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ヒートパイプにより冷凍機の消費電力を30%低減可能なデータセンタ省エネシステムを開発

2010 年06 月22 日

株式会社フジクラ(取締役社長 長浜洋一)は、益々活発化するデータセンタ建設ラッシュに対応して、省エネルギー推進の目的から、2008年度より開発してきたヒートパイプによるデータセンタ省エネルギーシステムの設計指針をまとめました。


当社は、1993年に開発したヒートパイプによる永久凍土を使った食料貯蔵システムの原理を活用してデータセンタの省エネルギーシステムを開発しました。この特殊なヒートパイプは、冬季は低温の外気温を使って、氷や冷水を造り、データセンタの冷却に使う事ができます。夏季の外気温度が高い場合は、自己温度制御作用により、ヒートパイプの活動が自動的に停止します。開発したシステムは、一切の制御装置や動力を使わずに、冷熱貯蔵が可能です。雪を貯蔵して、その冷熱をデータセンタ冷却に使う試みもありますが、雪の移動や貯蔵に対して、労力・コストが掛かる上、雪の密度は氷の1/3と小さく大規模冷熱貯蔵には適さず、ランニングコストをゼロにはできない等の問題があります。


データセンタのサーバ冷却において、熱の拡散を防ぎ冷却効率を上げる為には、水冷式冷却システムが最適です。弊社の提案は、自然冷熱活用の為には、データセンタを、積算寒度(Freezing Index)が400℃・Day程度の寒冷地に建設する事で、PUEを飛躍的に低減できるというものです。適用可能な具体的な地域としては、信州や関東北部の山間地、東北より北の比較的外気温度が低い地域が該当します。2008年度より、当社の関連会社である青森フジクラ(青森県三沢市)に実験プラントを設置して、データの蓄積をしてきました。比較的暖冬であった2009年は、積算寒度は、70 ℃・Dayであったが、直径30 cm以上の氷を造成できました。このデータを基にして、今回設計指針をまとめたものです。


シミュレーションは、北米/ニューヨーク州の400℃・Dayの積算寒度地域に、2,500USRT (8,800KW)級の消費電力のサーバを有する大型データセンタを建設した場合を例として、2つの省エネルギー設計モデルを作り、経済性を試算しました。


1) ヒートパイプによる自然冷熱を利用した非常用氷蓄熱システム
 最近規定されたASHRAE(米国空調学会)の基準によれば、冷凍機故障が生じた際、6時間の冷却を継続できる必要があります。本システムは、冬季の冷熱により、ヒートパイプで氷を造り非常用冷熱源を確保するものです。そのために、ヒートパイプは88本必要で、建設コストは、20百万円を見積もっています。これで、227GJ(氷678トン相当)の冷熱を確保できます。従来の冷水蓄熱に比べると、大きさは14%で済む上、建設コストも1/25に抑えられます。
2) ヒートパイプによる自然冷熱を利用した省エネルギー(プリクーラ方式)
 冷凍機の消費電力低減の為に、冷凍機の前段に、ヒートパイプ式プリクーラを設置するシステムを提案するものです。試算によれば、2,160本のヒートパイプが必要で、60mx40mのスペースで済みます。建設コストは1.2億円、年間60百万円の電力節減となり、約2年で設備償却が可能と見込まれます。現行モデルの冷凍機消費電力2,200KWに対して、本システムの採用により冷凍機消費電力を1,500KWに低減できます。この低減率は、30%にも達します。付帯設備を含めると約1,000KWの消費電力を低減可能です。この値は、年間通じて21,400トンのCO2削減効果に相当します。

今後、官公庁、データセンタ建設顧客、サーバメーカ、ゼネコン等に積極提案を進め、システムの普及に努め、クラウドコンピューティングの増大に対して、CO2削減や地球温暖化の防止に積極的に貢献していく予定です。

図1 ヒートパイプによる自然冷熱を利用したデータセンタの非常用氷蓄熱の提案概念図
図2 熱ダイオード型ヒートパイプによる冷熱蓄熱の原理
図3 積算寒度

以上