株式会社フジクラ

  1. Home
  2. ニュースリリース
  3. 磁気熱量効果を持つ線材の開発

NEWS RELEASES

製品情報

磁気熱量効果を持つ線材の開発

2016年10月4日

 株式会社フジクラ(取締役社長 伊藤雅彦)は、「環境に優しい次世代冷凍機」に適用可能な磁気冷凍技術に用いる磁気作業物質(MagnetoCaloric Material : 以下MCMと記載)を線材化することに成功いたしました。当社のコア技術である伸線技術により世界最小径を実現し、この細線状のMCM を用いることで従来使用されていた粒状のMCMを大きく上回る冷凍能力となることを実証しました。

 磁気冷凍機は、磁場の印加・除去に合わせてMCMが発熱・吸熱する現象である磁気熱量効果を利用しており(図1)、従来冷凍機と比較して、①地球温暖化係数 (Global Warming Potential : 略称GWP) がゼロの冷媒を使用できる ②圧倒的に効率が高い という大きな特徴があります。これらの特徴は、環境問題に大きく貢献すると期待されています。

 従来、このMCMは製造性と充填の容易さから粒材が主流でしたが、冷媒が流れにくくなってしまうという問題がありました(図2)。これは冷凍サイクルの高周波化を困難にし、冷凍能力向上を阻害する大きな要因となっていました。そこで当社は、粒材よりも冷媒が流れやすいが製造が困難と言われていた磁気冷凍線材の開発に挑戦しました(図3)。開発した線材を使用することで、10 Hz以上の高速で冷凍サイクルを動作させることができ、当社内の粒材の実験結果と比較したところ、冷凍能力が飛躍的に向上しました。この成果は2016年9月にトリノで開催された国際会議ThermagⅦにおいても注目されました。今後はこの技術を応用して、冷蔵庫、冷凍庫、エアコン等の実用化を目指します。

図1 磁気熱量効果模式図

図1 磁気熱量効果模式図

図2 粒状MCMと線状MCMとの冷媒の流れ方の違い

図2 粒状MCMと線状MCMとの冷媒の流れ方の違い

図3 線状MCM画像

図3 線状MCM画像

PAGE TOP