続を実現しました.また,組立てやすさを重視し,ホルダ方式を継承しています.

論文記事

シリコンナノフォトニックデバイス

高速光ファイバ通信への応用に向け,シリコンナノフォトニックデバイスの検討を進めている.シリコンナノフォトニックデバイスは,シリコン薄膜中にシリカ極微円柱が周期配列したフォトニック結晶層とその上に置かれた窒化シリコン矩形導波路からなる複合導波路を基本要素とする.本デバイスでは,C バンド全域という広帯域で,通常のシリコン光導波路より一桁以上大きな波長分散・位相シフトを発生させることができる.シリコンナノフォトニックデバイスの構造の特徴と光学特性について紹介する.

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透明導電膜アンテナ

近年,無線通信が非常に発達してきており,無線通信用携帯機器の多くは小さくなりつつある.それにともない,携帯機器に搭載するアンテナにも小型化が求められている.携帯機器に搭載するアンテナは,搭載スペースが限られている点およびほかの搭載部品の影響を受けやすい点から,設計がますます難しくなっている.本稿では,ガラス基板のうえに透明導電膜を形成した放射素子と,30cm四方のグランド板からなるモノポールアンテナを作製し,透明導電膜アンテナの基礎評価を行った.透明導電膜のシート抵抗を19.8Ω/sq から1.3Ω/sqまで変化させると,2.4GHzにおいて導電膜の抵抗による最大利得の低下が4.4dBから0.2dBに減少し,放射効率が46%から93%に上昇した.また,モーメント法を用いた理論解析により,2.8GHzにおける導電膜の抵抗による利得の低下率が0.2dB/Ω/sq,放射効率の低下率が2.7%/Ω/sqとなる評価が得られ,透明アンテナの設計に定量的な指針が得られた.

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FiMOTM光線路監視システム

Fiber To The Home(FTTH)が普及していく中で,構築した光ネットワークの効率的な保守運用が非常に重要な課題となっている.光ネットワークの保守に光線路監視システムが活用されているが,データの更新に対するコストや作業の煩雑さが問題となっていた.当社では,従来から販売してきた光線路監視システムをさらに進化させ,より効率的な保守運用を行えるように「FiMOTM光線路監視システム」を開発した.FiMOTM(フィーモ):Fiber MOnitoring System

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LC型現場組立光コネクタ(FAST-LCコネクタ)

LC コネクタはデータセンターやエンタープライズ用途で多く利用されている.われわれは,今までに開発してきた現場組立光コネクタの技術を適用し,高密度に実装可能なLC型現場組立光コネクタを開発した.同時に,誰でも簡単に組立作業ができるように組立作業用ファイバ挿入治具を開発した.また新たに従来のくさび部品を改良し,接続作業のさらなる簡素化・経済化に取り組んだ.接続損失をはじめとした光学特性評価,信頼性試験においても良好な結果が得られている.

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細径640心SZスロットケーブル

多心型SZスロットケーブルは,中間後分岐を要求されるアクセス系配線の高密度化に有効なケーブルの一つである.現在,400心型および640心型のケーブルが実運用されているが,敷設スペースに対する逼迫感等から,さらなる細径化の要求が高まっている.今回当社では良好なケーブル特性,中間後分岐作業性を確保しながら,現行品に比べて約18%(5mm)細径である640 心SZ型スロットケーブルを開発することに成功した.

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薄型パッケージ用ポリイミド一括積層基板

小型携帯電子機器に搭載される次世代半導体パッケージ用の多層基板を開発した.本開発の基板は,薄型化に有利なポリイミド基材と一括積層によるインタースティシャルビアホール(IVH)の採用により,低背型多ピンIC のパッケージに最適な特徴を有している.試作した4層基板は,80µmの配線ピッチと300µmピッチのパッドオンビア構造を含み,基板厚さが0.2 mmとなっている.この基板を用いて狭ピッチ実装への対応の検討と信頼性の評価をおこない,パッケージ基板に要求される特性を満足することを確認した.

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コンピュータ高性能プロセッサ冷却の現状と今後

本稿の目的は,ヒートパイプとベーパチャンバの使用をはじめとして,パーソナルコンピュータ(PC)の限られた空間で高性能プロセッサを冷却する様々な実用的な冷却方法について概説することである.本稿は,空冷の能力の限界を拡張し,その性能を最大にする方法について論じる.本稿では,多様なファン付きヒートシンク用空冷のデザイン,データ,写真,および考察を示し,デザインの変化がいかに空冷能力の限界を押し広げるかを示す.本論部分では,次世代の高性能プロセッサを冷却するために開発している様々な革新的な冷却方法を提示する.最後に,次世代の高性能チップを冷却するために開発するシステムと方法を提案する.

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デスクトップPC用ファン付きヒートシンクの空冷技術の変遷

本論文では,パーソナルコンピュータ(PC)内の限定された空間で高性能プロセッサを冷却するため,様々なヒートシンクと組み合わせた空冷方法の変遷について概説する.その後,ヒートシンクの能力の拡張等,デスクトップPC 市場での価格競争力を維持しながら空冷能力を向上させる方法について論じる.これらの方法は,コストを急激に下げることができれば,ファン付きヒートシンクのデザインに影響を及ぼす可能性を秘めている.また市場での価格競争力を維持するためには,そのコストに見合った冷却技術の採用も必要となる.本論文では,多様なファン付きヒートシンクのデザイン,データ,および写真を示し,デザインの変更により空冷能力がいかに向上してきたかを示す.

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限界電流式酸素センサの極低濃度計測理論とその検証

当社(株式会社フジクラ,株式会社東北フジクラ)はこれまで,自社開発の小型限界電流式酸素センサを用いて,低濃度から高濃度まで計測可能な酸素センサ製品を実用化してきた.近年,これまでよりもさらに低い酸素濃度領域(極低濃度領域)での製品ニーズが高まりつつあり,低濃度用酸素センサの需要は増加傾向にある.そこで,当社はこれまで培った限界電流式酸素センサ技術を応用して,極低濃度領域における計測の可能性について検討を加えた.本稿では限界電流式酸素センサを用いた極低濃度領域での酸素濃度計測理論とその検証結果について報告する.

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フレキシブルフラットケーブル導体のウィスカ対策

PbフリーSnめっきをしたフレキシブルフラットケーブルの端子部にコネクタを嵌合した場合,コネクタ近傍のめっき表面からウィスカが発生する現象が問題となっている.この外部応力型ウィスカの発生機構を調査し,種々の対策案を検討した結果,Sn めっき厚さを薄くすること,熱処理を強化することが,ウィスカ抑制に対して効果があることがわかった.この2つの対策を組み合わせて最適化することにより,ウィスカ長さを50μm未満に抑制することができた.

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環境負荷物質規制の動向と分析技術

本報では,近年社会的要求が急激に高まっている製品中の環境負荷物質規制に関して,これまでの規制の内容と当社評価センターの技術的対応状況,および今後の規制動向について紹介する.

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ボール搭載法によるWLPのはんだバンプ形成

ウエハレベルパッケージ(Wafer-Level Package;WLP)は軽薄短小化に対応できることから携帯電話をはじめとするモバイル機器に採用されるようになってきた.本研究では,さらなる高信頼化によるWLPの用途拡大を目的として,WLP のはんだバンプをボール搭載法にて形成し,その熱疲労寿命を評価した.

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技術トピックス

新製品紹介


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